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部屋籠りの時のこと_北鎌倉音楽散歩_桜とシャガ& Mozart Pcon No.27 Walter Klien:20220402 [鎌倉]

生まれて、役目を終えて…、去っていくのが人の一生だと思うのですが、

悠久の時の流れの中で、

じぶんが過去や未来ではなくてこの時、この今の世界に生まれてきたことをとても不思議に思います。

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それと共に、

科学や文化の進歩の状況を見ると、もうあと50年か100年くらい経ってから生まれて、その時の地球を見てみたい。

きっとアトムのようなアンドロイドとか出来ていて一緒に暮らしたり、火星に人が住んでいたりとか etc etc …。

そんな世界で過ごしてみたいとも思うのですが、それは贅沢なのかもしれません。

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ただ、この時に生まれてきて良かったと思うのは、フェルメールやモネやルオーより遅く生まれたので、

素晴らしい作品に会うことができるし、

ブラームス、マーラー、ラフマニノフ、そして大好きなモーツアルト等の綺麗で美しいメロディーを

聴くことができることだなぁと。

これらのことは、本当にラッキーなことだとつくづく思うのです。

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唐突にこんなことを思ったのは、久しぶりにCD を取り出して聴いたオーストリアのピアニスト、

ワルター・クリーンのN響との演奏、モーツアルトのコンチェルトを聴いたから。

先人たちの残してくれた宝物。

それらを享受できることは何にも勝るものだなぁと…。今の時に生まれて良かったなぁと。


こんなことを思った今年の春の日。

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昨年はせっかく咲いた桜もあまり見ずに終わってしまいましたが、

木村伊兵衛展の後の、目黒川のちょうど咲き始めた桜の可愛らしさに、

今年はもう少し多く桜が見たいなと思っていました。


北鎌倉の桜たちにも会うために少しの時間ですが、4月1日の土曜日に出かけて来ました。

もちろん Walkman には、ワルター・クリーンの Mozart Piano Concert No.27 。久しぶりの音楽散歩です。

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円覚寺の山門をくぐれば、しーちゃんは専用の寝床? ぐっすりとお休みの最中。

その上を見ると、

「エサをあげないで !」の貼り紙です。高齢なので、色々なものをあげてしまうと具合も悪くなってしまうんですね。

いつまでも元気でいて欲しいので、皆さん、気を付けてあげてください。

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円覚寺の桜たちは?

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満開の時期は過ぎ、散り始めの頃。

風が吹くと少しずつ、その花びらはひらひらと。

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春の時をゆっくりと刻むよう…、一枚、二枚と…。

ひらひら…ひら…ひら。

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咲き始めや満開の時もですが、

桜の散り始めの頃も、とても良いものです。

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この日の北鎌倉は、時折、薄い雲が太陽を隠してしまう、そんな天気模様でしたが、

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光の具合が変わることによって、桜たちの表情も色々に変わって、

散る花びら…たちの輝き方も…、

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それはそれで、とても趣があるなぁと。

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ワルター・クリーン(Walter Klien, 1928年11月27日 - 1991年2月10日)は、

オーストリアのピアニストですが、残念ながらあまりメジャーではないのかもしれません。

モーツァルトのソナタの全集や何曲かのコンチェルト、シューベルトのソナタの全集等を録音していますが、

そのレーベルがメジャーでないためでしょうか ?

ただ、日本では亡くなる前にNHKのEテレで、ピアノのレッスンをしていたり、

何度も来日してNHK交響楽団と演奏会を開いたりしていて、かなりの親日家であったとのことです。

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じぶんもワルター・クリーンのことは、村上春樹さんの「意味がなければスイングはない」を読むまでは知らない

ピアニストさんでした。

「意味がなければスイングはない」の " シューベルト「ピアノソナタ第17番 ニ長調 D850」 ソフトな混沌の今日性 "

の中で、春樹さんはこんな風に書いています。

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「中期のものの中では、クリーンの演奏が際立っている。クリーンはウィーン育ちのピアニストで、普段はどちらかというと穏やかで地味な演奏をするが、いったんツボにはまると、息を呑むような音楽世界を作り出す。」

