ロンドン・ナショナル・ギャラリー展《見たいものリストNo.4》:20200704 [展覧会]
2020年「見たいものリスト」、その中で断トツの一番 !!
絶対見たい展覧会はこの展覧会。そして、ようやく…、ウイルスのせいでしたが…ようやく、ようやくです !!
じぶんにとって、21/37のフェルメールに会うことができました。
6月19日近代美術館「ピーター・ドイグ展」と梯子をしようと思っていた「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」、
整理券の順番(前売り券を持っている方限定の日でした)が、2時間以上も後とのことでしたので、
結局この日はあきらめて、
7月4日の時間指定のチケットを買いなおしました。
「じぶんVermeer No.21」。
ヨハネス・フェルメールの「ヴァージナルの前に座る若い女性」とは、
体調もこころも落ち着けてコンディションを整え、ゆっくり会いたかった。
そして、
2019年1月12日に上野の森美術館で会って以来…、本当に本当です…、
久しぶりのフェルメールに会うことができました~ !!
ピーター・ドイグ展と同じく、時間指定。
それも、かなり入場者を絞っているのだと思います。これだけの絵画が来ているのですから、通常であれば大変な混雑なのだと思いますが、ウイルス感染防止のお陰? と言うと変ですが、
西洋美術館の企画展では初めてです、こんなにゆっくりと有名絵画を鑑賞できたのは。
ゆっくり気になっていた作品たちと会うことができました。
先ずは少年の笑顔が可愛いなと、展覧会の予告を見た時から気になっていた、ムリーリョの一枚。
タイトルの通り、窓際に腕を載せて身を乗り出して、笑顔を見せている少年です。可愛いなと思いぜひとも見たかったのですが…、
あどけなさと可愛さはもちろんでしたが、よくよく見ると口元に何となくの違和感がありました。
左の口角が上がり過ぎ? 開き過ぎ? そう思って見ると、これは何かあるんじゃないかなと??
図録を買ってきたので、帰って来てそんな「?」も合わせて読んでみると、
この絵には対となっているもう一枚の絵があることを知りました。
年上の少女がショールを持ち上げ、流し目を送っていて、
少年が右肩が出ているのに呼応して? 左肩と胸元が大きく露出している「ショールを持ち上げる少女」と言う絵。
なるほど、あどけない笑顔ではなくて…、そんな少しおませの表情だったのだなと?
《ムリーリョ 窓枠に身を乗り出した農民の少年 1675-80年頃 52×38.5》
あどけなさと可愛さと言うことでは、一目で心の奥が「キュン」となってしまったムリーリョがいました。
洗礼者ヨハネですが、その表情の可愛いことと言ったら、もう、たまらなくなりました。笑
美少年なこと、この上ありません。
可愛い表情にうっとり、見とれていましたが、暫くして左手の人差し指が上を向いていることに気が付きました。
子羊はキリストの象徴ですから、天上からのその降臨を表しているのだろうなと。
絵画たちと、この日の様に時間をたっぷりと使ってゆっくりと話ができると、色々な事に気が付くのだなと思いました。
《ムリーリョ 幼い洗礼者聖ヨハネと子羊 1660‐65年 165×106》
今回の展覧会の最大の目玉なのだと思います。
展示の仕方もこの作品は特等席? 他の作品とは違っていました。ゴッホの「ひまわり」。
日本にも損保ジャパン美術館に「ひまわり」がありますが、ゴッホには全部で同じ構図で描いたものが7枚あるとのこと(一枚は第二次世界大戦の神戸への空襲で焼失しています)です。
その中の一枚。
じぶんは、ゴッホの圧倒的なパワーに触れると、とても消耗してしまいます。星月夜などは好きなのですが…。
でも、見てみるとやはりすごいなぁ。
じぶんのアルコールの課題はいつか日本酒が好きになること(まだビールです)ですが、絵画だとゴッホをじっくりと鑑賞できるようになることでしょうか?
ちなみにこの絵は、ゴッホの弟の奥さんヨハンナからコートルード基金が購入したものだとのことです。
義理の妹も大切にしていた一枚なのでしょう。
ゴーガンとアルルでの芸術生活を期待し描かれた最初の4枚。その中でVincent と署名の入っているのは、4枚目に描かれたこの絵と3枚目だけです。
ゴーガンの寝室を飾ることを目的として描かれたこの絵は、ゴッホにとっても特別な絵だったのではないでしょうか。
《ゴッホ ひまわり 1888年 92.4×73》
そして「Vermeer No.21」です。
2019年1月にフェルメール展以来ですから、一年半くらい経つのですね…、「フェル様欠乏症候群」が発症しかかっていました。
会いたかったです、フェルメール !!
