原田マハ_美しき愚かものたちのタブロー&松方コレクション:20190812 [展覧会]
最近は美術関係の長編をなかなか書いてくれないなと、少し残念に思っていましたが、
名古屋に出張した際、待ち時間で本屋さんに行った時に「美しき愚かものたちのタブロー」、
原田マハさんの久々の新作長編を見つけてしまいました。
もちろん、速攻でレジへ !!
帰りの新幹線でもずっと、
こんなに持続して読んだことのないくらい集中して(せざるを得ないほどでした)、読んで来ました。
松方コレクションって、多くの人たちの本当に愚直で真摯な希望、夢、期待、大志、友情と愛とetc etc…、
多くのパワーがあって、今ここに、じぶん達の目の前にあるのだなと。
今まで西洋美術館の常設展は何度も見てきましたが、
これからは同じ風には見られないなと、
とても大切なものなんだなと…心からそう思いました。
「いつか日本に美術館を作る。」
青少年たちに本当の西洋美術を見る機会を与えたいと、作品を集め続けた松方幸次郎。
「全力で守ります。」
第二次世界大戦の敵国フランスで、大切な作品たちを長い間守り続けた日置釭三郎。
最愛の妻ジェルメンヌ、ゴッホの「アルルの寝室」。
「松方さんの夢をかなえたい。」
戦後、敵国の財産として接収されていたコレクションを取り戻そうと、必死に交渉した美術史家、田代雄一。
「取り返そうじゃないか、この国に。」
返還交渉に臨む宰相、吉田茂。
そして " ジヴェルニーの食卓 " でとても身近になったモネとその義理の娘のブランシュにもまた、出会うことができました。
でも、「睡蓮 柳の反映」は戻ってこなかったし、ゴッホの「アルルの寝室」も、ゴーギャンの「扇のある静物」も。
あまりにも貴重な作品で返還することはできないと、フランスに留めおかれることに。
戦争にもですが、その後のことも何となくの理不尽さを感じました。
そんな本を読んでしまって、
友達を誘って出かけた8月12日の西洋美術館「松方コレクション展」は、もう見る前から胸にこみあげるものが。
みなさんもそうなのかな ?
開館前30分に美術館に着きましたが、もうかなりの列ができていました。夏真っ盛りで朝だけれど日差しは厳しい中、それでも期待でいっぱいで列に並んでいると開館時間の9時30分。
そして、松方コレクションです。
最初に展示されていたのは、モネでした。
モネの1916年作の「睡蓮」(無事に戻ってきた睡蓮)。
もうこれで、胸の中がいっぱいになってしまいました。
それからは、全ての作品が輝いているように見え、愛おしくてなりませんでした。
あんな劣悪な環境、逆境の中を何年も過ごしたのに、松方さんたちが抱いた夢の通りに、ここにいるなと…。
すごいぞ、君たちと。
≪フランク・プランタイン 共楽美術館構想俯瞰図 39.5×53 西洋美術館≫
コレクションを集めるのに初期の頃、松方さんが多くのアドバイスを受けたフランク・プランタインが描いた
「共楽美術館」です。
松方さんはこんな美術館を作りたかったのですね。
作品は一作一作が全て素晴らしいものに思えて、どれがとは全然思うことはできませんでしたが、
特に気になったものが何枚かありました。
このセガンティー二も良いな !!
