SSブログ

印刷博物館「活版印刷三日月堂×印博」_2018年度一番の本:20181208 [読んだ本]

今年も残すところもうわずか。 毎年思うけれど光陰矢の如し。いえ、矢どころかワープの速さかなと ?

最近はつくづく思います。

子供の頃に比べて時間が早く過ぎ去ると思うのは、毎日に変化がないせいとか ?

どこかの5歳児の番組で言っていましたが、それだけではないかもしれません。  ともあれ、

IMG_1358-12.jpg

2018年も、第4コーナーを曲がりゴールまでもう僅かになってしまい、今年の振り返りをするときなのかも?

それもあり ? 2018年に読んだ本の中で気に入ったものを記憶に残しておこうと思います。

PC150010-12.jpg

塩野さんがもうこれで長いものは書かない。
ある意味で絶筆宣言をされた最後の一冊「ギリシア人の物語 Ⅲ」。塩野さんはじぶんが学生時代から好きだった作家さん。

「ギリシア人の物語 Ⅲ」は外せないです。


「通い猫アルフィー」、レイチェル・ウェルズさんのシリーズも。

一冊目を読んでアルフィーと飼い主たち(通い猫だから複数の家が飼い主なんです)の心温まるお話にはまってしまいました。


番外編として、3年間かかりましたが(量が極めて多いと言う訳ではなく370ページ。少しずつ読んだせいです。)、マルグリット・ユルスナールさんの「ハドリアヌス帝の回顧録」も面白かったです。

最初は本当にローマのハドリアヌス帝が書いた回顧録だと思って読んでいて、途中で小説だと気が付いてびっくりしました(少々ドジか? ^^;)。


そして、今年一番の本。 今でも思い出すたび心の奥からがジーンとするのは、

「ほしおさなえ」さんの「活版印刷 三日月堂」シリーズの次の4冊。

" 星たちの栞 "

" 海からの手紙 "

" 庭のアルバム "

" 雲の日記帳 "

PC150016-12.jpg

本当はもっと早くブログに残しておこうと思ったのですが、

「三日月堂×印刷博物館」、東京飯田橋の印刷博物館で、この活版印刷三日月堂の企画展示があることを知り、

ならばそれを見てからと思っていました。

PC080010-12.jpg

12月8日の土曜日、娘を誘って印刷博物館まで。

PC080011-12.jpg

" 星たちの栞 "の3番目、「星たちの栞」のお話の中で、小枝や侑加たちが文化祭の企画のために、三日月堂で印刷した栞が実際に作られ展示されていました。活版印刷の言葉は、宮沢賢治の銀河鉄道の夜からです。

「星たちの栞」、
川越市内(三日月堂は川越にあるんです)の私立高校の文芸部。
文章が上手だけれど家に嫌なことがある侑加、その才能に複雑な思いを抱く親友で部長の小枝。
そして、二人を見守る文芸部顧問、遠田先生の学生時代の演劇部での「銀河鉄道の夜」上演の時のことが重なってお話が進んでいきます。

宮沢賢治は好きだし、このお話も素敵でした。

PC080044-12.jpg

あわゆきのファースト名刺
" 海からの手紙 "の「あわゆきのあと」からは、広太くんの、赤ちゃんのまま亡くなったお姉さん、あわゆきちゃんのファースト名刺も展示されていました。

「あわゆきのあと」、
小学生の広太くん、わずか3日で死んでしまった姉がいたことを父から聞いて…。三日月堂で知った「ファースト名刺(赤ちゃんに贈る名前だけの名刺)」をあわゆきと、両親のために作ろうとします。

じぶんも子供の頃、「死」を思うと、深くて闇の中の様で怖くて、眠れなくなった記憶がありますが、そんなことを思い出します。
でも、それだけではなくて広太君の、お父さんの、そしてお母さんの家族や子供を思う心に…ジーン。

PC080042-12.jpg

貝殻の豆本とその版
" 海からの手紙 "の「海からの手紙」 からは昌代さんが作った貝殻の豆本が展示されていました。

PC080036-12.jpg

銅版画と製本を大学時代に学んでいた昌代さん、貝をモチーフにした銅版画を好んで作っていましたが、一緒に暮らしていた恋人と別れてしまってからは銅版画から離れてしまいました。
でも、ふと知り合った三日月堂の弓子さんと話すうちに、情熱を思い出し取り戻し、

PC080035-12.jpg

やがて弓子さんの活版印刷と、自らの銅版画で、貝殻の豆本を作りはじめます。

作品の中で登場した豆本が、本当に小さなサイズで見られるなんて、じーーん。

PC080037-12.jpg

" 庭のアルバム " 「庭のアルバム」からは楓さんの ツユクサのカードです。

学校が友達が少し苦手の高校生の 楓さん。じぶんの好きなことやりたいことが良く分からずにいます。
でも、活版印刷のワークショップをきっかけとして三日月堂のこと、描くことに興味を持ちはじめ、弓子さんの提案で、自ら描いたおばあちゃんの家の庭の、万葉集に出てくる花たちのカードを作ることに。