展覧会会場の真ん中くらいだったでしょうか…、あまり目立たずに壁面のコーナーにひっそりと…。
彼女がいてくれました。フェルメール最後の作品と言われている「ヴァージナルの前に座る若い女性」です。
本などでは見ていて知っているつもりでしたが、改めて実作品を間近にしてみて…、
じぶんの大切なフェルメールの作品、「牛乳を注ぐ女」、「デルフトの小路」(デルフトの眺望も好きですが、まだ未鑑賞です)など、初期の作品に比べると作風もだいぶ変わっているなと思いました。
オランダ黄金時代の真っただ中で描かれた作品と、オランダの「災厄の年」1672年の近くに描かれた本作とでは、きっとその背景である社会状況やオランダの経済状態等も変わっていたんだろうな。
フェルメールを取り巻く環境、絵画を求める市民の経済状態や、絵画への好みなども、
そして、フェルメールも、きっと。
画家も、特に風俗画を描いている画家にとって、社会の変化は作風にも影響を与えるのではないでしょうか。
でも、この作品は現存するフェルメールの最後の作品と言われています。1632年に生まれ1675年に亡くなっているフェルメールの、最後の作品なのです。
「フェルメール命」のじぶんにとって、やはり、大切な一枚。
《フェルメール ヴァージナルの前に座る若い女性 1670-72年頃 51.5×45.5》
見たいものリストを作った際に、特に見たいと思っていたものはこのような感じでしたが、
その他にも流石ロンドン・ナショナル・ギャラリーです。
見所満載でした。
展覧会ではあまり見ることのできないルネッサンス初期の絵画も貴重だなと !!
遠近法大好きのウッチェロの作品。右上は渦巻く雲でしょうか。
《パオロ・ウッチェロ 聖ゲオルギウスと竜 1470年頃 55.6×74.2》
カルロ・クリヴェッリのこの絵は初めて見ましたが、細部まで色々と細かく描かれていて、
特に、天上からマリアに一条の光が差し込んでいるのですが、部屋の中で白い鳩を貫いて差していること等、
見れば見るほどお話が広がっていくようで、とても興味津々でした。
《カルロ・クリヴェッリ 聖エミディウスを伴う受胎告知 207×146.7》
このアングルも。
元ネタはギリシア神話のアンドロメダとペルセウスですね。
ギリシア神話も子供の頃からよく読んでいました。ペルセウスはペガサス。
ルッジェーロはグリフォン。
《アングル アンジェリカを救うルッジェーロ 1819‐39年 47.6×39.4》
印象派からのフランス絵画も展示されていました。
モネも良かったけれど、その中で一番いいなと思ったのは、
セザンヌの人物画です。
風景画や静物画が多いセザンヌですが、じぶんは彼の肖像画も結構好きです。
デトロイト美術館展で見た、セザンヌの奥さんの肖像画「画家の婦人」は大好きになりましたが、今回の「ロザリオを持つ老女」もインパクト大でした。
セザンヌの肖像画は今後も要注意だなと思いました。
《セザンヌ ロザリオを持つ老女 1895-96年頃 80.6×65.5》
一時間半くらいでした。
鑑賞する人数を制限しているので、ゆっくり、ほんとうに美術館の空間を感じながら、
ムリーリョ、ゴッホ、アングルやセザンヌや etc etc …、
もちろん、フェルメールに…、
色々な気づきをもらうことができた、とてもとても貴重な時間でした。
ウイルスは注意しないといけませんが、
絵画を見る環境としては、これ以上ないのかなと? そんな風にも思えた良い時間。
至福の余韻は成城石井で買って帰ってきたイタリアの赤ワインと、神戸屋のパンです。
ワインは、アブルッツォ ヴィエトリ モンテプルチャーノ オーガニック 。
ブラックチェリーやハーブのアロマが感じられて、程よい感じのボディ感でした。1,500円以下と言うリーズナブル感もで、ついつい、くいくい。
久し振りの神戸屋のパンも美味しかったです。
ただ、ここのところまた感染者が増大です。
野球やJリーグ、コンサートやイベントもようやく開催できるようになりましたが、
再び、制限されるようになるのではないかと、とても心配です。
自分の住んでいる神奈川では知事から外出を控えるようにとの要請も。
予定では、土曜日のアーティゾン美術館のチケットを買っていたのですが、色々と考えて行くのをやめました。
チケット代はもったいなかったけれど…。Go To キャンペーンで予約されていた方はもっとかな(政府が補填するとか?)。
展覧会、
せっかく素晴らしい絵画に会えるのに、心のどこかには黒い影… 暗雲…がどこかに、
通奏低音の様に漂っている様な気がします。
こころの中が晴朗で晴れ渡って…素敵な絵画たちに何の心配もなしに会えるようになればいいな。
" 2020/07/04 MASTERPIECES FROM THE NATIONAL GALLERY,LONDON "
絶対見たい展覧会はこの展覧会。そして、ようやく…、ウイルスのせいでしたが…ようやく、ようやくです !!