アルプスの画家セガンティー二は作品からたくさんのことを話してくれます。この少女もとても雄弁でした。
≪ジョヴァンニ・セガンティー二 花野に眠る少女 50.6×38.8 西洋美術館≫
モネと言えば睡蓮、霧の風景、積みわら等有名なモティーフの作品が沢山ありますが、雪を描いたものもじぶんは好きです。
中でも「かささぎ」はとても好きですが、この雪の景色も良いなと。
≪モネ 雪のアルジャントゥイユ 55.5×65 西洋美術館≫
風景画に良いものが沢山ありました。
コローのこの作品、
≪ジャン・パティスト・カミーユ・コロー 罪を悔ゆる女 74×59.5 三井銀行≫
シスレーの夕日もとても良かったです。
≪アルフレッド・シスレー 冬の夕日 50×65 個人蔵 ≫
そして、ここからは田代さんたちが何とか返還と交渉を重ねた結果の作品たち。
ゴッホ、トゥールーズ=ロートレック、マネ、ゴーガン4点、クールベ、ボンブァン3点、
セザンヌ3点、モロー、ピカソ、スーティン2点、マルケ、ロダンを交渉時にフランスは保留することとしていたようです。
困難な交渉だったと思います。
この中でも特に2点の作品、ゴッホ「アルルの寝室」、ルノワール「アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)」の返還を粘り強く交渉した結果、
このルノワールは戻って来ることになったとのこと。
≪ルノワール アルジェリア風のパリの女たち 156×128.8 西洋美術館≫
このゴッホの有名な作品も、もしかしたら西洋美術館に毎日展示されていたのかもしれないし、
≪ゴッホ アルルの寝室 57.5×74 オルセー美術館≫
ゴーガンもだったのですね。
正直、すごく残念だけれど、でもルノワールたちが戻って来てくれたのは、当時交渉に当たった方達の努力の賜物なのだなと。
≪ゴーガン 扇のある静物 50×61 オルセー美術館≫
最後にこれは特別な作品。
変換されなかったリストに入っていた「睡蓮 柳の反映」です。
松方さんがジヴェルニーのモネの家へ行って直接モネから譲り受けた、晩年のモネの大作。
あの人類の貴重な美術品の一つであると言われている、オランジェリー美術館の睡蓮「大装飾画」に加わっていたかもしれない作品だとのことです。
長い間、劣悪な環境で保管されていたため上半分が欠落し、2016年フランスで再発見されるまで放置されていたとのこと。
それを簡易的に処置を施して日本に寄贈。
NHKで修復の様子を撮影し放映してくれたので、録画しておいて休みの日に見ましたが、
ここでも修復の方達の他、多くの人々の努力でここまで復元出来たことを知りました。
見ていて携わった方達の熱い思いがひしひしと伝わって来て、涙腺うるうるでした。
また、作品としては欠落した部分はあえて修復せずこのままとしたようですが、
欠損した部分をAIの力を借りて想像(どんな絵だったかは幸運にも写真があったようです)。デジタルで復元したものも展示されていました。
≪モネ 睡蓮、柳の反映 199.3×424.4 西洋美術館≫
ものを破壊しなくしてしまう人の浅はかさ、
でも、それをまた復元しようとする人の情熱…。「睡蓮 柳の反映」は見る人たちにずっとそのことを伝えていくのでしょう。
最後の展示「睡蓮 柳の反映」とAIによるデジタル復元は、感動なくしては見られませんでした。
しばらく、ずっと佇んでいてしまいました。
本を読んでいて思い入れがあったじぶん、
かなり長い間鑑賞してしまい、一緒に行った友達をかなり待たせてしまいました。
でも、友達はちゃんと待っていてくれて「良い展覧会だったね」と。
今回の前売りチケットのおまけは、モネの睡蓮のエコバックです。これも良い思い出のグッズにななりました。
美術館を出てみると、鑑賞していた間に雨が降ったようで地面が濡れていました。
暑い中の雨は、上野を余計に蒸し暑くしていて、
ならば冷たいものと !! 笑
上野の周りは混んでいるので、じぶんたちの聖地、秋葉へ。
先ずは「お疲れさま~」と、冷たい生で乾杯です。わぁ~!! やっぱりうんまい !!
夏を乗り切るスタミナをと、カツ屋さんに入ったのですが、
なんと友達は3種類のカツのメガ盛りを一気に…、まだまだ若いなぁ ^^;
負けじとと行きたかったのですが、
じぶんはヒレとロースの2種盛にしておきました。^^;
これでも結構頑張った方です。お腹いっぱいになりました。
原田マハさんの新作を読んでいった東京国立西洋美術館の「松方コレクション展」。
今年は沢山良い展覧会がありましたが、その100年の航海、ドラマと人々の熱い思いと言う意味では、今年一番の展覧会だったと思います。
会期は9月23日までですが、特別展が終わったら、
静かな常設展にもう一度行ってみたいなと思っています。
静かな場所で、もう一度作品たちと話をしてみたいなと。
" 2019/08/12 The MATSUKATA COLLECTION A One Hundred Year Odyssey "
名古屋に出張した際、待ち時間で本屋さんに行った時に「美しき愚かものたちのタブロー」、
原田マハさんの久々の新作長編を見つけてしまいました。
もちろん、速攻でレジへ !!
