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2018年フェルメール展 :20181006 [展覧会]

2007年、

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薄暗い展示室の中。 かぐや姫の竹の輝きの様に不思議な光。

崇高さに射竦められ靴音も気配も呼気も、

何もかもが止まる一瞬と言う永遠…刹那の時。

新国立美術館の開館記念で開催された「アムステルダム国立美術館所蔵展」。


彼女はずっと今も輝き続けています。それは、きっと永遠。

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フェルメールの代表作、「牛乳を注ぐ女」との出会い、

フェルメールという神秘の画家を心に深く刻んだきっかけ。

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それからはフェルメールのことばかり考えていました。

今年はフェルメール来るのかな ?

37作品のうちこれで何枚目だろう ? etc etc…。

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2008年 フェルメール展 
「マリアとマルタの家のイエス」
「聖プラクセデス」
「小路」
「ワイングラスを持つ娘」
「リュートを調弦する女」
「手紙を書く婦人と召使」
「ヴァージナルの前に座る若い女」

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2009年 ルーブル美術館展
「レースを編む女」

2011年3月 Vermeer<地理学者>とオランダ・フランドル絵画展
「地理学者」

2011年8月 Vermeerからのラブレター展 京都市美術館 12月 Bunkamuraザ・ミュージアム
「手紙を読む青衣の女」
「手紙を書く女」
「手紙を書く女と召使」

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2012年7月 ベルリン国立美術館展
「真珠の首飾りの少女」

2012年7月 マウリッツハイス美術館展
「真珠の耳飾りの少女」
「ディアナとニンフ」

2015年 ルーブル美術館展
「天文学者」

2016年 17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち
「水さしを持つ女」

「牛乳を注ぐ女」に会ってから、日本に来るフェルメールの作品たちには欠かさず会いに行っています。

オーストリアに行った時に「絵画芸術」を見ているので、これまで37作品のうち(フェルメールの作品は35とも37とも言われていますが自分的には37)、18作品に会ったことになるのですが、Verneer 展、2016年に会ってから、久しぶりのフェルメール。

会いたくて仕方なかったフェルメール、しかも、

全部で9作品も来日するというので、前売り券が発売されるとすぐにマウスでポチリ。

初日の金曜日は残念ながら仕事なので次の日の土曜日。

図録も付いている5,000円のチケットをゲットしておきました。

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金曜日までの仕事をいつもより頑張り ? 待ち遠しかった10月6日、

電車に乗る前から何だかワクワクドキドキ。この感覚は初デートに出かけるとき以来かもしれない ?

上野の森美術館に着けば、僕のチケットは13時からだったのですが、日時指定でも入館を待つ長い列。

天気も良かったから日向は結構暑く、そのせいもあるけれど、並ぶのは嫌いですが、しかし、

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この日、この時だけはワクワクドキドキの方が勝りました。

待つ時間さえも愛しく、そんなじぶんが可笑しく可愛く感じるほどでした。 ^^;;


美術館に入ると全員に音声ガイドが貸し出されました。イヤホーンを付け展示室に入ればガイドは石原さとみさん。

フェルメールと同時代の傑作オランダ絵画たちが出迎えてくれましたが…、

気ばかり焦り、

《マルタとマリアの家のキリスト》 1654-1655年頃 スコットランド・ナショナルギャラリー
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それに流石フェルメール展。日時指定にもかかわらず最初の部屋はかなりの混雑です。

フランス・ハルスやニコラス・マース等名だたる画家の素晴らしい作品が沢山展示されているのですが、

心はどこか上の空。挙句の果て、

《ワイングラス》 1661-1662年頃 ベルリン国立美術館
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みんな、みんなすっ飛ばして、

最後の部屋へ。

《リュートを調弦する女》 1622-1663年頃 メトロポリタン美術家館
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プリズムを思い浮かべる白い明るい通路を抜けると、

《真珠の首飾りの女》 1662‐1665年頃 ベルリン国立美術館
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そこは、

《手紙を書く女》 1665年頃 ワシントン・ナショナルギャラリー
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フェルメールだけの8作品の部屋でした。

上野の森美術館のキュレーターさん、よく分かっているなと。

これでいいです。

この部屋でいいです。 ありがとう。

《赤い帽子の娘》 1665-1666年頃 ワシントンナショナルギャラリー
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コンサートに行って、素晴らしい演奏に会うと、背中の辺りがぞくぞくとして、

震えて、寒さも感じてしまいますが、

この部屋に入った途端、名演奏を聴いた時の様に背中が震えてしまいました。

厳かな礼拝堂に入ったかのような感覚。

《手紙を書く夫人と召使い》 1670-1671年頃 アイルランド・ナショナルギャラリー
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そして君と会う。


そうだ。

そうなんだ、君と会った時の感覚…なんだ。 2007年の時、そのままなんだなと。


10年以上経って色んなものも変わったけれど、8作品はみんな素晴らしいけれど、

タンネケとも呼ばれている君は不思議。

光の粒子は描かれた時のまま、そのままに パンの上、籐のかご、ラピスラズリのスカートの上、

45.5×41cm の世界で輝いている。そして、10年ほど前に君と会った時のまま、

ずっとずっと…一瞬は永遠なんだと。

《牛乳を注ぐ女》 1658-1660年頃 アムステルダム国立美術館
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ヨハネス・フェルメール。1632年デルフトに生まれ、1675年同じくデルフトに没す。

寡作のためか当時は評価が高かったものの次第に忘れられてしまったとのことだけれど、

印象派が誕生する背景の中、写実的なオランダ絵画が再評価され、

200年後に再びフェルメールは高い評価を得ることになります。

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著名な画家であればどんな人柄であったとか、人となり、伝記とかが残っているものだと思うのですが、

ヨハネス・フェルメールは寡作と200年というブランクとでよく分かっていません。

どんな画家だったのかな? こんなにすごい作品の画家はどんな人生を送った人だったんだろう。

分からないこと? ぞれも、フェルメールの作品を神秘的に思わせる元になっているのかもしれないなと。

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ほとんどの他の作品を、すっ飛ばしてしまった展覧会ですが、

フェルメール に似ていると思った作品が3点ほどありました。

メツーの2つの作品。

ハブリエル・メツー《手紙を読む女》 1664-1666年頃 アイルランド・ナショナルギャラリー
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着ているものも、手紙を読む女性も、そばに立つ召使いも、

向かって左から射す光と壁にかかる寓意の絵画も、

おやっ? どこかで見たことある ?


天球儀? を開け放った窓の向こうに置いて、手紙を書く男は、フェルメールの天文学者 や地理学者にとても良く似ています。

ハブリエル・メツー《手紙を書く男》 1664-1666年頃 アイルランド・ナショナルギャラリー
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デ・ホーホのこの作品は小路と雰囲気がとても良く似ていました。

ピーテル・デ・ホーホ《人の居る裏庭》 1663-1665年頃 アムステルダム国立美術館
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フェルメールの部屋にずっといたくて、置かれた椅子に座ったり、

鑑賞する皆さんの列の後ろに並んで作品たちの前に行って佇んだり…、暫く何度も繰り返していましたが、

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気が付けばこんな時間です。

そろそろ帰らないと。

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2月までここに居てくれるから、

また来よう。

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10月14日までの入館者へのプレゼント、牛乳を注ぐ女の「特製マグネット付きブックマーク」をもらいました。

「フェルメールの街」(櫻部由美子 ハルキ文庫)を読んでいたので、ちょうどのタイミング、良いプレゼント。


フェルメールの人となりはよく分からない。それだからこそ、色々なフェルメール像があっていいのかな?

「真珠の耳飾りの少女」と言う映画もあったし、いま公開中の「チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛」もフェルメールの世界へのオマージュに満ちているそうです。

この文庫本「フェルメールの街」もその一つ。

顕微鏡を使って微生物を観察し「微生物学の父」と呼ばれるレーウェンフック(天文学者や地理学者のモデルとも言われている)とフェルメールが、デルフトで起こった事件を解決していくミステリー小説。

日常の描写の中で、エピソードの中で、こちらもフェルメールの作品のオマージュが出てきて、これはあの作品のことだと想像したり、フェルメールの恋や結婚なども出てきて、

フェルメール好きにはたまらない一冊でした。

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もちろん帰ってきて、美味しい一杯を展覧会の余韻と共にいただきました。

黒ビール、美味しかったです。

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展覧会、「9/35」となっていましたが、9作品目の「取り持ち女」は1月9日からの展示となるそうです。

少なくとも1月にはもう一度フェルメールに会いに行かなくてはと思っています。

そうそう、

これでじぶんの見たフェルメールは18作品から、

「ワイングラス」と「赤い帽子の娘」の2つが加わって『20/37』になりました。1月が待ち遠しい。

" 2018/10/06 VERMEER Making the difference: Vermeer and Dutch Art "
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ミケランジェロと理想の身体展:20180922 [展覧会]

2018年「日経大人のOFF」の情報で、年の初めに見たい展覧会を予め決めておきましたが、

今年はそれ以外にも興味津々な展覧会が沢山あって、番外編ではないですが、その幾つかは鑑賞に行っています。

この「ミケランジェロと理想の身体展」もその一つ。


彫刻や塑像など3Dは得意ではないものの、昨年の運慶展で見た「多聞天」の筋肉にはびっくりしたし、何より、

全世界に40点しかないミケランジェロの彫刻のうち2つが展示されると聴くと、

その 2/40 という数字は、大好きなフェルメールの貴重な作品数みたいにも思え、

行かなくてはならないだろうと !! 娘に誘われたせいでもあったのですが ^^;

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展覧会の目玉の一つは、「若き洗礼者ヨハネ」。

スペインの内戦、

聖職者や大土地所有者を憎む共和国軍の壊滅的な聖像破壊行為の一つ、

1936年のウベダのエル・サルバドル聖堂祭壇の壊滅的な破壊により、数奇な運命によりフィレンツェから移され、

スペインのこの聖堂に置かれることとなった「ヨハネ」像は、14個のかけらを残して徹底的に破壊し尽くされてしまいました。

《若き洗礼者ヨハネ》1495-96年 130cm 大理石 ウベダ、エル・サルバドル聖堂
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それでも貴重なミケランジェロの傑作、修復した方たちの執念。