じぶんにとって、21/37のフェルメールに会うことができました。
6月19日近代美術館「ピーター・ドイグ展」と梯子をしようと思っていた「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」、
整理券の順番(前売り券を持っている方限定の日でした)が、2時間以上も後とのことでしたので、
結局この日はあきらめて、
7月4日の時間指定のチケットを買いなおしました。
「じぶんVermeer No.21」。
ヨハネス・フェルメールの「ヴァージナルの前に座る若い女性」とは、
体調もこころも落ち着けてコンディションを整え、ゆっくり会いたかった。
そして、
2019年1月12日に上野の森美術館で会って以来…、本当に本当です…、
久しぶりのフェルメールに会うことができました~ !!
ピーター・ドイグ展と同じく、時間指定。
それも、かなり入場者を絞っているのだと思います。これだけの絵画が来ているのですから、通常であれば大変な混雑なのだと思いますが、ウイルス感染防止のお陰? と言うと変ですが、
西洋美術館の企画展では初めてです、こんなにゆっくりと有名絵画を鑑賞できたのは。
ゆっくり気になっていた作品たちと会うことができました。
先ずは少年の笑顔が可愛いなと、展覧会の予告を見た時から気になっていた、ムリーリョの一枚。
タイトルの通り、窓際に腕を載せて身を乗り出して、笑顔を見せている少年です。可愛いなと思いぜひとも見たかったのですが…、
あどけなさと可愛さはもちろんでしたが、よくよく見ると口元に何となくの違和感がありました。
左の口角が上がり過ぎ? 開き過ぎ? そう思って見ると、これは何かあるんじゃないかなと??
図録を買ってきたので、帰って来てそんな「?」も合わせて読んでみると、
この絵には対となっているもう一枚の絵があることを知りました。
年上の少女がショールを持ち上げ、流し目を送っていて、
少年が右肩が出ているのに呼応して? 左肩と胸元が大きく露出している「ショールを持ち上げる少女」と言う絵。
なるほど、あどけない笑顔ではなくて…、そんな少しおませの表情だったのだなと?
《ムリーリョ 窓枠に身を乗り出した農民の少年 1675-80年頃 52×38.5》
あどけなさと可愛さと言うことでは、一目で心の奥が「キュン」となってしまったムリーリョがいました。
洗礼者ヨハネですが、その表情の可愛いことと言ったら、もう、たまらなくなりました。笑
美少年なこと、この上ありません。
可愛い表情にうっとり、見とれていましたが、暫くして左手の人差し指が上を向いていることに気が付きました。
子羊はキリストの象徴ですから、天上からのその降臨を表しているのだろうなと。
絵画たちと、この日の様に時間をたっぷりと使ってゆっくりと話ができると、色々な事に気が付くのだなと思いました。
《ムリーリョ 幼い洗礼者聖ヨハネと子羊 1660‐65年 165×106》
今回の展覧会の最大の目玉なのだと思います。
展示の仕方もこの作品は特等席? 他の作品とは違っていました。ゴッホの「ひまわり」。
日本にも損保ジャパン美術館に「ひまわり」がありますが、ゴッホには全部で同じ構図で描いたものが7枚あるとのこと(一枚は第二次世界大戦の神戸への空襲で焼失しています)です。
その中の一枚。
じぶんは、ゴッホの圧倒的なパワーに触れると、とても消耗してしまいます。星月夜などは好きなのですが…。
でも、見てみるとやはりすごいなぁ。
じぶんのアルコールの課題はいつか日本酒が好きになること(まだビールです)ですが、絵画だとゴッホをじっくりと鑑賞できるようになることでしょうか?
ちなみにこの絵は、ゴッホの弟の奥さんヨハンナからコートルード基金が購入したものだとのことです。
義理の妹も大切にしていた一枚なのでしょう。
ゴーガンとアルルでの芸術生活を期待し描かれた最初の4枚。その中でVincent と署名の入っているのは、4枚目に描かれたこの絵と3枚目だけです。
ゴーガンの寝室を飾ることを目的として描かれたこの絵は、ゴッホにとっても特別な絵だったのではないでしょうか。
《ゴッホ ひまわり 1888年 92.4×73》
そして「Vermeer No.21」です。
2019年1月にフェルメール展以来ですから、一年半くらい経つのですね…、「フェル様欠乏症候群」が発症しかかっていました。
会いたかったです、フェルメール !!
