SSブログ

映画_エゴン・シーレ「死と乙女」:20170218 [お気に入り]

いつもは、自分のペースでは歩くことができない、人の流れででいっぱいの109の周り。

土曜日の10時前は、まだまどろみの時間。

P2180750-42.jpg

朝の光たちもこの時間だけは、

少し遠慮気味かもしれないけれど、渋谷の街で遊んでいます。

P2180806-22.jpg

いつもは、
映画館には一年に一回くらいしか行かないのですが、12月にスターウォーズ「ローグ・ワン」を見たばかりなのに2月にもう一本。

昨年のオフ会の時にリュカさんから情報を頂いた「エゴン・シーレ」、渋谷 Bunkamura ル・シネマに見に行ってきました。

P2180796-22.jpg

エゴン・シーレの「死と乙女」。

岩山の巣でしょうか、
自分の贈ったドレスを着せてしわくちゃになったシーツごとさらってきたのか、
黒いガウンを着て褐色の肌の死が乙女を抱いています。

でも目は見開いているものの、そこには表情はなくただ漆黒に虚ろに開いているだけ。
左手で乙女の髪をなでているけれど、右手は乙女の左肩を押して遠ざけているよう。脚もシーツからはみ出しています。

シューベルトの歌曲の「死と乙女」では、病に罹った乙女のもとに来た死神は、
「お前に安息をあたえに来た」と死を拒否する乙女に永遠の安息を語り掛けるのですが、エゴン・シーレの「死」からは安息や永遠の抱擁は感じられません。

P2180777-22.jpg

描かれているのは、エゴン・シーレとモデルであり彼をたぶん一番愛したであろうヴァリ・ノイツェル。

P2194307-12.jpg

映画のサブタイトルにもなっているように、ストーリーはこの絵が描かれた経緯を中心に語られて行きます。

P2194318-12.jpg

でも、なぜあんなに愛してくれたヴァリ、

エゴン・シーレも最も愛していたであろう最愛の女性がいたのに、

別の女性、中産階級の姉妹の妹、エディットと結婚してしまったのか・・・。財産目当て? 芸術家のエゴ?

それはないだろう、シーレ。

P2194312-12.jpg

映画を観終わって釈然としなくて、何だか消化不良の様なそんな感じがしました。

P2194325-12.jpg

帰って来て、シーレの事、世紀末のウィーンの事 etc etc …を少し調べてみました。すると、

当時のモデルの社会的地位はとても低く、勤められない女性たちの職業、売春婦と同じようにみなされていたとのことを知りました。一般の男性との結婚は考えられなかったことも。

なるほど、それで、エゴン・シーレも当然の様にあんなに愛し愛されていたヴァリではなくて、身分として釣り合うのであろう中産階級のエディットと結婚したのだと。

ヴァリがシーレのノートに「誰とも結婚しない」「私は誰にも夢中になりません」と書いたのは、シーレへの愛情の表現であり愛の告白でもあったし、

シーレがヴァリに「結婚した後も休暇は一緒に過ごす」と提案したことも、当時のモデルのことを知ることでようやく少し理解することができました。

エゴン・シーレ ≪死と乙女≫
P2194316-12.jpg

ヴァリはその後、従軍看護師になり、戦地で猩紅熱に掛かって死んでしまいます。その知らせを受けたシーレは、この絵のタイトルを「男と乙女」から「死と乙女に」・・・。

P2194327-12.jpg

背景を知ることで、もっとこの絵が映画が好きになりました。
そして、今でも余韻の様なものがずっと続いています。

もう一度見に行こうかなとも。

2018年はエゴン・シーレの没後100年。もっとシーレの作品が見てみたい。
展覧会が行われるといいな。


エゴン・シーレ「死と乙女」、

もっと退廃的で芸術科のエゴが満載の映画かと思いましたが、史実に忠実にシーレの青春を描くようにストーリーが進んでいきました。
シーレを演じたノア・サーペトラがイケメンで爽やかな感じの俳優さんなので、そのせいもあり、シーレが今まで思っていたより割と「いいやつ」に思えた映画でした。
でも、本当はきっともっと「くせ」があってある面、非常識なやつなんだろうな? 笑