この残された欠片から(下の写真です)、2010年より3年をかけて、写真など様々な資料に基づいて復元修復されたとのことです。

失われた部分は合成素材で作成しマグネットで接合することで、新たにオリジナルが発見された場合に取り替えられるようにと、将来への希望も一緒に。


この《若き洗礼者ヨハネ》、ミケランジェロの若い頃の作品としても素晴らしく貴重な作品ですが、、

今も昔も何度も繰り返し行われる、芸術や文学 etc etc …人類の至宝に対する破壊、否定、暴力と言う無知で野蛮な行為と弱さ…、でも、


それに屈することなく瓦礫に技術と叡智を結集し、不死鳥の様に再び命を与え、未來の子供たちにに引き継ごうとする確固たる意志、

否定でなく肯定する心、正しさ、人の理性と強さ…、

そのようなものを強く感じ、

このヨハネの火傷の跡(黒っぽいオリジナルの部分)が重なって、感動してしまいました。

奇跡的に残った2つの目は、きっとそれらを全部見ているんだなと。

この像を見ることができただけでも来たかいがあったなと。

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もう一つの目玉は「ダヴィデ=アポロ」

ダヴィデとアポロの2つの名前が付いているのは、「どっちかだろうけれど、どちらかと決定付ける決め手がない ? 」のだそうです。

ヨハネがミケランジェロ20歳過ぎくらいの作品であるのに対して、この像は50代半ばの作品。

《ダヴィデ=アポロ》1530年頃 147cm 大理石 バルジェッロ国立博物館
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どちらか分からないのは全部ミケランジェロのせい。

ミケランジェロの諸事情により ?
(システィーナ礼拝堂の《最後の晩餐》制作のために教皇にローマに呼ばれ、以降2度とフィレンツェには戻らなかった)

途中で制作をやめてしまったことによるのだと思います。

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「どっちか分からない」こと、

それも作品に楽しみと一種の神秘性を与えているのかな?

じぶんはどちらかと言うとアポロかなと?

背負っているのはアポロの太陽の弓矢の矢筒ではないかな?  いえ、全然根拠はないのですが ^^;

あれこれと想像(妄想?)するのも展覧会の楽しみの一つです。


《ダビデ=アポロ》、左側から見上げるようにして見た横顔がとても美しかった。

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展覧会では写真はこれだけ撮って良いとのことでした。

ラオコーン。 勿論、持って行ったカメラでばっちり撮ってきました。

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「2/40」の数字と、娘に誘われてきた展覧会。思ったよりずっとずっと良い展覧会でした。

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美術館から出るとお腹が空いていたので、

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上野精養軒カフェラン ランド―レさんでハヤシライスを頂きました。

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じぶんはここに来れば、ビールとハヤシライスと決めているのですが、

娘もハヤシライスが良いとのこと。

上野で展覧会に来たら精養軒でハヤシライス !! と、刷り込んだ訳ではないけれど??

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美味しいものは覚えていてくれるといいかな。笑

食後はシナモンコーヒー ♬

娘につられて久しぶりに頂きました。

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展覧会では図録と、グッズ定番の手ぬぐいを今回も。

ひげもじゃミケランジェロ君と、

ミケランジェロだけに三毛猫君? 笑

この手ぬぐいも気にいりました。

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最近、せっかく行った展覧会の記事を書くのが遅くなっています。

これも9月22日に行ったもの。記憶を辿りながらよりもその時に思ったことをフレッシュなうちに残しておきたいのですが… ^^;

横浜美術館のモネも良かったので、何とか今年中には?


今日は上野の森の美術館、「フェルメール展」です。

今年の展覧会のじぶんのメインイベント !!

ブログに書くとか書かないとかは、もう全然関係なく、目一杯楽しんできます !! ^^v
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プーシキン美術館展&石川町REGA:20180703 [展覧会]

もうだいぶ前になってしまいましたが、7月上旬に東京都美術館で開催されていたプーシキン美術館展に行ってきました。大阪では今ちょうど開催中なんですね。

横山大観展と同じく、終了の何日か前と言う際どい感じでした… ^^;

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今年は予め見ようと思う展覧会を決めておきましたが、

プーシキン展もその一つだったのでチケットだけは買っておきました。

滑り込みセーフと言う感じの展覧会ばかりになっています。

これはいかんいかん。 ^^;

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訪れた日、

美術館の前は結構な列ができていましたが、中に入ればそんなに混雑していなくて、

展覧会のテーマである「フランスの風景画の系譜」、

ゆっくりと見て回ることができました。

素晴らしい作品ばかりでしたが、今思い返して記憶に残るものたちを。 



先ずは子供の頃、母にブリヂストン美術館に連れて行ってもらってからずっと好きなコロー。

地平線をかなり下に、嵐の前の風景。

地平線の向こうから無尽蔵にわいてくる灰色の雲。覆いつくされようとしている空は大胆だな。

この構図、写真を撮るのにも参考になります。


見ていると少し不安になるけれど、グレーのベールの様な空、

コロー独特の自然の色彩たち。 

≪コロー 嵐 パ=ド=カレ 1870年 38×55 ≫
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コローは印象派への先駆けの世代だと思いますが、

このコローの銀灰色、大好きです。 三つ子の魂ではないけれど、母に刷り込まれたのかもしれません。

≪コロー 夕暮れ 1860-1870年 46×37 ≫
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これはやはり外せない。

今回の展覧会の目玉の一つでもあった、" もう一つの " 草上の昼食、

モネが青春の真ん中の頃に描いた「草上の昼食」です。


「草上の昼食」と言えば、シートの上に裸婦が描かれているマネのものが有名ですが…、

と言うよりも、モネのこの絵は知りませんでした。 ^^;


モネの「草上の昼食」の女性のモデルは、付き合い始めたばかりの頃のカミーユだとか? ♡♡

若い男性と女性たちは、ちょっと気取った格好でランチタイム ♪

よく見ると、木の幹には 「P」の文字とキューピットの矢のような落書きもあります。

森の中、明るい木漏れ日に包まれて、見ていると自分の若い時のことも思い出し、すこし胸キュン ? (笑) になる素敵な絵でした。

≪モネ 草上の朝食 1866年 130×181 ≫
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ルソーの絵は貴重です。

日本にはルソーの絵は少ないから、来日してくれた時は欠かさず、と思っています。

馬を襲うジャガーと言うタイトルが付いていますが、

白灰色の馬が、逆にジャガーを仕留めた様に見えてきて、

ルソーの無機質で、でも色とりどりの緑のシダや、

オレンジ、赤の花たちがそこで息をしているかの様な不思議なパースペクティブ空間、

ジャングルに引きこまれていました。

≪アンリ・ルソー馬を襲うジャガー 1910年 90×116 ≫
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パリの街の風景が描かれた絵もたくさんありました。

パリの街と言えば「パリの街角」、カイユボットの雨の絵が好きですが、この絵も気になりました。


建物と街灯に灯がともった夕暮れの時。

これから夕食の時間 ?  石畳がまだ濡れている雨上がり。

あちこちから雨が上がるのを待ちわびたかのようにカップルの男女がお出かけです。

オレンジの淡い光が叙情的で、写真のような構図と切り取りも気にいりました。

≪ジャン=フランソワ=ラファエリ サン=ミシェル大通り 1890年 64×77 ≫
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マルケのサン=ミシェル橋の2枚の絵も良かったです。

以前に見た「至上の印象展 ビュールレ ・コレクション」の、マティスの「雪のサン=ミッシェル橋」とそっくりな視点に驚きました。

≪アルベール・マルケ 冬のパリ、サン=ミシェル橋の眺め 1908年 61×81 ≫
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描き方、色彩は違うけれど、同じ場所で書いたとしか思えない位、構図がそっくりでした。

図録を買ってきたので、帰ってきてから読んでみると、

マルケはかつてマティスが暮らしていたのと同じ番地の所に、アトリエを構えていたとのこと。

同じ番地? 同じ部屋かもしれませんね。


マルケとマティス、

1890年にパリの装飾美術学校に入学した時に知り合って、それからずっと深い友情が生涯続いたとのことでした。

なるほど、やっぱり。

すとんと、腑に落ちました 笑 ^^v

≪アルベール・マルケ パリのサン=ミシェル橋の眺め 1908年 65×81 ≫
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コローやモネやルソー etc etc …、

たくさん素敵な作品がてんこ盛りの展覧会でしたが、自分が一番に気に行ったのはこれ。

ルイジ・ロワールの「パリ環状鉄道の煙」でした。

縦172cm、横298cmというとても大きな作品で、見ていると自分がその場所にいるような、

そんな錯覚に陥ってしまいました。

曇り空に環状鉄道の煙が溶け込む銀色の色彩がとても素敵でした。静かで落ち着きがあって暫く絵の前に佇んでいました。

ルイジ・ロワールって知らなかったけれど、図録によると「パリジャンのパリを描く」と称された画家とのこと。

もっと作品を見てみたいな。

≪ルイジ・ロワール パリ環状鉄道の煙 1885年 172×298 ≫
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フランス風景画の系譜、色々な風景画てんこ盛りでとても素敵な展覧会でした。

その中でも、やはりパリの風景画良いな。

写真家の木村伊平さんのパリを撮った写真が好きですが、パリの画かれた風景画も素敵です。

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良い展覧会、それに帰るときはこんな感じでもあり、

ゆっくりのんびりと鑑賞出来ました。

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お腹が空いたら、

ランチタイムです。

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展覧会には一人で行きましたが、ランチタイムは待ち合わせて、

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石川町の駅のそば、RISTRANTE REG に。

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先ずは喉が渇いていたのでモレッティ。

前菜と一緒に白ワインも頂きました。

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ランチコースは、前菜の盛り合わせ、

パスタとメイン料理、

デザートとエスプレッソ。

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パスタとメインは選ぶことができるので、

パスタは渡り蟹のスパゲッティ、

メインはアクアパッツァを頂きました。

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プチデザートのティラミスも美味しかったです。そうそう、スイーツで一番好きなのはティラミスなんです。

