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活版印刷三日月堂_空色の冊子:20200322 [読んだ本]

老眼が徐々に進んできて、


少し前までは、

通勤時につり革に掴まりながらでも、文庫本をしっかりと読めていたのですが、もはや… ^^;

生命維持装置も経年劣化はいとえません。


仕方がないので通勤時の読書はあきらめ、もっぱら Walkman からのお気に入りを聴きながら、

車窓から、

季節によって形の変わる、車両の影の伸び縮みを楽しんだり。 

そうそう、

今の季節の朝は影が長くなって、河川敷に映るJRの車両の影は、まるで猫バスみたいです。

それでも、

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休みの日にビールを頂きながらとか、出張の時に新幹線の中でとか、読みたい本があるので、

細々ながら時間があれば読んでいます。


年末からこれまでにも「ロボット・イン・ザ・〇〇」、「喫茶店タレーランの事件簿」、

「通い猫アルフィー」等の続き物、

推しの原田マハさんの「風神・雷神」、小川糸さんの「ライオンのおやつ」。

読みたいものが一遍に出版されたので、結構、まとまって読んでいました。 


本と音楽との関係は、いくら小遣いがなくても昔から別腹です。  たとえ、たとえ?

ビールが発泡酒に、発泡酒が2本から1本に替わっても ? ^^;

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読んだ中で、小川糸さんの「ライオンのおやつ」、レイチェル・ウェルズさんの「通い猫アルフィの約束」、

そして、ほしおさなえさんの「活版印刷三日月堂 空色の冊子」が良かった。

奇しくも、3冊とも生と死にまつわるお話なのでした。


ライオンのおやつはホスピスのお話。アルフィは、最愛のタイガーが…。空色の冊子でも…。


でも、読んでいて、一番じーーんとして、まじか? あるまじき…なのです。

目頭熱くうるうると来てしまって、読んだ後もずっとその余韻が背骨にじーーんと残っている…。

今でも、残っている…。

「活版印刷三日月堂 空色の冊子」、その中の「星と暗闇」でした。

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活版印刷三日月堂。今までに4冊出ています。両親も祖父母も亡くして一人になった弓子。

会社を辞め、祖父と祖母の残した活版印刷所に住むことになり、予期していなかったはずなのですが、

時代遅れとも思われた活版印刷所を再開することに。 弓子の周り、活版印刷三日月堂の周りの人々。

4冊の短編はどれもみんな、とても個性的。ほしおさなえさんの登場人物のディテールの描き方もすごいし、短編の一つ一つが素晴らしいです。

一つ一つの短編なのだけれど、それが有機的に繋がって一つの大きな円環、三日月堂のお話を描いています。

一冊目から読んで大好きになり、その後出版されるたびに読んでうるうるでした。


4冊目、「雲の日記帳」で終ってしまった…と思ったのですが、

この本、

「空色の冊子」を書いてくれました。ほしおさなえさん、ありがとう。

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「活版印刷三日月堂 空色の冊子」は、今まで綴られてきた三日月堂の以前のお話。

弓子の生まれてのこと、カナコお母さんのこと…、天文学を学んだ父のこと、

祖父のこと、お祖母ちゃんのこと etc etc …。

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4冊読んで主人公の弓子のことを知っているぼくらは、なるほど…、そうなんだ。

おじいちゃんもおばあちゃんも、そういう人で、おばあちゃんから教わった卵焼きのことも、
大切なチューリップの折り紙のことも。

4冊の物語ではお父さんとしか分からなかった弓子の父親も、もちろん、弓子の父親だけれど、

ひとりの男性、青春、学生時代や弓子のお母さんのカナコとの恋も生活も。


それらを知ることにより、「星たちの栞」「海からの手紙」「庭のアルバム」「雲の日記帳」、

4冊のお話がより深くなりました。


弓子のお母さん、カナコは3歳の弓子を残してなくなってしまうのです…。

最愛の娘を残していく母親、

その、最愛の、

まだまだあどけない娘、カナコ。

妻の命が燃え尽きるのを見送らねばならない弓子の父。 いえ、カナコを最高に愛する修平。

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「そうだ、やはり光は命なのだ。命は光なのだ。燃える、爆発する、消える。生まれることも死ぬことも爆発で、ぼくらはこの瞬間も、そうやって燃え続けている。死に向かっているから光るのだ。死に向かっているから生きているのだ。」


「カナコが死んだとき、まちがいなく、僕も少し、死んだ。僕の中の世界の一部が死んだ。だけど、弓子はどうなんだ。幼い弓子にとって母の存在はもっと大きかったはずだ。世界の大部分を失ってしまったようなものじゃないか。
----- いっしょに探しにいくことがほんとうのさいわいなんじゃないか、って
あのときカナコはそう言った。」


「星も怖い、暗闇も怖い。生きるのも、死ぬのも怖いのと同じように、逃げ場所なんかない。僕らはみんな宇宙にただよって、輝いている。燃え尽きれば死ぬとわかって、輝いている。それが生きることなんだ、と思った。」


4冊のお話がここに帰結しているんじゃないか、生まれるとは、生きるとは…。

生きて、そして、

死んでいくとは、燃えて爆発して消える。 

だからこそ、一緒にさいわいを探しに行くこと、燃え続け輝くこと…。

かけがえのない輝き。本当に大切なんだなと。


良い本に巡り合えました。

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小川糸さんの「ライオンのおやつ」も生と死を扱った本。


身近な方の生死を見て、この本を書こうと思ったとのことですが、

小川さんは「死ぬのは特に怖くないです。あちらからのドアを開けて、向こうのドアを開けて出ていくんですよね。」などと。

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重くなってしまうので、あまり書かないでおこうと思います。


でも、生と死は、

生まれたからには避けることができない、きっと考えてしまうこと。

宗教もそのことを考えてきたこと、

きっと人が存在してからずっと考えていることなんだろうなと。


2019から2020の間、

推しの本を読みながら、こんなこと達を考えていました。


燃えたら消えるもの、スイッチは何時か切れるもの。 扉は開けば閉まるもの。


読んで、思ったこと。 だから、


この一日、この時は、本当に大切なんだと。


この一瞬は貴重なんだと。


そして、生きているって、やっぱり素晴らしいことなんだなと。



ディズニーリゾートの続きを書こうと思っていましたが、この3連休も近場だけ出かけ、部屋でゆっくりと過ごしています。

ならば? 、しばらくぶりに本のことも残しておこうかなと? 三日月堂のことにしました。


3連休で、ほしおさなえさんの新刊「紙屋藤崎記念館」、トルーマン・カポーティの「誕生日の子供たち」、
そして、続きの「ヴァイオリン職人と消えた北欧楽器」を少しずつ読んだり、

ビールをワインを頂きながら、アンドルー・マンゼのベートーベン第5番、第7番を聴いたり。

1月に届いていたけれどインストールもしていなかった「三国志14」、シミュレーションゲームをやったり etc etc …。

のんびりと過ごす時間も良いものですね。

" Mikazuki_Do Sky blue booklet 2020/03/22 "
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