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2018年フェルメール展 :20181006 [展覧会]

2007年、

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薄暗い展示室の中。 かぐや姫の竹の輝きの様に不思議な光。

崇高さに射竦められ靴音も気配も呼気も、

何もかもが止まる一瞬と言う永遠…刹那の時。

新国立美術館の開館記念で開催された「アムステルダム国立美術館所蔵展」。


彼女はずっと今も輝き続けています。それは、きっと永遠。

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フェルメールの代表作、「牛乳を注ぐ女」との出会い、

フェルメールという神秘の画家を心に深く刻んだきっかけ。

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それからはフェルメールのことばかり考えていました。

今年はフェルメール来るのかな ?

37作品のうちこれで何枚目だろう ? etc etc…。

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2008年 フェルメール展 
「マリアとマルタの家のイエス」
「聖プラクセデス」
「小路」
「ワイングラスを持つ娘」
「リュートを調弦する女」
「手紙を書く婦人と召使」
「ヴァージナルの前に座る若い女」

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2009年 ルーブル美術館展
「レースを編む女」

2011年3月 Vermeer<地理学者>とオランダ・フランドル絵画展
「地理学者」

2011年8月 Vermeerからのラブレター展 京都市美術館 12月 Bunkamuraザ・ミュージアム
「手紙を読む青衣の女」
「手紙を書く女」
「手紙を書く女と召使」

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2012年7月 ベルリン国立美術館展
「真珠の首飾りの少女」

2012年7月 マウリッツハイス美術館展
「真珠の耳飾りの少女」
「ディアナとニンフ」

2015年 ルーブル美術館展
「天文学者」

2016年 17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち
「水さしを持つ女」

「牛乳を注ぐ女」に会ってから、日本に来るフェルメールの作品たちには欠かさず会いに行っています。

オーストリアに行った時に「絵画芸術」を見ているので、これまで37作品のうち(フェルメールの作品は35とも37とも言われていますが自分的には37)、18作品に会ったことになるのですが、Verneer 展、2016年に会ってから、久しぶりのフェルメール。

会いたくて仕方なかったフェルメール、しかも、

全部で9作品も来日するというので、前売り券が発売されるとすぐにマウスでポチリ。

初日の金曜日は残念ながら仕事なので次の日の土曜日。

図録も付いている5,000円のチケットをゲットしておきました。

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金曜日までの仕事をいつもより頑張り ? 待ち遠しかった10月6日、

電車に乗る前から何だかワクワクドキドキ。この感覚は初デートに出かけるとき以来かもしれない ?

上野の森美術館に着けば、僕のチケットは13時からだったのですが、日時指定でも入館を待つ長い列。

天気も良かったから日向は結構暑く、そのせいもあるけれど、並ぶのは嫌いですが、しかし、

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この日、この時だけはワクワクドキドキの方が勝りました。

待つ時間さえも愛しく、そんなじぶんが可笑しく可愛く感じるほどでした。 ^^;;


美術館に入ると全員に音声ガイドが貸し出されました。イヤホーンを付け展示室に入ればガイドは石原さとみさん。

フェルメールと同時代の傑作オランダ絵画たちが出迎えてくれましたが…、

気ばかり焦り、

《マルタとマリアの家のキリスト》 1654-1655年頃 スコットランド・ナショナルギャラリー
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それに流石フェルメール展。日時指定にもかかわらず最初の部屋はかなりの混雑です。

フランス・ハルスやニコラス・マース等名だたる画家の素晴らしい作品が沢山展示されているのですが、

心はどこか上の空。挙句の果て、

《ワイングラス》 1661-1662年頃 ベルリン国立美術館
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みんな、みんなすっ飛ばして、

最後の部屋へ。

《リュートを調弦する女》 1622-1663年頃 メトロポリタン美術家館
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プリズムを思い浮かべる白い明るい通路を抜けると、

《真珠の首飾りの女》 1662‐1665年頃 ベルリン国立美術館
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そこは、

《手紙を書く女》 1665年頃 ワシントン・ナショナルギャラリー
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フェルメールだけの8作品の部屋でした。

上野の森美術館のキュレーターさん、よく分かっているなと。

これでいいです。

この部屋でいいです。 ありがとう。

《赤い帽子の娘》 1665-1666年頃 ワシントンナショナルギャラリー
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コンサートに行って、素晴らしい演奏に会うと、背中の辺りがぞくぞくとして、