エスプレッソとよく合います。

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展覧会後でも一人の場合、天玉蕎麦とかハンバーガーとかで簡単に済ませてしまうことが多いですが、

たまにはこういう〆もいいかもしれません。

REGA さん、たまに伺いますが静かで雰囲気のあるお店。料理も美味しいです。

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展覧会では図録と、

「旅する風景画家てぬぐい」を買ってきました。

手ぬぐいのコレクションがまた一つ増えました。

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公私ともばたばたの日が続いています。

先週は大阪と仙台、その前は名古屋と福島に行ってきました。合間を縫って、横浜美術館ではモネ、娘と上野でミケランジェロ、

9月初めには遅めの夏休みを取って清里へも。

3連休はこれから湯河原にも母と再び。

ブログネタはたくさんあるのですが、書いている暇がありません。 ^^;

秋めいてきて少し落ち着いてきた感じもするので、少し落ち着いた生活に戻せればいいなと。

" 2018/07/ 03 Pushikin & RISTRANTE REGA"
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生誕150年_横山大観展:20180526 [展覧会]

昨年はあまり行くことができなかった反省から、今年は予め行くべき展覧会を決めていました。

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「西端150年記念 横山大観」 山種美術館  1/3~2/25  ◎1月14日鑑賞済み
「至上の印象派 ビュールレ・コレクション」 国立新美術館    2/14~5/7  ◎2月25日鑑賞済み
「横山大観展」 東京国立近代美術館    4/13~5/27  ◎5月26日鑑賞済み
「プーシキン美術館展」 東京都美術館    4/14~7/8
「モネ それからの100年」 横浜美術館   7/14~9/24
「ミラクル エッシャー展」 上野の森美術館   6/6~7/29
「フェルメール展」 上野の森美術館    10/5~2/3

中でも、絶対に見逃さないぞ!! と決めていたのは、「横山大観展」と「フェルメール展」。

フェルメールは、これはもうマグロが泳いでいないと死んでしまうように、見ないでいると生理的に生きていけないものなので別格なのですが、

今年その次に見ておかねばなるまい!! と思っていたのは、

東京国立近代美術館の「横山大観展」に出展される「生々流転」。

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何年か前に、その一部が展示されているのを見たことがありますが、全長4,070cmに及ぶ全部はまだ見たことがなかったのです。


横山大観の生誕150年を記念として開催された「横山大観展」に、会期ぎりぎりの5月26日にようやく行くことがてきました。

東京ではもう終わってしまいましたが、京都国立近代美術館では7月22日まで見られるとのこと。

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1月に山種美術館で横山大観を見ているので、今年2回目となった大観さん。

開館と同時くらいに美術館に着いたのですが、既にかなりの混雑。

美術館に入るまでに少し並んだし、会場に入っても絵の前には長い列が作られていて、ぞろぞろ、ゆっくり流れていく食品工場のコンベア状態。

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会期終了一日前だから混雑は仕方ないのでしょう。もっと早く来るべくでしたが中々時間が取れませんでした。

ならば、己のフォースを信じて「見たい絵のみ見るべし」と方針を決定しました。

でも…結局、最初の絵から気になったのですが ^^;


最初の展示は東京美術学校の卒業制作の作品。大観らしくなく? きちんと描かれている作品。

村の子供たちが猿舞を見て喜んでいる様子が描かれています。 かわいい子供たち一人一人の表情が可愛らしくて、暫く引き付けられていました。

≪村童観猿翁≫ 1895年7月 東京芸術大学
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この絵は初のお目見えなのだそうです。

105年前に刊行された画集には載っているものの、その後行方が分からず、昨年末に約100年ぶりに発見されたのだそうです。

個人のお宅でずっとのんびりしていたのかも ?

この絵も今回の目玉の一つです。
ネックレスの細かい模様や、観音様が纏っている薄衣の表現はさすがだなと思いましたが、

脚のバランス ?
ひざから下が極端に短くて、何だか全体の印象はディズニーの「ベイマックス」みたいだなぁと ^^;

大観さんらしいと言えば、らしいかなと? 笑 

≪白衣観音≫ 1908年
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個人的に惹かれたのはこの≪水国之夜≫でした。

蘇州の夜、日が暮れて間もない頃でしょうか。

石造りの階段ではそれぞれ、辮髪を結った人たちが、団扇を扇ぎ何やらおしゃべりをしながら涼んでいたり、

長い煙管でぽっかり煙草をくゆらせたり。

≪水国之夜≫ 1911年頃 京都国立近代美術館
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部屋の中には明かりが灯り、美味しそうな中華料理を囲んで団欒のひと時。

日本画ぽいけれど、イラストの様にも見えて、今にも登場人物が動き出し、楽しそうな人々の話し声が(ちょっと騒がしいくらいかも?)聞こえてきそうな感じがしました。


何だかたゆたゆと流れていく大河の畔、ゆっくりと穏やかで優しい、楽しい時間がここにはあります。

≪水国之夜≫ 1911年頃 京都国立近代美術館
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この絵も何だかいろんな要素が一緒に詰め込まれているようで、一目見て気になってしまいました。

後で図録を読むと従来の岩絵の具ではなくて、粒子の荒いものをわざと使っているのだとか。

前景の濃い茶の部分です。

印象派とかが少し入っているかなと思ってしまう作品でした。そうそう、山道を行く旅人の周りで茶色い葉っぱたちがざわざわしているような、そんな感じがしました。

≪山路≫ 1911年10月 永青文庫
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大観さんの絵に出てくる動物たちも見逃せません。

3匹のリス。

2匹は仲良く木の実の食事中。そこにもう一匹が何やら持ち帰ってきたところ? もしかすると三角関係? 笑

≪山茶花と栗鼠≫ 1913年3月 セゾン現代美術館
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鹿も表情が優しいです。

にっと、笑っているのかも。少し擬人化されているのかな? 等と思えるほどです。

≪秋色≫ 1917年9月 
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「見たい絵のみ見るべし」と方針を決めたものの、やはり生誕150年を記念しての展覧会です。

見どころいっぱいで、それなりにすっ飛ばしながらの鑑賞でしたが、ここまででほぼ1時間経過。

そして、いよいよこの日の、いえ、今年のじぶんにとっての目玉作品の一つである「生々流転」です。

≪生々流転≫ 1923年9月 東京国立近代美術館
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「生々流転」の会場で長い列に(ディズニーランドの列の様に幾つにも折れ曲がって)並んでいる間、

ディスプレーではこの作品に纏わる、劇的なドラマの様なお話が語られていました。

東京で一般公開された大正12年9月1日、あの大地震、関東大震災が起こったのですが、奇跡的に? 「生々流転」は損傷を受けなかったとのこと。

一面にがれきと化した東京の姿が映し出され、それと「生々流転」。よくぞ無傷で最大の災厄を乗り越えてくれたんだなと、出会う前から何だか胸が熱くなりました。

≪生々流転≫ 
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展覧会を構成、アレンジした方たちの「盛り上げ方」も上手、等と余計なことも考えていると、

≪生々流転≫ 
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いよいよの「生々流転」。

山間に落ちた一滴の水が、水流となって川、大河となり流れていく。

やがて海に注ぎ込むと、穏やかな景色は黒っぽい雲が湧き出し渦を巻くように荒れ模様となって、

一匹の竜となり宙へと昇っていく。

そして、また雨となり地に降ちて、生々流転は繰り返される…。

やっぱり素晴らしいです。この絵、我が国の文字通りの宝だなぁ。見ているうちに感動で一杯になりました。

≪生々流転≫ 
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生々流転、ここには水だけでなく、朝、昼、晩の一日が、そして春、夏、秋、冬の四季の3つの永遠の繰り返しが描かれています。

老子の思想、輪廻の考え、色々なものが描かれているんだなと。

もっともっとじっくりと見ていたい。一日中見ていたかったのですが、列はどんどん前に進んで、ここでもベルトコンベアでした。


でも、じぶんは2回並んで2回見ました。 ^^

≪夜桜≫ 1929年11月 大倉集古館
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白衣観音、生々流転の他にも見どころの多い展覧会でした。

夢の共演。豪華絢爛夜桜、紅葉の同時展示!! と宣伝されていましたが、

夢幻の世界、妖艶さも漂う夜桜、

青の流れ、茜色が目に鮮やかな紅葉。2つの作品は文字通りの大作。そろってみることができたのも至福の時でした。

≪紅葉≫ 1931年9月 足立美術館
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≪南溟の夜≫も自分的に気に入った作品。

向かって左上に何なんだろう? 光っているものがあります。

遠いかなたの星団が瞬いているのか、かなたの銀河そのものなのか…、

何か、もっと神秘的なものなのか…。想像が膨らみます。前景のごつごつとした岩の島、中景の青い波、そして、彼方の天の星々。

大観さんってロマンチストなんだなぁと。

≪南溟の夜≫ 1944年2月 東京国立近代美術館
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トータルで2時間以上、時間が経つにつれ混雑が増していく中で作品と向かい合っていて少し疲れました。

そうなんだなぁ~と色々と一人で納得して、心地よい疲れでしたが、そろそろ帰ることに。

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銀座線を使いましたが、たまたま乗った車両は特別仕様車 !!