P2180798-22.jpg

映画の〆はラーメン。

Bunkamura 真ん前の横浜家系ラーメンのお店「道玄家」さんで味玉入りラーメンを頂きました。

ラーメン、色々とありますが、やっぱり横浜家系ラーメンです。

お決まりの3枚の海苔、スープに絡んだ麺と一緒にいただくと、とっても美味しいです。

P2180817-12.jpg

先週も熊本に行ったり博多であちらこちらだったり、バタバタとしていて、何もできずでしたが、2月24日は村上春樹さんの新刊の発売日。

仕事の帰りに『騎士団長殺し』上下2巻買ってきました。
塩野七生さんの「ギリシア人の物語」も有川浩さんの「旅猫リポート」や星野道夫さんの「ノーザンライツ」もあるので読むのはもう少し先になると思いますが、とりあえず発売日にゲットしてきました。

本がたくさん縦積みになっているのはうれしいです。

" 2017/02/18 EGON SCHIELE TOD UND MADCHEN "
nice!(71)  コメント(30)  トラックバック(0) 

nice! 71

コメント 30

ピンキィモモ

こんにちは。
身分が低いからと他の女性と結婚したシーレ。
「結婚した後も休暇は一緒に過ごす」と提案だなんて、
ヴァリがかわいそすぎっ、だと思います。
by ピンキィモモ (2017-03-01 17:30) 

えーちゃん

渋谷の街で遊んでる?若いね(^^;
渋谷は昔は良く行ったけど最近は全く行かなくなりました。
若者の街だしねw
でも、渋谷ののんべえ横丁には行きたいな~
しかし、ここも再開発でなくなるのかな?
by えーちゃん (2017-03-01 17:54) 

Inatimy

恋愛って難しいですよねぇ。
当人同士でしか分かり得ないこともあるだろうし、その本人たちでさえ、
理屈では説明できないこともあるし。
私としては、すごくいいなと思う作品をたくさん残していても、
プライベートな部分にはちょっと同感できないと感じる芸術家や画家多いです^^。
先日もTVでピカソの特集を見てて、んん?となりました・・・。
by Inatimy (2017-03-01 17:55) 

takenoko

私も映画館は年1回あるかないかです。コンサートは時々行きますが、回数はそれほど多くはありません。27日に東慶寺に行きましたが、しだれ梅も咲いて見ごろでしたよ。
by takenoko (2017-03-01 20:38) 

なんだかなぁ〜!! 横 濱男

1枚目、バイクのおね~さん、ノーヘル??
今年、レンタルビデオも見てません。
なんだか、映画から遠ざかっているような。。
やはり、年なのかな?(^0^)
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2017-03-01 22:13) 

きよたん

渋谷のbunkamura 懐かしい場所です
映画館に行かなくなって久しいですが
よく行っていた映画館です。
エゴンシーレの絵を見ると狂気のようなものを感じて
この画家はどういう人だろうと
映画には彼のことどう描いているのか興味はありますね
by きよたん (2017-03-01 23:02) 

TaekoLovesParis

エゴン・シーレの「死と乙女」,Bunkamuraで予告を見て、行きたいなと思っていました。始まってるんですね。ここにもちらっと載っている「自画像」を見ていたので、シーレに似た俳優、と思いました。<でも、本当はきっともっと「くせ」があってある面、非常識なやつなんだろうな? 笑>→ そうでしょうね。映画は美化される時が多いから。
観に行かないと。

by TaekoLovesParis (2017-03-02 00:21) 

さる1号

映画は高島町の映画館が無くなってからはすっかり遠のいてしまって・・・^^;
エゴン・シーレの展覧会があるといいですね
彼の風景画が見たいです
by さる1号 (2017-03-02 06:46) 

だいず

なんだか ちょっとセツナイお話ですね.。
そのときの時代背景わかると 
理解も深まりますよね(*´ω`*)
by だいず (2017-03-02 23:05) 

engrid

人を愛するって、複雑で、深くって、でも素直なのかな、、
背景がわかると、絵から受け取る感じも違ってきますね
by engrid (2017-03-03 01:06) 