帰りの新幹線でもずっと、
こんなに持続して読んだことのないくらい集中して(せざるを得ないほどでした)、読んで来ました。
松方コレクションって、多くの人たちの本当に愚直で真摯な希望、夢、期待、大志、友情と愛とetc etc…、
多くのパワーがあって、今ここに、じぶん達の目の前にあるのだなと。
今まで西洋美術館の常設展は何度も見てきましたが、
これからは同じ風には見られないなと、
とても大切なものなんだなと…心からそう思いました。
「いつか日本に美術館を作る。」
青少年たちに本当の西洋美術を見る機会を与えたいと、作品を集め続けた松方幸次郎。
「全力で守ります。」
第二次世界大戦の敵国フランスで、大切な作品たちを長い間守り続けた日置釭三郎。
最愛の妻ジェルメンヌ、ゴッホの「アルルの寝室」。
「松方さんの夢をかなえたい。」
戦後、敵国の財産として接収されていたコレクションを取り戻そうと、必死に交渉した美術史家、田代雄一。
「取り返そうじゃないか、この国に。」
返還交渉に臨む宰相、吉田茂。
そして " ジヴェルニーの食卓 " でとても身近になったモネとその義理の娘のブランシュにもまた、出会うことができました。
でも、「睡蓮 柳の反映」は戻ってこなかったし、ゴッホの「アルルの寝室」も、ゴーギャンの「扇のある静物」も。
あまりにも貴重な作品で返還することはできないと、フランスに留めおかれることに。
戦争にもですが、その後のことも何となくの理不尽さを感じました。
そんな本を読んでしまって、
友達を誘って出かけた8月12日の西洋美術館「松方コレクション展」は、もう見る前から胸にこみあげるものが。
みなさんもそうなのかな ?
開館前30分に美術館に着きましたが、もうかなりの列ができていました。夏真っ盛りで朝だけれど日差しは厳しい中、それでも期待でいっぱいで列に並んでいると開館時間の9時30分。
そして、松方コレクションです。
最初に展示されていたのは、モネでした。
モネの1916年作の「睡蓮」(無事に戻ってきた睡蓮)。
もうこれで、胸の中がいっぱいになってしまいました。
それからは、全ての作品が輝いているように見え、愛おしくてなりませんでした。
あんな劣悪な環境、逆境の中を何年も過ごしたのに、松方さんたちが抱いた夢の通りに、ここにいるなと…。
すごいぞ、君たちと。
≪フランク・プランタイン 共楽美術館構想俯瞰図 39.5×53 西洋美術館≫
コレクションを集めるのに初期の頃、松方さんが多くのアドバイスを受けたフランク・プランタインが描いた
「共楽美術館」です。
松方さんはこんな美術館を作りたかったのですね。
作品は一作一作が全て素晴らしいものに思えて、どれがとは全然思うことはできませんでしたが、
特に気になったものが何枚かありました。
このセガンティー二も良いな !!
