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ギュスターヴ・モロー展 & Ginza Sony Park :20190427 [展覧会]

2019年「行きたいものリスト」の3つ目。

04/06~06/23 パナソニック汐留ミュージアム ギュスターヴ・モロー展 " サロメと宿命の女たち "


GW 初日の4月27日に友達と一緒に汐留まで出かけてきました。

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今回の展覧会の目玉の一枚だと思います。

その後の彼女の物語、オスカーワイルドやビアズリー等のものも決定づけてしまったモローの「サロメ」。
モローと言えばサロメを忘れることはできません。

踊りの褒美にヘロデ王に求めたヨハネの首。

斬首され血が滴っている洗礼者ヨハネに立ち向かうかのように対峙するサロメ。左後ろにはヘロデ王と母親のヘロデアがいますが、宙に漂うヨハネはサロメにしか見えていない様子です。

油彩で描かれたこの絵を特別な一枚にしているのは、後から施されたと思われる背景の線描です。

白く引っかかれたように見える線が描く、オリエント的、インド的、異教的にも思える不思議な輪郭と模様が、この絵をより一層、不可思議で耽美的、より奥深くへと見る者の心を引きずり込みます。


ヨハネの首から滴る血の色が忘れられなくなりました。

≪出現 1876年 142×103≫
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白鳥に姿を変えたゼウスに誘惑される王妃レダを描いた作品です。

暖色系を使わず、どちらかと言うとモローの中では落ち着いた感じの作品になっていると思いますが、

見ていてルドンの作品を思い起こしました。

展覧会を見終わっても強く記憶に残っている作品です。

≪レダ 114.8×68.5≫
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処女にだけしか捕まえることができないという一角獣も、モローは沢山描いているとのことです。

「出現」と同じように、貴婦人たちの衣装等には引っ掻いたような細い線で、その模様が描かれていました。
それにより、より繊細さと、作品自体を絵画だけでなくオブジェの様に感じさせる…そんな効果もあるんだなと思いました。


ファム・ファタール、

サロメの様な耽美的、滅びや破滅への導きと言う面だけでなく、純粋で気高く美しい女性も描いているのですね。

≪一角獣 1885年頃 115×90≫
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母親を亡くし、その数年後にアレキサンドリーヌ(長年共に生き愛情を注ぎ注がれた女性)を続けて亡くしたモローが描いた作品とのことです。

赤い翼、長い剣を掲げ騎乗した死の天使と運命の女神の一人パルク。

最愛の二人の女性を失ったモローの心の底からの慟哭と深い悲しみ、喪失感が感じられ、忘れられない一枚になってしまいました。

また、この絵を見ていてFF シリーズのキャラクターデザイン等を手掛けている天野喜孝さんを思い出しました。

実は、展覧会の後、つい先日に天野喜孝さんの作品も見る機会があったのですが、感じが似ていることにびっくり。
調べてみると天野喜孝さんはモローに大きな影響を受けているとのことでした。

≪パルクと死の天使 1890年頃 110×67≫
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お母さんのポーリーヌの若い頃。

綺麗な方だったんですね。

≪ポーリーヌ・モロー≫
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実際の奥さんだったと思います、アレクサンドリーヌさん。

≪アレクサンドリーヌ・デュルー≫
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展覧会では写真も展示されていました。

≪アレクサンドリーヌ・デュルー 写真≫
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モローが描いたじぶんとアレクサンドリーヌ。

ファム・ファタール、サロメやスフィンクス、セレネー、ヘレン、レダetc etc…を描いたモローがこんなに可愛い作品、愛情をダイレクトに描いていることにびっくりしました。
また、何だかほっとした気持ちも。

≪雲の上を歩く翼のあるアレクサンドリーヌ・デュルーとギュスターヴ・モロー≫
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約1時間半くらい、友達と一緒になってまたは別行動で、モローの世界にじっくりと浸ることができました。

何か食べようということで銀座まで歩いて、洋食屋さん「あずま」さん。

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先ずは冷たいビール。

そして、ランチを頂きました。

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友人はもち豚のジュウジュウ焼き。熱々の鉄板に載せられたもち豚に特製のたれをかけると~ !!
文字通りジュウジュウと良い音と匂いで、一気に食欲がそそられました。

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じぶんは定番のふわとろオムライス ♪

カニクリームコロッケも付けてもらって、ハフハフと美味しく頂きました。

ビールに老舗の洋食でお腹いっぱい、満足 !!

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腹ごなしを兼ねて銀座をぶらぶら。

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GW 初日の銀座は思いの外空いていました。

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4丁目の交差点を右に曲がって SONYビルの跡地へ行ってみると、

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おやおや、なんだこれは~ !! と地下に続く階段が。

ここ、銀座だよね??

行ってみよう!!

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降りてみれば、銀座の地下?