銀座線は全部で40編成あるそうですがそのうち、たった2編成だけの特別仕様車にあたってしまいました。

今銀座線で使われている1000系は、90年前に銀座線が開通した当時から40年ほど運行していた1000形をモチーフにしているのだそうですが、

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2つだけ昔のままに極限まで近づけた特別仕様車だとのこと。会えたらうれしい四つ葉のクローバーとか ^^

その車両に短い区間でしたが乗ることができました。

ただ、最近のホームはホームドアが設置されているので写真は撮りづらかったです。 ^^;

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地元に帰ってきて、そういえば朝から何も食べていないことに気が付きました。

近くの店で家系ラーメンを頂きました。

お決まりの海苔三枚、ホウレンソウにチャーシュー、そして煮たまご。

最近東京で、大宮で横浜家系ラーメンを頂きましたが、やはり地元の家系が美味しいです。

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横山大観、人としてもきっと興味深い人なんだろうな。

次はこんなことをして皆を驚かしてやろう !! そんな思いを沢山持っていた方だったんだろうなと。

この日の展覧会を見て、そんな風に大観さんのことを思うようになりました。


≪水国之夜≫、≪南溟の夜≫、

そして何よりも≪生々流転≫にまた会いたいなと思いました。

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そうそう、それから、

東京国立近代美術館ですが、≪生々流転≫を収蔵しているから展示できるように、

40mの展示スペースが設けられる形に設計された建物なのだそうです。

これも、大観さん、やっぱりすごいです。 ^^


気が付けば、

「プーシキン美術館展」 東京都美術館    4/14~7/8 の期日が迫っています。

またギリギリになりそう? ^^;;;

" 2018/05/ 26 The 150th Anniversary of his Birth: Yokoyama Taikan"
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湯河原温泉と町立美術館「平松礼二館」:20180519 [展覧会]

シメジと、

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きくらげのシャキシャキ感も楽しめるし、醤油がほんのり感じられてシンプルでとっても美味しい。

これ一つあれば、ビールは何杯でも。

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たどり着けば、こちらのお店で、

心尽くしのちょっとしたおつまみと、手打ちの蕎麦を頂くのが定番の楽しみです。

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自分の誕生日だからと、母が誘ってくれた湯河原。

先ずはいつもの小松庵さんで、美味しく昼ご飯を頂きました。

母と同じか少し下くらいの年齢かな? 看板娘の前掛けが似合う女将さんに、「ご馳走様」のご挨拶をして店の外に出ました。

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5月19日、

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じぶんの誕生日の次の日の土曜日、一泊どまりで母からのプレゼントの温泉旅行に、湯河原まで出かけてきました。

いくつになっても、子供は子供、親は親なのだなと。

じぶんとしてはもうこれ以上、年は取りなくない気分だし、決してこの年になると誕生日がめでたいとは思えないのですが、

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母親にとっては子供の生まれた日は特別で、やはり祝いの日のよう。

せっかく誘ってくれたし、父の法事も済ませてご苦労様だし、

気持ちよく、温泉プレゼントを頂くことにしました。

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湯河原は横浜から近いし、何度も訪れているのですが、

まだまだ知らないところもたくさんある様です。

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たまたま、駅の案内板で知った「城願寺」ですが、観光案内所で聴くと駅から歩いて10分くらいとのこと。

春先にインフルエンザだった母、それから少し体力が落ちたようで歩かせるのも心配でしたが、

「大丈夫」

「そのくらい問題ない」とのことで、それならゆっくり歩くことにしよう。


坂道を上ると、そこに立派なお寺がありました。

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源頼朝が伊豆で打倒平氏と挙兵した時からの忠臣、土肥次郎実平。湯河原駅前にも銅像が立っていますが、

その土肥一族のお墓のある立派なお寺です。

何といっても山門の階段を登りきったところにある、樹齢800年のビャクシンの古木。

おっきくて太くて、ごつごつしていて、緑の葉っぱでいっぱいで、触ると暖かくて優しくて、
流石、国の天然記念物ということだけあります。

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母と一緒に自然のパワーをたくさんもらってきました。

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宿に着けば、温泉、温泉です。

ここの宿の露天風呂が大好き。

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三畳くらいの大きさの湯舟。時間と同時にチェックインをしたので、露天風呂も貸し切り状態。

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緑いっぱいの山々に囲まれた湯船に足を思いっきり延ばして、たゆたゆと首と耳まで浸かって見上げれば、

真っ青な空には白い雲たちが遊んでいます。

雲が流れていく…、形を変えていく…。 ゆっくりと見上げたのはいつ以来だろう ?


一機の飛行機がゆっくりと、

露天風呂の対角線の方に…。

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ゆっくり温泉に浸かって、部屋で湯上りの冷たいビールを頂いていると、

すぐに夕食の時間です。

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ここでも生ビールを頂き、食前酒。

お腹が空きました !! いただきます。 ^^

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温泉宿の食事って独特の献立でいつも楽しみ。

板前さんの腕を振るっての料理。盛り付けもかわいいし、特にここの食事は本当に美味しいです。


夕ご飯を少しも残さずに平らげて、一休みしてこの日3度目の温泉に浸かっていると、

ゆっくりと夜は更けていきました・・・ ZZZZ

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目覚めてみれば、曇り空。

前日とは違って気温はかなり低め。

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先ずは温泉、温泉 笑

温まったところで朝の散歩に出かけることに。

母と一緒に散歩に出かけたのですが、かなり寒くて母は途中で宿に戻りました。

じぶんは相棒と一緒に、奥湯河原をそぞろ歩きです。

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今年初めての咲き始めの紫陽花、

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風見鶏状態のツバメ、

その他色々な種類の鳥たちにも出会いました。

Walkman はなかったけれど、色んな鳥たちの朝の挨拶と、

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川の流れの音を聴きながらの散歩です。

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そうそう、温泉街の街灯が新しくなっていました。

でも、形はそのまま。ここの街灯も何となく気になります。 

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小一時間歩いてきたら、

またまた、お腹が空いているのに気が付きました。朝飯は8時から。

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夕飯だけではなく、

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宿の朝飯も温泉宿独特です。

温泉卵、海苔、佃煮に数種のお新香、

塩辛に明太子。

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テーブルの上、目の前で炊きあがった湯気ほわほわの白いご飯。

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そして、なんといってもアジの開き。

海苔の入った大きなお椀の味噌汁も !!

めちゃめちゃ美味しいかった。


ご馳走様、温泉もとっても良かった。

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チェックアウトを済ませ、前日から宿の隣にある美術館が気になっていたので、

湯河原美術館に行ってみることにしました。

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展示のものに、それほど期待していた訳ではなく(すいません)、

宿の部屋から見下ろせた、美術館の庭とテラスのカフェがいいな、コーヒーが飲みたいなと思ったのです。

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ところが、美術館に入ってみてびっくり @@;

何て素晴らしい作品を収蔵しているのでしょう !!

何度も何度も近くに来ていたのに、今まで一度も寄らなかったことを後悔するほどでした。


恥ずかしながら、平松礼二さんの作品に初めて出会いました。

最初の作品を見て、びっくりしてしばらく動けなくなりました。

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日本画なのですが、

先ず最初の絵を見て思ったのは(ここには貼ることができなかったのですが)、クリムトみたいだ !! ということ。

金箔に花がたくさん描かれていて、漆黒の夜の空には、新月前の細い月・・・。が~~ん !!


それから、ルオーの様な慈愛に満ちた優しさが、ほんのりと感じられる一枚や、

モチーフはモネの作品の様なものまで・・・。


何といっても、日本画特有の装飾美に色彩が素晴らしく、しかもどこか新しさを感じるんです。

今まで知らなかったなんて、美術館の隣まで何度も来ていたのにと。

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平松礼二、1941年東京都生まれ。愛知大学卒業後、多摩美術大学教授。

みずから日本画を描き続けながら、既成観念に固まりがちな日本画の世界へ反発を続け、

50歳の時にたまたま訪れたオランジェリー美術館の「モネの部屋」で、

80mにも及ぶ睡蓮の連作、「睡蓮・緑の反映」「睡蓮・雲」「睡蓮・朝」を一目見て、それまで何ら関心などなかったのに、モネの晩年の作品に衝撃を受けます。

ああ、これは日本の屏風なんだと!!

それ以来、印象派のジャポニズム研究を続けられているとのこと。

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ジヴェルニーのモネの庭園にも何回も訪れ、モネの大きな家に奥さんと二人だけで泊まったりして(何か出そうで少し怖かったとか?)

モネの睡蓮の池の絵も何枚も描いています。

そうそう、平松さんの本を読んで知ったのですが、モネの池の睡蓮は初めは植木鉢で育てられて、

絵になる、塩梅の良いところの池の場所に沈められるのだそうです。 モネの頃からずっと。

モネは睡蓮の絵のモチーフを、自らディレクションしていたのですね。

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フランスの、ヨーロッパの人々にも平松礼二さんの素晴らしい絵は評価され、

2013年には、「平松礼二・睡蓮の池・モネへのオマージュ展」がジヴェルニー公立印象派美術館で、翌年にはドイツベルリン国立アジア美術館で、開催されました。

そして、今まさにこの時も、

「ジヴェルニーで平松礼二展」がジヴェルニー公立印象派美術館で、11月4日まで開催中とのことです。

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日本の浮世絵等に大きな影響を受けたモネやゴッホや、たくさんの印象派の画家たち。

僕たちが考えているよりも、もっともっと、それは大きなものだったようです。

これも、平松さんの書かれた本(「モネとジャポニズム (PHP新書)」)で読んだことですが、戦後日本の教育はあえて日本画などは教えずに、アートは西洋のものばかり。

日本の文化の素晴らしさをあえて教えない様にしていたのではとのこと。

実際、思い返してみれば、小学校や中学校の美術の時間に日本画についてほとんど教えてもらっていないし、

日本画の画材等には触れたことがなかったなと。


でも、展覧会に行くようになって日本画も知るようになって、日本画って日本のアートってすごいものなんだなと、自分でも今はそう思います。

こんなに素晴らしい、世界に誇れるものを自分たちは受け継いでいるんだと。

平松さんが書かれているように、子供たちにもそのことをはじめから教えられるといいのになと思います。

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かっての日本画には大きなオリジナリティがあって(平松さんはこれこそが、オリジナリティこそが美術において大切である。今の日本画は派閥? 縦社会?であってオリジナリティが育ちにくくなっているとのこと。)、

そのオリジナリティにモネや印象派の画家たちは、心底から驚き、大きな影響を受けたのだと。


それを、今度は日本人である平松さんが日本画に本歌取りのように取り入れ、何枚ものモネの睡蓮の池の絵を描いていく。

いつか平松さんの絵にインスパイアされて、西洋の画家が自分のオリジナリティを開花させていく。

日本と、フランスを初めとするヨーロッパの国の画家の間で、100年くらいのスパンで、オリジナリティのキャッチボールをしていけたら、

それはなんて素晴らしいことなんだろうと思いました。

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湯河原美術館には「平松礼二館」があって、そこには平松さんの作品がたくさん収蔵され、

その時々に、特別展としてテーマを決めて素晴らしい作品が多く展示されるとのこと。

じぶんと母が訪れた時には「花の旅~フランス編~」(6月25日まで)、

そのあとは10月1日まで「画業をたどるシリーズ①」、

そして、11月26日まで「月と花の饗宴」展が催されるとのことです。

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絵画鑑賞の後、

そもそもの目的だった? Museum Cafe 「and garden」さんで、美味しいコーヒーを頂きました。

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サンドイッチなど軽食も美味しそうだったけれど、宿でお腹いっぱいに美味しい朝食を頂いてきたので、

それらは次回のお楽しみとしました。

平松さんの展覧会を見て、今度はテラス席でいただこうと思います。

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母からの誕生日プレゼントの温泉一泊旅。

独り占めの青空と雲の露天風呂、

美味しい夕ご飯と、それと甲乙付け難いアジの干物と味噌汁の朝食、

それに何といっても、町立湯河原美術館の平松礼二の作品たち etc etc …。

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とても素敵で忘れられない誕生日のプレゼントになりました。

お返しに今度は、何かプレゼントを秋にしようかな?