楓さんはこの後、弓子さんの三日月堂を手伝うことになります。

PC080033-12.jpg

作者の原稿の校正とかも展示されていました。

なるほど、こうやって校正していくんだなと!! 興味津々でした。

PC080025-12.jpg

そして、4巻目。

" 雲の日記帳 " の「星をつなぐ線」からは星空館の星座早見盤です。

プラネタリウム「星空館」のリニューアル記念に、創業時に販売されていた星空早見盤を復刻したいと三日月堂への依頼。

星座早見盤は表の原版しか残っていない状態でしたが、弓子さんが偶然、当時の星座盤をもっていたため(星が大好きなお父さんとの思い出のものです)、復刻できることに。

PC080046-12.jpg

活版印刷三日月堂、

川越の街の古い印刷所「三日月堂」。店主である祖父が亡くなり、空き家になっていた三日月堂に、孫娘の弓子さんが帰ってきます。川越の街の人たちと交流していく内にふとした依頼から活版印刷を再開することに。

三日月堂が営むのは昔ながらの活版印刷。活字を一つ一つ拾いインキ(印刷ではインクではなくてインキだそう)で一枚一枚 " ことば " を紡ぐように印刷していきます。

そんな三日月堂には、色々な思いを持つお客さん達が訪れ、弓子さんが紡ぐ活字と " ことば " の温かさによってこころが解き放されていきます。


4冊とも短編が4つ~5つくらいで構成されています。

PC080020-12.jpg

それぞれの短編にそれぞれの主人公がいて、心温まるお話がつづられていくのですが、

その中に月野弓子さんが狂言回しのように登場して、それらの主人公たちの縁を紡いでいきます。

PC080027-12.jpg

1巻から4巻までの全体の構成がしっかりしていて、

それぞれのお話自体も、どれも涙腺を刺激され背中がジーンとなるほどに感激するお話ばかり。

ほしおさなえさんって、すごい作家さんだなと思いました。

PC080053-12.jpg

3巻から4巻にかけては、だんだんと弓子さんのことも綴られて行きます。

最終巻を読み終わって弓子さんのことがとても気になりました。続きがあればその後の三日月堂のことも知りたいなと。

PC080056-12.jpg

好きになった本の世界を、こうやって実際に見ることができて、

今回のこの展覧会はとても面白かったです。

PC080070-12.jpg

三日月堂そのものも、模型が作られていて尚一層イメージが膨らみました。

年末年始のお休みには、もう一度読み返してみようかなと。

PC080071-12.jpg

印刷美術館では常設展とこの活版印刷三日月堂の企画展と共に、

「天文学と印刷」の特別展も開催されています(1月20日まで)。

PC080064-12.jpg

こちらも、コペルニクス、ティコ・ブラーエ、ケプラー、ガリレオ等、

天文学の進展に大きな役割を果たした学者と、その著作物、古書等の貴重な書籍が展示されていました。

ガリレオがずっと手元に置いていた本なども展示されていて、この特別展もとても興味を惹かれた素晴らしいものでした。

PC080083-12.jpg

約2時間、娘と展示物を楽しんだらお腹が空きました。

飯田橋でランチですが、店がよく分からなかったのでサイゼリアへ !!

二人で飲んで食べて2,000円也。 リーズナブルでびっくりでしたが、飲んだビールにもびっくり ?

飲もうと持ち上げて軽くて、笑 ジョッキーがプラスチック製でした。 
最初だけでなく、2度目に持ち上げてもビックリでした(中身はちゃんとビールでしたが) ^^;;

PC080095-12.jpg

展覧会では展示されていたものと同じ、星空の栞と

「桐一葉のコースター」( " 星たちの栞 " の「八月コースター」に出てきます)を買ってきました。

実際に活版印刷で印刷されたものたち。


今の印刷と違って活字そのものが生きている、しっかりと " 言葉 " を主張します。

暖かいし、何となく優しい。 子供の頃、田舎に帰った時の様な感じを思い出します。

IMG_1356-12.jpg

絵画等ではなく、展覧会番外編であったけれど、

見どころ満点で素敵な展覧会でした。

IMG_13612.jpg

そろそろ年末年始の色々な準備もしないといけないのですが…年賀状もまだ書いていない状態です。 ^^;;

年末年始に読む本も何か見つけておかないと !! 何かお勧めの本はありますか? 教えて頂けると嬉しいです。 ^^


今日はこれから今年のコンサートの締めくくりです、

NHKホールまで、第9を聴きに行ってきます。 


コンサートも今年は何回か行くことができました。

マイブームのメンデルスゾーン、交響曲を3曲(スコットランド・イタリア・宗教改革)も聴けたし、松田華音さん、田部さんのピアノも聴くことができました。

でも、何といっても引退してしまうピリスが聴けたのは、じぶん自身の宝物です(生まれて初めてスタンディング)。

2018年も色々聴けたけれど、締めの第9 !!

楽しんできます。 ^^


" 2018/12/08 Letter Press Printing Crescent "
nice!(63)  コメント(41) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。