かなり広めの空間が広がっているのでした。

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最近来ていなくて情報にも疎かったのですが、

このソニービルの跡地は " Ginza Sony Park "。

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" Ginza Sony Park " のHPを見ると、

「2018年8月から2020年秋までの期間、「Ginza Sony Park」として、この場を活用していきます。
 フラットな地上部に加え、地下については「ローワーパーク」というコンセプトのもと開放的な空間を
 つくることで、地上と地下が一体となった立体公園を実現させます。 」

そして、2020年からビルを建築し2022年には新しいソニービルができるとのことでした。

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現在は " eatrip city creatures " が 2019.4.20 - 5.24の間開催中。

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こちらもHPでは次の様に説明されていました。

「銀座に湧き出る地下水を使用した水畑が登場!人々の声や音楽を聞かせて食物を育みます。

 かつて銀座のまわりには海が広がっていて、その名残りで、周辺には今でも地下水が流れています。
 食物が育つために必要な「水」という資源が、銀座の街にあるのです。
 銀座の地下に湧き出る水と、訪れる人々の声や街の音、奏でられる音楽を栄養素として食物を育てる
 プログラム。」

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地上から降り注ぐ太陽の光がキラキラ。

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そして、これが銀座の地下水の恵み、

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水畑なのですね。

上の階のピアノを弾くと、この水畑の明かりたちが煌めくという仕掛けも。音楽と銀座の地下水とぼくたちの生活の音で野菜たちがすくすくと育っている様子でした。

じぶんも、案内の方が弾いてみたらと勧めてくれたので、曲は弾けないけれど適当な和音で。笑

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地下4階にはなんとなんと、代官山の SPRING VALLEY BREWERY のお店が入っていました。

" BEER TO GO " by SPRING VALLEY BREWERY さん。

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あずまさんで頂いたばかりだったので、この日は入りませんでしたが、次回はここで美味しいクラフトビールを頂きたいな。

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じぶんとモローとのこと。

学生の頃から通っていた京橋にあるブリヂストン美術館。
そこで印象派のモネやマネ、銀色の霧のコロー、ピカソの新古典時代のサルタンバンク、大好きなルオーのピエロ等々、たくさんの西洋美術の作品と画家たちに出会いました。じぶんの絵画の原点みたいな美術館。

その中で、訪れるたびにいつも気になっていた一枚の絵がありました。
「化粧」という名前の付いたその絵は、1885~90年年頃にモローによって描かれたそんなに大きくない33cm×18.5cmの水彩画で、踊り子でしょうか、オリエンタル風の衣装を着てうつむき加減に立つ半裸の女性が描かれています。

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透き通るベールの様な衣装は濃い青に左足とお腹の辺りの赤い色。
一度見て、この赤が忘れられなくなりました。そしてギュスターヴ・モローも、じぶんの中では、熟しきった
柘榴、刺されてあふれだす血の色の画家として忘れられない画家になりました。

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今回のギュスターヴ・モロー展で、モローの人となりを初めて知りましたが、二人の女性との深い愛情、
母親ポーリーヌと恋人アレキサンドリーヌ(正式に結婚はしなかったけれど実際の奥さんだと思います)とだけと言えるくらいの閉ざされた私生活は、生まれ育った環境や小さい頃の教育等が影響しているのかなと。

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母親の深い愛情を、ただ一人の妹が13歳で亡くなったことから一身に受けて育ち、その愛情に感謝し、感謝しきれない自分を責めたりしたモロー。

モデルを務めたことから出会い、生涯、愛情を注ぎ注がれたアレキサンドリーヌと結局は結婚しなかったのも母親ポーリーヌの愛情の大きさからだったのかな。

そんなことを知ると、生涯にわたって物語の中の女性ばかり、
美しく、魅惑的、華奢で可憐、大きな力に抗えず、でもそれゆえ力を破滅へ導くもの…etc etc…、
ファム・ファタールを描き続けたモローのことが、じぶんなりに少し理解できたような気がしました。

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そして、もちろん同じ人ではあるけれど、女性と男性とは原初的なところでは考え方や感じ方が違うものなのではないかなと、性や愛、生きること死ぬこと等根源的なところの思考は異なっているのではないかなと、そんなことも改めて思ったり。

男性にとって、最も神秘的な存在は女性なのかな。

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ギュスタヴ・モロー、
最愛の母に対する感謝と愛情、かけがえのないアレキサンドリーヌへの深い愛…、
抗えようのない内面からの迸り。

そして、ファム・ファタール、
男性にとっての" 運命の女性 " の意味を確かめようと、神話や聖書の物語の女性たちの姿を借り描き続けたのではないかなと思いました。

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10連休の初日。

行きたいものリストの3つ目。

ギュスタヴ・モロー展もとても面白く、色々と考えさせられ、頭の中の陣地取りをさせられた展覧会でした。

ファム・ファタール、今年のじぶんの展覧会のテーマになったように思えます。この後は今年のメインイベント!!
シーレとクリムトです。

クリムトをメインとする二つの展覧会の前売り券は購入済み。GW が過ぎたら行こうかなと  b^^

" 2019/04/27 Gustave Moreau & Ginza Sony Park "
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