平松さんの作品に会いたいから、また、同じところもいいなと !!

" 2018/05/19 Yugawara & Reiji Hiramatsu "
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ターナー「風景の詩展」:20180504 [展覧会]

今年のGW、前半の4日間はカメラを連れて港の見える丘公園に出掛けた以外は、

自分の部屋で「まったり~っ(3月のらいおんの猫たちの様 ^^;)」

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これではいかんいかんと、5日はラ・フォル・ジュルネに行ったことは前に書きましたが、

その前日の4日も娘を連れて(連れられて?)、

新宿の東郷青児美術館へ「ターナー 風景の詩」展を見に出かけました。


部屋で好きな本とCDと、時々お酒に囲まれて過ごすのも良いですが、

そればかりだったから余計に、久々の都会と5月の爽やかな青い空は元気があって新鮮な感じ。

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久しぶりの東郷青児美術館は、スマホのナビを見ながらでしたが、娘とあちらこちらのビルの中、
行き止まりになったり引き返したり…、

でも、何とか無事にたどり着きました。 ^^;

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専用のエレベーターで42階まで上ると美術館の入り口。

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展示室は写真は撮れませんが、入り口付近にはフォトスポットとして、ターナーの作品を大きく拡大したものや、この美術館の至宝、ゴッホの«ひまわり»等が展示されていました。

そして、「ターナー 風景の詩」です。

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印象派の先達とも言われるターナー、

じぶんもあの海の景色を描いた太陽と雲と、青やオレンジや色々な色彩が入り混じった風景にひかれてターナーが好きになりましたが、

娘は印象派はあまり好きでないとのこと。

《風景 タンバリンを持つ女》1840-1850年頃 88.5×118 栃木県立美術館
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なぜ? と聴くと?

度の強い眼鏡の娘、「眼鏡を外した時の景色みたいで輪郭がないのがいや」と。

それでは印象派の先祖みたいなターナーが好きなのは?

「色彩が好きなのと、印象派みたいに輪郭がないのでなく形ははっきりしているから」。

なるほど? 納得するようなしないような、そんな感じではありましたが、ある種、言いえて妙かなと 笑

《風下側の海辺にいる漁師たち、時化模様》1802年展示 91.5×122  サウサンプトン・シティ・アート・ギャラリー
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今回の展覧会は水彩画が多く、テーマ通り風景画をメインとする展示でした。

あまり大作はなかったけれど、部屋に飾っておいてもいいなと思う作品がたくさんありました。

《タインマウス小修道院》1822年頃 15.9×24.1 ブラックバーン博物館アート・ギャラリー
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たくさんの絵を見て思ったことは2つありました。

一つは、ターナーの海をテーマにした作品、海洋国家イギリスということもあって、かなり多い様ですが、

描かれた波に注目です。

《セント・オール・バンズ・ヘッド沖》1822年頃 39.8×68 ハロゲイト、メーサー・アート・ギャラリー
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自分たち日本人は波というと、葛飾北斎の≪神奈川沖浪裏≫の波等飛沫が強調された激しい波を思い浮かべますが、

ターナーの波はかなり特徴があるかも ? 

天気が悪そうだし、かなり荒れている様だから、もっと大きな波、大げさな波でもいいのではないか等と。

《ゴスボート、ポーツマス港の入り口》1829年頃 29.2×43.2 ポーツマス博物館群
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ただ、たくさんの海景画を見ていって、1840年代の絵になると何となく納得 ?

《オステンデ沖の汽船》1840-41年頃 24.8×36.4 ポートサンライト、リヴァプール国立美術館群
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空と海と、

船と海岸の人々と、そしてもちろん波と、

もう境目がなくなってしまって、海景というよりもターナーの心象風景なのでしょうか、

渦をまいて、または空に全部が昇華していってしまう様な。


船でも人でも、空でも、波でもなく、それらが全て混じり合って、その場所でその時にターナーが心に焼き付けた景色なんだなと。

ターナーの海景画、とても興味津々で面白かった。

《海岸で救難作業をする人々》1840年代 22.2×29.2 個人蔵
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旅好きターナー? 生涯に色々な所に何回も出かけたようです。

大陸にもですが、なんと、イギリス国内は合計56回も。

ストーンヘンジも訪れているのですね。

《ストーンヘンジ、ウィルトシャー》1827-28年 27.9×40.4 ソールズベリー博物館
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今回の展覧会で思ったことの2つ目は、

版画が約100点も展示してあって、量も多かったけれど、その質がものすごく素晴らしいことでした。

風景画や海景画の水彩や油絵も良かったけれど、もっと興味を惹かれたのは版画でした。

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そもそも、ターナーのデッサン、水彩や油絵をもとに作られた版画は800点以上もあるのだとか。

これほどターナーが版画に力を入れたのは、買ってきた図録の解説によると次の3つの理由だそうです。

①版画によって自らの作品を普及させようとした。
 売れっ子画家ターナー、版画がカタログみたいなものだった? 販促?
 大衆は版画を通して、ターナーの作品を購入していたとか。

②版画が旅行ガイドの役割をしていた。
 国内外の旅行が流行していたとのこと。ターナーが描いた多くの水彩画は版画の出版業者からの依頼によって
 いたのだとか。

③版画そのものの芸術的価値をターナーが認識していた。
 版画はオリジナルの単なる複製ではなかったようです。
 ターナー自身が版画の芸術性と重要性をよく理解していた。また、ターナーの指示で、オリジナルの水彩画等と
 は異なった描かれ方をしているものもあるとか。

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実際、《ストーンヘンジ、ウィルトシャー》は元の絵と版画も載せておきましたが、版画の方が迫力すごいなと。

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100点余りの版画達、細密に(顕微鏡で調べた人がいる様ですが、数ミリの所に5本も線が入っているとか ^^;)
丁寧に作られており、これって本当に版画? みたいに思うものがたくさん展示されていました。

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もちろんもちろん、あまり書きませんでしたが、

テーマの風景画も素晴らしい作品がありました。

ポスターにもなっていますが、この絵もいいなぁ~と、しばらく風景の中にじぶんも引き込まれ、この景色の中、カメラとWalkman を連れ、散歩しているかの感覚に。

《ソマーヒル、トンブリッジ》1811年展示 92×122 エディンバラ、スコットランド国立美術館群
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展示室を出て、42階からの景色。

5月の青空、都市東京。そして、

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やっぱり、ターナーはすごいや !! きっと、偉いからえばっていて、気難しくて性格は???

でも、作品はすごいな。


42階からの現代巨大都市、東京の景色を眺めながら展覧会を見ての感想。

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42階から降下し、元の世界に戻ってきたらお腹が空いているのに気が付きました。 ^^;

駅の方まで戻るとものすごく混んでいるのはわかっているので、この辺にしようかと。

隣のビル、新宿エルプラザの地下2階にある「ビストロ フランベ」さんでランチを頂きました。

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なぜかビールは頼まず? (娘と一緒だからではないですが)、

じぶんは初めて頂きました、ドイツ生まれのピザの様な「タルトフランベ」、ベーコンとオニオン。

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それと大盛りのカルボナーラをオーダーして、二人でシェアしていただきました。

ランチは全品、サラダとデザート付きで、パン・スープ・ドリンクはセルフでおかわり自由でした。

バゲットのパンも美味しくて…食べ過ぎです。 ご馳走様。 ^^v

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今年は10月のフェルメール等、色々楽しみな展覧会も多くて、

正直言うと、それほどは期待していなかったのですが、

波の海景画のこと、晩年のまるでモネの睡蓮の絵の様にも思える一種抽象画の様な作品、

それに素晴らしい版画たち…、

「ターナー 風景の詩」も素敵な展覧会でした。

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チケットはプーシキンと、モネと、それから横山大観があって、横山大観は27日まで。

26日の土曜日ギリギリですが行ってきました。

「生々流転」、やっぱりすごかったです。 横山大観展のことも機会があればブログにも残しておきたいなと。

" Turner and the Poetics of Landscape 2018 "
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至上の印象派展_ビュールレ・コレクション:20180225 [展覧会]

2018年も、もう3月。

どたばたとしていたら、ひな祭りも終わっていました。

光陰矢の如しの通りだと思いますが、年とともにそれは加速し、最近ではワープ以上になっているのではと ?