展覧会会場の真ん中くらいだったでしょうか…、あまり目立たずに壁面のコーナーにひっそりと…。
彼女がいてくれました。フェルメール最後の作品と言われている「ヴァージナルの前に座る若い女性」です。
本などでは見ていて知っているつもりでしたが、改めて実作品を間近にしてみて…、
じぶんの大切なフェルメールの作品、「牛乳を注ぐ女」、「デルフトの小路」(デルフトの眺望も好きですが、まだ未鑑賞です)など、初期の作品に比べると作風もだいぶ変わっているなと思いました。
オランダ黄金時代の真っただ中で描かれた作品と、オランダの「災厄の年」1672年の近くに描かれた本作とでは、きっとその背景である社会状況やオランダの経済状態等も変わっていたんだろうな。
フェルメールを取り巻く環境、絵画を求める市民の経済状態や、絵画への好みなども、
そして、フェルメールも、きっと。
画家も、特に風俗画を描いている画家にとって、社会の変化は作風にも影響を与えるのではないでしょうか。
でも、この作品は現存するフェルメールの最後の作品と言われています。1632年に生まれ1675年に亡くなっているフェルメールの、最後の作品なのです。
「フェルメール命」のじぶんにとって、やはり、大切な一枚。
《フェルメール ヴァージナルの前に座る若い女性 1670-72年頃 51.5×45.5》
見たいものリストを作った際に、特に見たいと思っていたものはこのような感じでしたが、
その他にも流石ロンドン・ナショナル・ギャラリーです。
見所満載でした。
展覧会ではあまり見ることのできないルネッサンス初期の絵画も貴重だなと !!
遠近法大好きのウッチェロの作品。右上は渦巻く雲でしょうか。
《パオロ・ウッチェロ 聖ゲオルギウスと竜 1470年頃 55.6×74.2》
カルロ・クリヴェッリのこの絵は初めて見ましたが、細部まで色々と細かく描かれていて、
特に、天上からマリアに一条の光が差し込んでいるのですが、部屋の中で白い鳩を貫いて差していること等、
見れば見るほどお話が広がっていくようで、とても興味津々でした。
《カルロ・クリヴェッリ 聖エミディウスを伴う受胎告知 207×146.7》
このアングルも。
元ネタはギリシア神話のアンドロメダとペルセウスですね。
ギリシア神話も子供の頃からよく読んでいました。ペルセウスはペガサス。
ルッジェーロはグリフォン。
《アングル アンジェリカを救うルッジェーロ 1819‐39年 47.6×39.4》
印象派からのフランス絵画も展示されていました。
モネも良かったけれど、その中で一番いいなと思ったのは、
セザンヌの人物画です。
風景画や静物画が多いセザンヌですが、じぶんは彼の肖像画も結構好きです。
デトロイト美術館展で見た、セザンヌの奥さんの肖像画「画家の婦人」は大好きになりましたが、今回の「ロザリオを持つ老女」もインパクト大でした。
セザンヌの肖像画は今後も要注意だなと思いました。
《セザンヌ ロザリオを持つ老女 1895-96年頃 80.6×65.5》
一時間半くらいでした。
鑑賞する人数を制限しているので、ゆっくり、ほんとうに美術館の空間を感じながら、
ムリーリョ、ゴッホ、アングルやセザンヌや etc etc …、
もちろん、フェルメールに…、
色々な気づきをもらうことができた、とてもとても貴重な時間でした。
ウイルスは注意しないといけませんが、
絵画を見る環境としては、これ以上ないのかなと? そんな風にも思えた良い時間。
至福の余韻は成城石井で買って帰ってきたイタリアの赤ワインと、神戸屋のパンです。
ワインは、アブルッツォ ヴィエトリ モンテプルチャーノ オーガニック 。
ブラックチェリーやハーブのアロマが感じられて、程よい感じのボディ感でした。1,500円以下と言うリーズナブル感もで、ついつい、くいくい。
久し振りの神戸屋のパンも美味しかったです。
ただ、ここのところまた感染者が増大です。
野球やJリーグ、コンサートやイベントもようやく開催できるようになりましたが、
再び、制限されるようになるのではないかと、とても心配です。
自分の住んでいる神奈川では知事から外出を控えるようにとの要請も。
予定では、土曜日のアーティゾン美術館のチケットを買っていたのですが、色々と考えて行くのをやめました。
チケット代はもったいなかったけれど…。Go To キャンペーンで予約されていた方はもっとかな(政府が補填するとか?)。
展覧会、
せっかく素晴らしい絵画に会えるのに、心のどこかには黒い影… 暗雲…がどこかに、
通奏低音の様に漂っている様な気がします。
こころの中が晴朗で晴れ渡って…素敵な絵画たちに何の心配もなしに会えるようになればいいな。
" 2020/07/04 MASTERPIECES FROM THE NATIONAL GALLERY,LONDON "