アルプスの画家セガンティー二は作品からたくさんのことを話してくれます。この少女もとても雄弁でした。
≪ジョヴァンニ・セガンティー二 花野に眠る少女 50.6×38.8 西洋美術館≫
モネと言えば睡蓮、霧の風景、積みわら等有名なモティーフの作品が沢山ありますが、雪を描いたものもじぶんは好きです。
中でも「かささぎ」はとても好きですが、この雪の景色も良いなと。
≪モネ 雪のアルジャントゥイユ 55.5×65 西洋美術館≫
風景画に良いものが沢山ありました。
コローのこの作品、
≪ジャン・パティスト・カミーユ・コロー 罪を悔ゆる女 74×59.5 三井銀行≫
シスレーの夕日もとても良かったです。
≪アルフレッド・シスレー 冬の夕日 50×65 個人蔵 ≫
そして、ここからは田代さんたちが何とか返還と交渉を重ねた結果の作品たち。
ゴッホ、トゥールーズ=ロートレック、マネ、ゴーガン4点、クールベ、ボンブァン3点、
セザンヌ3点、モロー、ピカソ、スーティン2点、マルケ、ロダンを交渉時にフランスは保留することとしていたようです。
困難な交渉だったと思います。
この中でも特に2点の作品、ゴッホ「アルルの寝室」、ルノワール「アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)」の返還を粘り強く交渉した結果、
このルノワールは戻って来ることになったとのこと。
≪ルノワール アルジェリア風のパリの女たち 156×128.8 西洋美術館≫
このゴッホの有名な作品も、もしかしたら西洋美術館に毎日展示されていたのかもしれないし、
≪ゴッホ アルルの寝室 57.5×74 オルセー美術館≫
ゴーガンもだったのですね。
正直、すごく残念だけれど、でもルノワールたちが戻って来てくれたのは、当時交渉に当たった方達の努力の賜物なのだなと。
≪ゴーガン 扇のある静物 50×61 オルセー美術館≫
最後にこれは特別な作品。
変換されなかったリストに入っていた「睡蓮 柳の反映」です。
松方さんがジヴェルニーのモネの家へ行って直接モネから譲り受けた、晩年のモネの大作。
あの人類の貴重な美術品の一つであると言われている、オランジェリー美術館の睡蓮「大装飾画」に加わっていたかもしれない作品だとのことです。
長い間、劣悪な環境で保管されていたため上半分が欠落し、2016年フランスで再発見されるまで放置されていたとのこと。
それを簡易的に処置を施して日本に寄贈。
NHKで修復の様子を撮影し放映してくれたので、録画しておいて休みの日に見ましたが、
ここでも修復の方達の他、多くの人々の努力でここまで復元出来たことを知りました。
見ていて携わった方達の熱い思いがひしひしと伝わって来て、涙腺うるうるでした。
また、作品としては欠落した部分はあえて修復せずこのままとしたようですが、
欠損した部分をAIの力を借りて想像(どんな絵だったかは幸運にも写真があったようです)。デジタルで復元したものも展示されていました。
≪モネ 睡蓮、柳の反映 199.3×424.4 西洋美術館≫
ものを破壊しなくしてしまう人の浅はかさ、
でも、それをまた復元しようとする人の情熱…。「睡蓮 柳の反映」は見る人たちにずっとそのことを伝えていくのでしょう。
最後の展示「睡蓮 柳の反映」とAIによるデジタル復元は、感動なくしては見られませんでした。
しばらく、ずっと佇んでいてしまいました。
本を読んでいて思い入れがあったじぶん、
かなり長い間鑑賞してしまい、一緒に行った友達をかなり待たせてしまいました。
でも、友達はちゃんと待っていてくれて「良い展覧会だったね」と。
今回の前売りチケットのおまけは、モネの睡蓮のエコバックです。これも良い思い出のグッズにななりました。
美術館を出てみると、鑑賞していた間に雨が降ったようで地面が濡れていました。
暑い中の雨は、上野を余計に蒸し暑くしていて、
ならば冷たいものと !! 笑
上野の周りは混んでいるので、じぶんたちの聖地、秋葉へ。
先ずは「お疲れさま~」と、冷たい生で乾杯です。わぁ~!! やっぱりうんまい !!
夏を乗り切るスタミナをと、カツ屋さんに入ったのですが、
なんと友達は3種類のカツのメガ盛りを一気に…、まだまだ若いなぁ ^^;
負けじとと行きたかったのですが、
じぶんはヒレとロースの2種盛にしておきました。^^;
これでも結構頑張った方です。お腹いっぱいになりました。
原田マハさんの新作を読んでいった東京国立西洋美術館の「松方コレクション展」。
今年は沢山良い展覧会がありましたが、その100年の航海、ドラマと人々の熱い思いと言う意味では、今年一番の展覧会だったと思います。
会期は9月23日までですが、特別展が終わったら、
静かな常設展にもう一度行ってみたいなと思っています。
静かな場所で、もう一度作品たちと話をしてみたいなと。
" 2019/08/12 The MATSUKATA COLLECTION A One Hundred Year Odyssey "