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ブログも放置のままで、なんとなく期末で焦っているこの頃ですが、

2月の最後の日曜日、友達と今年2つ目の展覧会に行ってきました。

今年は「絶対に行く展覧会」を予め決めてあります。

計画通りの2つ目は、

乃木坂、新国立美術館で開催されている「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」展。

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乃木坂駅のいつもとは違った出口から出で、美術館の正面 から入ってみました。

いつもと違う出口から出て、いつもと違う景色を眺め、ここでいいのかと思いながら歩き・・・、

ほんの少しの些細なことですが、何だか新国立美術館も新鮮に感じました。


日常とか、いつもとか、少しだけ変えてみるのも良いものかもしれません。


友達からは「外でたばたば」のメールが。「いつからまた吸い始めたんだ~!! 」聞くと、

「暇だから」との返事 ^^;

ちなみに自分は36歳でやめて、それからは吸っていません。

後で理由を聞いてやろう !! などと思いながら美術館の前で合流しました。

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ビュールレ展、

エミール・ゲオルク・ビュールレは、実業家として成功して(武器を扱っていました)、心の拠りどころとして美術作品を収集し、チューリヒにある邸宅の隣の別棟に飾っていたとのこと。

お金持ちって、心の豊かさを満たすために美術品をコレクションにすることが多いですね。

死後、別棟は美術館として一般公開されましたが、スイス国外にコレクションが公開されたのは過去に数回のみなのだそう。

また、2008年に4点の絵画盗難事件があり、それ以来一般公開が規制され、2020年にチューリヒ美術館に全コレクションが移管されることになりました。
ビュールレコレクションとして鑑賞できることも貴重ですし、コレクション全体が見渡せるのは今回が最後の機会になるのですね。

それなら尚更、ビュールレさんのコレクションはどれどれ? そんな感じで展示室に入りました。

« アングル夫人の肖像 アングル 1814年 70×57 »
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最初のコーナーは肖像画でしたが、友達との最初の感想は、

「質がいい」

「そうだね、質の高さを感じるね」。

« ピアノの前のカミュ夫人 ドガ 1869年 139×94 »
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友達とは確か昨年末の「ゴッホ展」以来なので、一緒に絵を見るのは3か月ぶりになるのかな?

一人で好きな作品に会って、色々な話をするのも勿論良い時間ですが、
友達と同じ作品を見て機会を共有し、感じたことをその場で、又は食事や美味しいお酒とその後で、
語り合うのはとても楽しい時間です。

何十年来の友達ですが、こんな友が持てたこと、人生と言うと大げさですが、

今まで生きてきた中で大切な宝物だな。

«  燕 マネ 1873年 65×81 »
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ビュールレコレクション展、

ルノワールの「イレーヌ嬢」、セザンヌの「赤いチョッキの少年」等をはじめ印象派の名画を中心とする展覧会。

いくつかの章に分かれていました。「肖像画」「ヨーロッパの都市」「19世紀のフランス絵画」「印象派の風景」「印象派の人物」etc etc ・・・。

最初の章を見ての感想の一言が「上質」でした。

収集家ビュールレさんの審美眼、センスの良さを感じました。

« 雪のサン=ミシェル橋、パリ マティス 1897年 65×81 » 
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それからもう一つ、

この画家がこんな絵も描いているんだ。

ドガの肖像画や、マティスの赤や緑でない普通の? 風景画や、マネのフクロウの画 etc etc ・・・。


同じくマネの「燕」も気に入った作品。

前景の黒と白のドレスの女性、遠景には風車や塔が見える街の風景。

ぽっかりと空いた中景は何となく殺風景かなと思うと、タイトルの燕がスーッと飛んでいきます。

燕が低く飛ぶと雨が降るとか・・・。

青空ですが、雲も出てきて、この後、女性たちはどうなるのかな? 想像が膨らみました。


今まで見たことのない、自分の画家のイメージからは意外にも思える作品が何点かあって新鮮でした。

« ワシミミズク マネ 1881年 97×64 »
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そして、

「イレーヌ」は本当に可愛い !!

ルノワールの他の作品も、女性の肖像画が何点か展示されていましたが、肌や髪の感じ、
一本一本丁寧に描かれたまつ毛。

明らかにイレーヌは描かれ方が違っていました。

« 赤いチョッキの少年 セザンヌ 1888-90年 79.5×64 »
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今風の女の子、現代のアニメなどに登場しても十分に美少女役が務まるのではと、友達と絵の前で話したり。


ルイ・カーン・ダンヴェール伯爵の長女イレーヌ、当時8才。

天使の様に愛らしいイレーヌ。


でも、生涯は決して幸せな時ばかりではなかったようです。

19歳で31歳の銀行家と結婚(政略?)。10年後に破綻(ご主人の不倫?)。

その後、再婚しましたが、やはり離婚(男運悪いのでしょうか?)。60歳代で第2次世界大戦が始まり、ユダヤ系であったため、娘と孫と妹はアウシュビッツで命を落としてしまいます。

イレーヌは改宗していたことと、名前をイタリア風に(再婚の相手がイタリア人)変えていたため最悪の事態は免れたようです。

91歳まで長生きをして1963年に亡くなりました。


画はナチスのゲーリングが盗んでいたのでしょう、所有していましたが、戦後返還されて1946年オランジェリー美術館に。

その後、所有権が認められてイレーヌの元に戻ります(イレーヌは当時74歳。映画の黄金のアデーレの様です)。

その後にビュールレ氏に買い取られ、そのコレクションに。


こんなことを知ると、ただ可愛いだけのイレーヌではなくなるのかもしれないけれど、

でも、ルノワールの「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」はそれでも、ずっと美少女なんだなと。

そうであるべきだと。

来歴を知り、この絵のことがもっと好きになりました。

« イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢 ルノワール 1880年 65×54 »
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最後にもう一枚気になった絵がありました。

最初に載せておいた「アングル夫人の肖像」です。

一目見て気になってしばらく友達には悪かったけれど、絵の前で一人で佇んでいました。


アングルの奥さんの肖像画であり、顔は完成しているものの、他のアングルの作品と比べれば、洋服や背景は未完成なのだと思います。

アングルが自分の手元に大切に置いておいた作品なのでしょう。

アングルは奥さんをとっても愛していたのだそうです(1813年結婚 1849年にマドレーヌ死去)。その最愛の妻マドレーヌはアングルを残して先に亡くなってしまったとのこと。

作品からは私的な愛情、やさしさや愛おしさの様な感情が伝わってくる感じがしました。

デトロイト美術館展で見たセザンヌ夫人の肖像画も好きですが、この絵もいいな。


「イレーヌ」は素敵な作品でしたが、アングル夫人の肖像もとても気に入りました。

« 日没を背に種をまく人 ゴッホ 1888 73×92 »
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ゴッホも良い感じの作品が展示されていました。

じぶんが気に入ったのはこの絵、「古い塔」でした。ゴッホ展で見た佐伯雄三の画を思い出しました。

« 古い塔 ゴッホ 1884 47.5×55 »
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ゆっくりと二人で話ながら、またはお互いに一人で、

ビュールレさんの確かな審美眼で収集された絵画たちを楽しむことができました。

この日見た絵は、コレクションとしてはみんな離れ離れになってしまうみたいですが、素敵な絵画たち、
その内に、またどこかで再会するのかもしれません。

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このポストカードは、展覧会が始まって何日かの限定で、入場者に配られたもの。

「イレーヌ嬢の肖像」非売品です。ゲット !! ^^v 気に入りました。

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お腹が空きました。

友達と絵画鑑賞の後は、お決まりのホームグラウンド秋葉原へ。

昔からのたまり場は少なくなってしまって、秋葉ヨドバシ等に行くことも多くなりましたが、この日は昔からある「雁川」さんで、定番の牛筋の煮込みを頂きました。

とろとろの煮込みを白いご飯の上にかけてかっ込みます。ふーっ、生き返る (笑)。

「雁川」さん、どうもテレビで紹介された様でものすごい混みよう。

いつもと違い過ぎて、びっくりしました。

でも、味はいつものまま、美味しかったです。

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" 今年絶対見る展覧会 "の2番目、

ビュールレ・コレクション展を友達と楽しむことができました。


上質の絵画。

イレーヌお嬢にも会えたし、思いがけなかったけれど、アングル夫人にも会うことができました。

次の展覧会。
リストアップしていなかったのですが、ターナー展があることを知り、前売り券を買いました。

娘がターナーが好きなので、今度は娘と二人で出かける予定です。

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そうそう、止めていた友達のタバコ。

再び吸い始めたみたいなのですが、「特に理由はない !! 」ときっぱり。 笑

嗜好品ですから、好きなようにです !!


いつもと違うこと。

いつもと違う出口から出たり、

いつもと違う路を歩いて、いつもと違う景色を見たり、

健康には良くないけれど、タバコを吸ってみたり、etc etc …。


たまには色々なこと、

シンコペーションをしてみるのも、アクセントになっていいのかな。^^v

" 2018/02/25 Buhrle Collection "
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横山大観--東京画壇の精鋭--展:20180114 [展覧会]

年末に休みの間に読もうと、Amazon で本を探して、

塩野七生さんの「ギリシア人の物語 Ⅲ」等と一緒に、

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雑誌ですが、「日経おとなの OFF」1月号を買いました。 2018 美術展 特集。

じぶんの大好きな、フェルメールの「ミルクを注ぐ女」のクリアファイルが付録だったことと、
今年の美術展のスケジュールも付いていたので、即買いでした。

それを見て、2018年の自分なりの美術展の予定を立てました。

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「西端150年記念 横山大観」 山種美術館  1/3~2/25

「至上の印象派 ビュールレ・コレクション」 国立新美術館    2/14~5/7

「横山大観展」 東京国立近代美術館    4/13~5/27

「プーシキン美術館展」 東京都美術館    4/14~7/8

「モネ それからの100年」 横浜美術館   7/14~9/24

「ミラクル エッシャー展」 上野の森美術館   6/6~7/29

「フェルメール展」 上野の森美術館    10/5~2/3

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今年はフェルメールが8点も10月に来ます。 もうこれだけで、ワクワクが止まらないのですが、

その他にもこんなに楽しみな展覧会がたくさん。

東京国立近代美術館の横山大観展では「生々流転」も久しぶりに見ることができます。


その予習という訳ではないですが、
1月14日日曜日、「西端150年記念 横山大観」展を見に恵比寿の山種美術館まで出かけてきました。

2018年の展覧会、「西端150年記念 横山大観」展でスタートです。

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この展覧会、山種美術館に所蔵されている、横山大観の作品をすべて展示するというもの。