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こんな文章を読めば気にならない訳はなくて、ワルター・クリーンのシューベルトのピアノソナタ全曲、

3枚をHMV から取り寄せました。

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春樹さんが書かれていた第17番 ニ長調 D850 も良かったけれど、気に入ったのは、第13番 イ長調 D664 。

シューベルトのピアノソナタには珍しい ? 、チャーミングな曲にぴったりの素敵な演奏で、

この曲が大好きになりました(その後いろいろな演奏を聴きましたが、この演奏が今でも一番です)。

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そんなワルター・クリーン。

しばらく聴いていなかったのですが、部屋ごもりでの暇を持て余し、

CD の整理をしていた際に、ふと、思い出しました。

「そう言えば、ピエモンテージの27番良かったけれど、ワルター・クリーンのも良かったな。」

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CD は、1989年12月1日のNHKホールで若杉弘さんの指揮でのもの。

聴いてみると、ピエモンテージとは、又、違っている演奏。

じぶんは日本人ですからウィーン風などと言える訳ではないのですが、それでもイメージです。

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クリーンの演奏はお洒落で良い意味で遊んでいて(装飾音やカデンツァ等)、モーツァルト風、

ウイーンの息吹の様なものを感じます。

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後期の大規模でにぎやかな協奏曲、25番や26番とは違った感じの27番。

ウイーンでのモーツアルト熱は冷めて、それまでの曲がコンサートを開くために作られているのに対し、

27番はコンサートの予定はなく、私的な演奏会のために作曲されたとのこと。


そのせいもあって、ぐっとプライベート感。集まった人へ、そして自分にも…。そんなことを感じる曲です。

モーツアルトがなくなる年に書かれている曲のせいもあるのでしょうか。

第2楽章のラルゲットは諦念をも感じさせるような澄んだ感じの曲。


クリーンの音も澄み切っています。フレーズの終わりの音は虚空に消え入る様…。

そして、終楽章のアレグロのカデンツァでは≪春へのあこがれ≫を、そのままに弾いてくれています。

第3楽章のロンドの主題を用いてモーツアルトは後に歌曲≪春へのあこがれ≫を書きました。

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≪春へのあこがれ≫、

ワルター・クリーンの洒脱なカデンツァを聴きながら、円覚寺の今年の桜たちを写真に収めた後、

もう一つ気になっていた場所へと。

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この季節、気になる花は桜だけではありません。

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ちょうど、この頃咲き始めるシャガも。

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北鎌倉では東慶寺と浄智寺のシャガが好きです。

円覚寺の後は浄智寺のシャガを見に行きました。

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いつか訪れた時には、

ここ、浄智寺の石段の両脇に咲くシャガの上に、桜の花びらが雪の様に舞っている景色を見ました。

北鎌倉では素敵な、幻想的ともいえる不思議で美しい景色に、幾つか出会っていますが、

その中でも、ほんと、素敵な素敵な景色でした。

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それ以来、この季節の自分にとっての大切な場所です。

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あいにく、シャガはまだ一輪二輪の状況でした。

それでも、木漏れ日の下…、

今年も、浄智寺の咲き始めのシャガたちにも…会うことができました。

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ワルター・クリーンの27番を聴きながらの音楽散歩。

短い時間ですが、桜にもシャガにも会えて充実した時間。


悠久の時から比べると、じぶんたちに与えられている時間はちっぽけなものなのでしょう。

でも、それだからこそ、きらきら輝く桜の花びらを、

木漏れ日の下のシャガの美しさを、もっともっと楽しみたいと…、そんなことを思った一時でした。

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帰りにはこれも大好きな、横浜家系ラーメンを頂きました。

家系ラーメンは、海苔が本当にあうラーメンです。

海苔で麺をくるんでスープに浸して頂くと、豚骨のスープと相まって…至福の味です。 ^^v 笑

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ついでです。

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素敵な一日の〆は、

もちろん、スプリングバレー !! DRINX さんからのお取り寄せ。



嬉しいことにN響とクリーンのこの日の演奏の動画がありました。  ^^v

" 2022/04/02 Kitakamakura & Mozart Piano Concerto No.27 Waler Klien "
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