震えて、寒さも感じてしまいますが、

この部屋に入った途端、名演奏を聴いた時の様に背中が震えてしまいました。

厳かな礼拝堂に入ったかのような感覚。

《手紙を書く夫人と召使い》 1670-1671年頃 アイルランド・ナショナルギャラリー
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そして君と会う。


そうだ。

そうなんだ、君と会った時の感覚…なんだ。 2007年の時、そのままなんだなと。


10年以上経って色んなものも変わったけれど、8作品はみんな素晴らしいけれど、

タンネケとも呼ばれている君は不思議。

光の粒子は描かれた時のまま、そのままに パンの上、籐のかご、ラピスラズリのスカートの上、

45.5×41cm の世界で輝いている。そして、10年ほど前に君と会った時のまま、

ずっとずっと…一瞬は永遠なんだと。

《牛乳を注ぐ女》 1658-1660年頃 アムステルダム国立美術館
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ヨハネス・フェルメール。1632年デルフトに生まれ、1675年同じくデルフトに没す。

寡作のためか当時は評価が高かったものの次第に忘れられてしまったとのことだけれど、

印象派が誕生する背景の中、写実的なオランダ絵画が再評価され、

200年後に再びフェルメールは高い評価を得ることになります。

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著名な画家であればどんな人柄であったとか、人となり、伝記とかが残っているものだと思うのですが、

ヨハネス・フェルメールは寡作と200年というブランクとでよく分かっていません。

どんな画家だったのかな? こんなにすごい作品の画家はどんな人生を送った人だったんだろう。

分からないこと? ぞれも、フェルメールの作品を神秘的に思わせる元になっているのかもしれないなと。

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ほとんどの他の作品を、すっ飛ばしてしまった展覧会ですが、

フェルメール に似ていると思った作品が3点ほどありました。

メツーの2つの作品。

ハブリエル・メツー《手紙を読む女》 1664-1666年頃 アイルランド・ナショナルギャラリー
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着ているものも、手紙を読む女性も、そばに立つ召使いも、

向かって左から射す光と壁にかかる寓意の絵画も、

おやっ? どこかで見たことある ?


天球儀? を開け放った窓の向こうに置いて、手紙を書く男は、フェルメールの天文学者 や地理学者にとても良く似ています。

ハブリエル・メツー《手紙を書く男》 1664-1666年頃 アイルランド・ナショナルギャラリー
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デ・ホーホのこの作品は小路と雰囲気がとても良く似ていました。

ピーテル・デ・ホーホ《人の居る裏庭》 1663-1665年頃 アムステルダム国立美術館
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フェルメールの部屋にずっといたくて、置かれた椅子に座ったり、

鑑賞する皆さんの列の後ろに並んで作品たちの前に行って佇んだり…、暫く何度も繰り返していましたが、

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気が付けばこんな時間です。

そろそろ帰らないと。

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2月までここに居てくれるから、

また来よう。

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10月14日までの入館者へのプレゼント、牛乳を注ぐ女の「特製マグネット付きブックマーク」をもらいました。

「フェルメールの街」(櫻部由美子 ハルキ文庫)を読んでいたので、ちょうどのタイミング、良いプレゼント。


フェルメールの人となりはよく分からない。それだからこそ、色々なフェルメール像があっていいのかな?

「真珠の耳飾りの少女」と言う映画もあったし、いま公開中の「チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛」もフェルメールの世界へのオマージュに満ちているそうです。

この文庫本「フェルメールの街」もその一つ。

顕微鏡を使って微生物を観察し「微生物学の父」と呼ばれるレーウェンフック(天文学者や地理学者のモデルとも言われている)とフェルメールが、デルフトで起こった事件を解決していくミステリー小説。

日常の描写の中で、エピソードの中で、こちらもフェルメールの作品のオマージュが出てきて、これはあの作品のことだと想像したり、フェルメールの恋や結婚なども出てきて、

フェルメール好きにはたまらない一冊でした。

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もちろん帰ってきて、美味しい一杯を展覧会の余韻と共にいただきました。

黒ビール、美味しかったです。

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展覧会、「9/35」となっていましたが、9作品目の「取り持ち女」は1月9日からの展示となるそうです。

少なくとも1月にはもう一度フェルメールに会いに行かなくてはと思っています。

そうそう、

これでじぶんの見たフェルメールは18作品から、

「ワイングラス」と「赤い帽子の娘」の2つが加わって『20/37』になりました。1月が待ち遠しい。

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