初代の館長と横山大観は個人的にも友人であったとのことで、作品は量も質も一級品です。


開館10時と同時に入り、ゆっくり、今年最初の展覧会を楽しんできました。


先ずは、画巻(絵巻物)です。

「昔から絵巻物を私ほど描いたものはありますまい」と横山大観自身が言っているのだそうですが、
「生々流転」の他にも、何点かの画巻を描いているのですね。

この楚水の画巻もその一つで、中国を旅しそれを記念に描いたものであるとのこと。

≪楚水の巻 明治43年≫
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水墨で描かれた画巻、

揚子江沿岸付近の風景、楚水の朝と昼、雨と夕。
画巻は今ならパノラマ写真の様な、ビデオの様な、そんな感じのものなのでしょうか。

じっと見ていると、徐々に自分が小さくなって、

楚水のほとりに立っているような、そんな感じになりました。


今回の展覧会では富士山を描いたものもたくさんありました。

横山大観が一番多く描いたのは富士山だとのことです。

自信でも、
じぶんから進んでいつも富士山ばかり描いているわけではなく、富士山を描いて欲しいとの依頼が沢山持ち込まれるからと述べていますが、

横山大観の富士山もとても素敵です。

富士山、

やはり新年に見るのにふさわしい絵だと思います。

≪心神 昭和27年≫
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心神、古い本で富士山のことをこう呼んでいるのだそうです。

心の神、言い得て妙だなと思いますが、この「心神」の絵は山種美術館を開館するにあたり、
「それなら」と横山大観が描き、初代館長山崎種二に贈ったものだとのこと。

この美術館の宝物ですね。雲海の真ん中から輝くような富士が顔を出し、神々しい感じがしました。

≪霊峰不二 昭和12年≫
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「わが庵は 都のたつみ しかぞ住む 世を宇治山と人はいふなり」 小倉百人一首、喜撰法師の和歌。

真ん中より下に黒い人が描かれていますが、喜撰法師かな?

横山大観にしては珍しく画面いっぱいに描かれ、緑の松と山肌とがダイナミック。この絵にも惹かれました。

≪喜撰山 大正8年≫
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今年は生々流転、40mの画巻の大作を久しぶりに見ることができます。

生々流転にも龍巻が現れ、天に昇っていきますが、ここでも龍に会うことができました。

≪龍 昭和12年≫
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竹、

≪竹 大正7年≫
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梅、

≪梅(暗香浮動) 昭和32年≫
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松も、

多くの画題に取り上げられています。どれもとても詩情的。

朦朧体の描き方? 輪郭を持たない大気を感ずる山々と太陽の風景、

日本画独特の間の取り方。


竹も鉄骨生春の梅もですが、特に松は一目見て「横山大観の松だ」と分かります。

≪松 昭和15年頃≫
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沢山の作品が展示されていましたが、

その中で特に気に入ったのは、この春朝。

この絵好きです。

エゴンシーレの4本の木を何となく思い出してしまいました。


気韻生動、

「画論に気韻生動という言葉があります。
気韻は人品の高い人でないと発揮できません。人品とは高い天分と教養を身につけた人のことで、日本画の究極は、この気韻生動に帰着するといっても過言ではないと信じています。」

「今の世にいかに職人の絵が、またその美術が横行しているかを考えた時、肌の寒さを覚えるのはただ私だけではありますまい。」

ものすごく描写が上手であるとか、細密であるとか、横山大観の作品からはそういうものは感じません。

ただ、じぶんは、作品の中から誠実、真実、それに父性的な優しさを感じます。

多分、横山大観が述べている気韻生動、画道とでもいえるような絵画への姿勢が、

そう感じさせるのではないかと。

≪春朝 昭和14年頃≫
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向こうからじっと見つめてくるこの木兎も気になってずっと、こちらからも見つめてしまいました。

≪木兎 大正15年≫
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開館と同時に入って、混雑もなくて、

ゆっくりと、

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山種美術館の横山大観展を楽しむことができました。

酒好きで、ごはんを全然食べなかった?  実際にはおかゆだけを少しだけ食べていたようですが、

酒が大好きだったことも今回知ることができました。 親近感 。


4月の東京国立近代美術館の展覧会前に、横山大観のこと、

自分なりにずいぶん詳しくなったなと? 笑


休日らしい良い時間を、久しぶりの山種美術館で過ごすことができました。

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恵比寿の街も訪れたのはとてもとても久しぶりでしたが、

渋谷とかと比べると、落ち着いていて大人の感じ。

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入ってみたいカフェも、駅から美術館に向かう途中に何件か見つけました。

今度はカフェにも入ってみようと思います。

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そろそろお昼。

お腹が空いたのでスマホで近くのお店を探しました。

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やはり寒いので体が温かくなるもの。

少し前から食べたくてたまらなかった、味噌ラーメンで検索してみると、

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「さっぽろ 火武偉」というお店が、駅の東口にあることが分かりました。

地図を見ながら、いえ、見るまでもなく駅を出るとすぐそこでした。

出てきた味噌ラーメンを見ると、大好きな札幌の純連さんの味噌ラーメンにそっくり!!

味玉ラーメン900円、美味しく頂きました。

純連の味噌ラーメンよりも東京風? 少し優しい感じになっていましたが、寒い中歩いてきた体はポッカポカになりました。

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寒い日にはラーメン、特に味噌ラーメンなんかが良いです。

「さっぽろ 火武偉」さん、ごちそうさまでした。

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2018年の展覧会、無事スタートを切ることができました。

昨年はあまり絵を見られませんでしたが、その分も、2018年はたくさんの絵と会いたいと思っています。

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次は、「至上の印象派 ビュールレ・コレクション」 国立新美術館 。

前売りのチケットを買ってあります。

史上最高の美少女、ルノワールのイレーヌに会いに行きます。

とても、楽しみ。

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"2018/01/14 150th Anniversary Thematic Exhibition Yokoyama Taikan"
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ゴッホ展 巡りゆく日本の夢 & 原田マハ_たゆたえども沈まず:20171209 [展覧会]

今年は、
特に前半は絵を見に行くことがあまりできませんでした。3月にミュシャ展に行ったくらい。

コンサートにはこの一年で12~13回行って、ミスチルの横浜アリーナにまで行きましたが、最後はN響の第9でしめる予定です。


6月の山田和樹さんのマーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」、第9番は両方の演奏とも素晴らしくて、特に第9番は久しぶりにコンサートで演奏を聴いて、知らず知らずのうちに涙を流していました。

11月には、カティア・ブニアティシヴィリのチャイコフスキーのPコン。
ぶっ飛び!! 超光速の演奏に度肝を抜かれ(チャイコのPコンでこんな感じになったのはアルゲリッチの演奏以来かも)、

12月16日はマイブームのメンデルスゾーンの交響曲第3番スコットランドを聴いてきて、至福の一時。
たくさんの良い演奏に出会うことができました。

それに引き換え、展覧会は orz … ^^;

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途中でこれはいけないと気が付いて、その時発売していた前売りチケットを3枚買いました。

落ち着いて綺麗な色彩だなと感じた、オットー・ネーベル展、

四天王の隆々の腕の筋肉に思わず惹かれた、運慶展、

そして、今年の〆にと選んだゴッホ展の3つ。

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2017年の〆の展覧会は「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」。

友達を誘って12月9日(土)東京都美術館まで出かけてきました。

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この展覧会、見て来ての感想は2つです。

一つはゴッホって思っていた以上に、日本の影響を受けているんだということ。

それから、
普通の展覧会よりも資料がたくさん展示されていて、一種、記念館か博物館のような感じだったことです。


先ずはポスターにもなっていた渓斎英泉の花魁を模した作品から。


≪花魁(渓斎英泉による) 1887年 ファン・ゴッホ美術館≫
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渓斎英泉の花魁とは左右が逆になっていますが、これはゴッホが見たのは「パリ・イリュストレ」誌の表紙で、
この表紙、何かの拍子で? 逆に印刷してしまったのでしょうか(印刷ではよくあること?)。

それにしても、ゴッホが花魁の浮世絵を模して描いた作品があるなんて、今まで知りませんでした。

背景にいる鶴やガマガエルも、浮世絵等から持ってきていると展覧会の説明書きに。

≪雲竜打掛の花魁 渓斎英泉≫
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ゴッホは浮世絵からたくさんのこと、構図や色彩の自由さや視点も間も、学んだのですね。

今回の様に、作品とその影響を受けた元の浮世絵等を並べて展示をしてくれると、本当に良く分かりました。

≪富嶽三十六景/山下白雨 葛飾北斎≫
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それから、ゴッホだけでなく、

世界的に有名な画家たちにこれほどまでに影響を与えていることを再認識し、

「運慶展」でも思ったことですが、日本の美術は世界的に見てもすごいものなんだなぁ~ !! 

≪富嶽三十六景/神奈川沖浪裏 葛飾北斎≫
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この絵も、ゴッホの色、黄色の空がゴッホらしいなと思いますが、

≪種まく人 1888年 ファン・ゴッホ美術館≫
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前景の印象的な樹は、

広重の「名所江戸百景」の本歌取りなのですね。

≪名所江戸百景 歌川広重≫
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一緒に行った友達が「今回の目玉」と言った「寝室」。


「寝室」は実は3種類あることを展覧会から帰って来て、ネットで調べて知りました。

第1バージョンはゴッホ美術館蔵のもの。1888年、ゴーギャンがアルルに来る直前に描かれたものだそうです。

第2バージョンはシカゴ美術館蔵のもの。1889年に最初のものを複製して描かれました。

第3バージョンは、1889年にゴッホの母親のために縮小して描かれたものであるとのこと。オルセー美術館蔵。

ゴッホはこの作品に何か思いいれの様なものがあったのかもしれません。調べてみたいなと思いました。

今回来ているのは第1バージョンでオリジナルの作品。

また、これもネットで調べて分かったことですが、
第3バージョンの「寝室」は松方幸次郎が購入し松方コレクションとして収集されていたもの。
第二次大戦後、戦後賠償の一環としてフランスの国有のものとなってオルセーに所蔵されたのだそうです。

そんなことがなければ、今、西洋美術館にこの絵があったかもしれません。

賠償って、そんな !!