さとし

私は出不精なので、もう何年も映画館に足を運んでいません。
最初の写真を見たとき、渋谷でお泊まり?って勘違いしてしまいましたよ。
by さとし (2017-03-03 06:52) 

ナビパ

私も最近は映画館に足を運んでいません。
ラスト見たのはシンゴジラです。
作品としては人気があるようですがCGゴジラは好きになれませんでした。^^;
この映画は深い愛なのでしょう。
ラーメンの〆は最高です。^^b
by ナビパ (2017-03-03 07:14) 

Kiki

こんにちは!
わたしは渋谷に一年に行くか行かないか・・・
映画館にしたら昨年の春に28年ぶりに
みなとみらいのワールドポーターズの映画館に行きました^^
レンタルって手もありますが映画はあまり見ていないです。
セッカチな性格じゃ無ければもう少し映画も見ているのかな ^^
ラーメン屋さんもほとんど行かないので
mozさんの家系ラーメンを見て行った気になってます(^^)

by Kiki (2017-03-03 15:46) 

アールグレイ

渋谷 Bunkamura での上映だったのですね。
数年前に、ここでのダヴィンチ展を見にったのが懐かしいです。
そしてレストランでの娘とのランチも美味しい時間でした^^
時代が恋愛に及ぼす影響って、大きいです。
生活階級の違いで、純粋な愛が貫けない苦しさもありますね。
その背景を知ると、映画や絵などがより好きになることってありますね^^
by アールグレイ (2017-03-03 18:02) 

toshi

映画は何年も見ていません。
良い映画を鑑賞されたようですね。
ラーメンが美味しそうです。
by toshi (2017-03-04 07:11) 

moz

ピンキィモモさん、おはようございます ^^
そうですよね、社会やみんなの考えや風習、意識の違いとは言え、それはあまりですよね。シーレとしては当たり前のこと? なのかもしれないですが、ヴァリにしてみたらとても悲しかったんだと思います。
結果、従軍看護師で病気で亡くなってしまって・・・。
一つには戦争のせいもあるとは思いますが。
by moz (2017-03-05 06:07) 

moz

えーちゃんさん、いえいえ ^^;
渋谷はぼくもあまり行きません。行くとしたらNHKホールかここ、文化村くらいです。やっぱり若者の街ですよね ^^;
奥渋谷の辺りには行ってみたいと思うのですが、一人ではなかなかです。
みんなで出かけてみますか? ^^
by moz (2017-03-05 06:09) 

moz

Inatimyさん、そうですね、感情と言うものはもちろん理性では説明できないし、たぶん理性よりもずっとパワーが強いです。
それが個人でもそうだし、社会全体のものだともっと強いでしょうから、一足す一は必ずしも二にはならないですね。ヴァリもシーレも愛していたしそれは分かれてもそうだったと思います。
芸術家、画家も社会的には変わった人が多いのでしょうね。それにある面で自己中でなければ芸術作品は生まれないのかもしれません。その反面性なのかな?
ピカソももちろんですね ^^; 女性から見たら、不倶戴天の敵なのかもしれませんね ^^;;;
by moz (2017-03-05 06:16) 

moz

takenokoさん、やっぱりそうなんですね。ぼくと同じかな?
コンサートにはやはり時々ですが、映画はよっぼとりことがないと ^^;
東慶寺、見頃なんですね。ありがとうございます m(__)m
余裕がなくて出かけられていませんが、もう一度梅たちに会いたいと思っています。
by moz (2017-03-05 06:17) 

moz

なんだかなぁ~!! 横 濱男さん、ノーヘルではなかったですよ。
黒いヘルメットがちょこんと頭にのっかっていました ^^
そうですか? ぼくは時々TSUTAYA には行きます。5枚で、4枚で? 1000円とかの時、借りてきてまとめてみたりしてます。
年のせい? それもあるかもしれませんね。活動量は街に出かけるとかは減った気がしますよね ^^;
by moz (2017-03-05 06:20) 

moz

きよたんさん、そうなんですね、Bunkamura の映画館、ぼくは初めてだったかもしれません。こじんまりとしていていい映画館ですね。
ただ、ポップコーンが食べられなかったのはちょっと残念でした (笑)
映画は割と淡々と史実? に忠実に描いていました。
シーレその人の性格とかではなくて人との関わり合いみたいなもの? そんなにひどくは描いていなかったです。狂気の様なものも感じられなかったです。その面ではさくっとみられました。
シーレ、作品をもっと見たいです。死と乙女の様な絵もですが、4本の木の様な風景画も大好きです。
by moz (2017-03-05 06:25) 

moz

TaekoLovesParisさん、2月からやっているようです。他の映画館でもですけれど、Bunkamura はいつまでなのかな? あまりお客さん入っていなかったので、早めに終わってしまうかもしれませんね。
初めてBunkamura の映画館に入りましたが、良い映画館、また行ってみたいと思いました。そうですね、似た感じの俳優さんを監督が起用したのかもしれません。ほとんどだビュー作みたいです。
もっと狂気の人物像が繰り広げられるのかなと思いましたが、思ったよりもさくって言う感じでした ^^
by moz (2017-03-05 06:28) 

moz

さる1号さん、そうなんですね、高島町のところの映画館亡くなってしまいましたね。はい、没後100年なので展覧会来てくれないかなとこころ街です。もっとたくさんの作品を見てみたいです。^^
by moz (2017-03-05 06:30) 

moz

だいずさん、時代背景が分かると違う視点でも悲しくなりました。
ヴァリだけでなく、結婚したエディットもシーレも、誰も幸せじゃなかったのかな? そんな風にも思いました。
もう一度最初から見てみたいです。
by moz (2017-03-05 06:32) 

moz

engridさん、愛情、愛する心はきっと真っすぐなんだと思います。
シーレの場合は愛情よりも芸術、何よりも自分の作品、描くことがとにかく第一だったんだろうなと。
その国の、時代の背景って色々なものを理解する上では大切なんだなぁと、今回の映画で一つ覚えました。今更ながらですが ^^;
by moz (2017-03-05 06:35) 

moz

さとしさん、街に出かけるのはやはり減りましたよね。
どちらかと言うと自然の中が良くなったと思います。
笑 お泊りではないですよ ^^ 渋谷の土曜日の朝はこんな感じです。
明け方までにぎわっているので、目覚めるのは遅いみたいです。
by moz (2017-03-05 06:37) 

moz

ナビバさん、シンゴジラ、アカデミー賞をたくさん取りましたよね。
ぼくは見ていないので、DVD が出たら借りてみたいと思っています。
そうですか? CGだとあの味わいが出ないのかもしれないですね。
シーレにとても興味があるので、それに世紀末のウィーンにもですので、とても見たかった映画でした。
はい、しめはやっぱりラーメンです。家系好きです ^^v
by moz (2017-03-05 06:39) 

moz

Kikiさん、おはようございます ^^
笑 せっかちなんですね。ぼくもせっかちで並ぶのとかは苦手です。
よほどのことがなければ映画館には脚を運びません。スターウォーズくらいです。Kikiさんもあまり行かないんですね。同じ(笑)
ラーメン屋さんもなんですね。以前紹介されていたお店もたまになんですね。横浜のご当地ラーメンは美味しいです。
札幌も博多も美味しいですが、横浜家系ラーメンが今は一番です b^^
by moz (2017-03-05 06:43) 

moz

アールグレイさん、Bunkamura でダ・ヴィンチ展やっていましたよね。
ぼくは行かなかったですが、娘が行ったようです。
レストランでお食事もされたんですね。Bunkamura 色々と楽しめてちょっとおしゃれな感じで素敵なところですね。 ^^
その時代の決まり事、それに従わねばならなくてつらいことになるって、ドラマとかではよく見ますが、世紀末のウィーンでもそういうことがあったとは初めて知りました。
知っていて見ればまた違った風に思ったかもしれません。
知らないで見るのもいいけれど、ある程度は知っておいた方がより深く入れるような気がします。もう一度見てみたいです。
by moz (2017-03-05 06:47) 

moz

toshiさん、やはりあまり見られないのですね。
ぼくも数は少なくくなってしまいました。
はい、映画は面白かったです。シーレのことが少しだけ深く分かるようになった気がします。〆のラーメン、ビール抜きでしたが美味しかったです。 ^^
by moz (2017-03-05 06:48) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0