≪寝室 1888年 ファン・ゴッホ美術館≫
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日本にあこがれ、日本に行きたかったゴッホ。

≪タラスコンの乗合馬車 1888年 ヘンリー&ローズ・パールマン財団蔵≫
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描いた絵も売れず、色々な葛藤があって…。

それだからこそ、日本は一つの理想郷と思っていたようです。 ぼくらはフランスのアルルと日本が似ているかと言われれば、きっと、 小首をかしげると思いますが、

ゴッホはアルルに日本、彼が思い描いていた理想郷を重ねていたようです。

アルル時代の絵も、全体的に孤独感や寂しさを奥底に感じますが、それまでの絵に比べて色彩は明るくなり、ぼくらが思うゴッホの感じになっていったのかと。

やはりアルルに行って良かったんだなと。

≪画家としての自画像 1887年 ファン・ゴッホ美術館≫
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色々な絵と資料が展示されていましたが、最後の方に飾られていた「ポプラ林の二人」、

この絵にとても惹かれました。

色彩が好きです。

ナビ派のドニの絵を思い出させるような構図、ポプラのパステルのような色合い。

ゴッホにもこんな絵があるんだなと。

2010年に国立新美術館でオルセー美術館展がありましたが、その時見た「星降る夜」の感じを思い出しました。

≪ポプラ林の二人 1890年 シンシナティ美術館≫
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先の方で書きましたが、この展覧会、絵画だけでなく、

ゴッホがなくなったオーヴェル=シュル=オワーズ、ゴッホの聖地。そこを訪れた多くの日本人たちの足跡を資料を展示して紹介してくれています。

ゴッホが最晩年に交友を持ったオーヴェールの医師ガシェ氏のもとには3冊の芳名録が残されていて、
憧れの画家の終焉の地を訪れた日本の画家や文学者たち240名あまりが署名を残しているとのこと。

資料の展示で、こんなに沢山の日本人が、ゴッホ詣でをしていたのも初めて知りました。

ぼくの好きな佐伯祐三もこの地を訪れて教会を描いていたのです。

佐伯祐三の作品もまた見たいな。

≪オーヴェールの教会 佐伯祐三 1924年 鳥取県立美術館≫
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ゆっくりと友達と、ゴッホとジャポニズムを堪能していたら、そろそろお腹が空きました。

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10時半の待ち合わせだったのですが、それほどの混雑もなく待たずに室内に入れたし、土曜日なのにどの絵もストレスなく鑑賞することができました。

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そうそう、

上野は今はこちらですごい混雑なのでしょうね。

19日からは赤ちゃんパンダのシャンシャンが一般公開だそうです。テレビでも見ましたが愛くるしい姿は一度は見ておきたいなと。

2年後には中国に帰ってしまうのですって。

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上野の紅葉も少しだけ見ることができました。

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いつもの中華屋さんでランチにしようと思いましたが、混雑していて入れませんでした。

アメ横辺り、色々と店を探しましたが、結局、夜は飲み屋さんなのかな ?

「酒亭 じゅらく」さんで一押しという「しびれ豚丼」を頂きました。 ^^;;

メニューの「じゅらく特製メニュー♪ ピリッとしびれる感覚がたまらなくおいしい一品です。」につられました。

「しびれ」とは山椒のこと。

注文する時に店の方から、山椒を掛けないこともできるとのことでしたが、せっかくの「しびれ丼」なのでそのまま頂きました。

じぶんたちは、それほどの辛さは感じませんでしたが、豚肉とご飯がたっぷり。お腹いっぱいに !!

そして、
噛み過ぎて顎が痛くなりました(肉が硬かったという訳ではなく肉が多くてです) ^^;

本当に、お腹いっぱいになりました。メガ盛りっていうのもあったけれど、どのくらい大盛りなんだろう??

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展覧会を見に行った時には読みかけだった、原田マハさんの「たゆたえども沈まず」。

ゴッホのことが展覧会を見てとても気になり、帰ってきた日に続きを一気に読んでしまいました。


ゴッホの弟テオの、フィンセント兄さんへの献身さ。

テオはゴッホがなくなって間もなく、結婚したばかりの奥さんと子供を残して病気で亡くなってしまいました。
とても仲の良かった、
片やよれよれの上着にすり切れた靴の売れない画家、片やセレブ相手の高級画廊の支配人の兄弟ですが、
傷つきやすく繊細な心を持つことではとても似ている兄弟。

ネタバレになってしまうのであまり書きませんが、フィンセントの命を縮めてしまったのはきっと自分だと思ってしまったのでしょう。

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もっとこの兄弟のことを知りたいと、岩波文庫の「ゴッホの手紙」も買いました。

仲の良かった兄弟、ゴッホも筆まめだった様でたくさんの手紙を残しています。

たゆたえども沈まず、
原田マハさんの作品の中ではミステリーっぽくもないし、後半になってようやくテオの奥さんヨーが出てくるまで、女性は一人も登場しないという、地味な感じですが、

強く温かい兄弟愛、読んだ後も心の中には通奏低音の様な切なさがいつまでも残っています。

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ゴッホ、観ると孤独感や寂しさ etc etc …色々な強い感情を感じてしまって、

フェルメールやモネ等が気に入っている自分としては、どちらかというと苦手な画家だったんだと思います。

でも、今回の展覧会と「たゆたえども沈まず」を読んで、ゴッホのことが少し理解できたように思えます。

ポプラ林の二人の様な好きな絵もできました。オルセー展の「星降る夜」と一緒に好きな絵に。


今年はあまり行けませんでしたが、やはり絵画は良いですね。

来年はもっとたくさん見に行くことにしたいと思います。

そうそう、来年10月には久しぶりにフェルメールが来てくれるのだそうです。しかも8点もまとめて!!

これはとっても楽しみ。 ^^

" 2017/12/09 Van Gogh & Japan & Fluctuat nec mergitur "
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興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」に行ってきました:20171015 [展覧会]

しばらく美術館に行っていませんでしたが、

オットー・ネーベル展に行って、やはり絵画は良いな、美術っていいな。


良い絵画と向き合い、

画家の時とじぶんの時とは重なっていないけれど、時空を超えて、筆の後や、ナイフのカスレや、

何より画家の心を感じ、画家がそこに閉じ込めた思いや感情たちと話ができるのは、

至福の時なのだなと改めて。

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この秋は、コンサートのチケットも何枚か買ってあります。


田部京子さん、カティア・ブニアティシヴィリ(ソロとコンチェルト)、松田華音。

今、自分の中で聴きたいピアニスト3人と、

今も続いているマイブームのメンデルスゾーンは、N響で交響曲 第3番 スコットランドをゲットしています。


芸術の秋、

普段は持てない、静かな落ち着いたじかんたち。

音楽と一緒に美術館と博物館にも行きたいと思っています。

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この日も、

母と行くつもりでチケットを2枚用意したのですが、

約束した当日、

待ち合わせの場所で待っていると、風邪をひいてしまったとの電話がありました(後日電話すると、医者に行って薬をもらって、良くなってました)。

そんなことで、急遽一人で見ることになった「運慶展」。母にはあとでチケットを送っておきました。

<国宝 無著菩薩立像 1212年 興福寺蔵>
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以前に家族でUSJ に行き、二日目はじぶんは別行動をとって、奈良を散歩しました。

その際、無著菩薩にはお会いしたのですが、

やはり、運慶、

ものすごいです。

1200年の初めの頃、ヨーロッパは中世、バロックの時代。ルネッサンスはまだ。

キリスト教一色の、お約束の中の教会美術。

ダビデやピエタを作ったミケランジェロが活躍するのは15世紀から16世紀。

なのに、

わが国ではこの様に写実的な作品が。すごいな運慶って。

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こちらも、一目見てその迫力にぶっ飛びそうになった四天王立像。

<国宝 四天王立像 13世紀 興福寺蔵>
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その大きさにもですが、今にも本当に台座から降りて来てじぶんたちの目の前に立ちふさがり、睨め付けられそう。とてつもない躍動感。

一体でもそんな感じであるのに、四体が回りをぐるっと取り囲んで展示されているのです。

この四天王像、現在は南円堂に置かれている四天王像ですが、

最近の研究で仮講堂に置かれている四天王像が運慶のお父さん、康慶作のものであり、本来、南円堂にあったものであることが分かったのだとのこと。

それで、こちらの現在の南円堂のものが本来は北円堂に、無著菩薩立像等の周りに置かれていたのでは、運慶作なのではと。

<多聞天 立像>
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四天王、どれもずっと見ていたいほど素晴らしい作品ですが、

左手に宝塔を載せ高く掲げ、それを仰ぎ見る多聞天の姿は特に動きが大きく、こんな四天王は他には見たことがありません。

運慶作とまだ確定はしていないようですが、無著菩薩立像や世親菩薩立像の周囲に置かれる四天王にふさわしい姿だと思います。

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彫刻の世界では、ミケランジェロ等の、ルネッサンスの頃のイタリアが素晴らしいと思っていましたが、この運慶展を見て認識を改めてしまいました。

西洋のルネッサンスよりもずっと早い時代に、これほどの写実的で躍動感のある彫刻が日本にあったのだと、

筋肉やこめかみに浮き上がる血管まで描写し表現しているのだと、そして威厳やその人間性までも。

運慶とその工房、恐るべしです。

<増長天 立像>
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あれっ、歌丸師匠 (笑)

東大寺の復興を不屈の意思でけん引した重源上人の坐像も、今にも何かをお話し下さるかのよう。

<国宝 重源上人坐像 鎌倉時代13世紀 東大寺蔵>
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これは、運慶の子供の湛慶作といわれる子犬。

<重要文化財 子犬 鎌倉時代13世紀 高山寺蔵>
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そして神鹿(しんろく)も、とて優しい表情、丸みを帯びて可愛らしさをそのまま、

写実的に表現され、本当にこれが13世紀に彫られたものなのかと・・・。

運慶派? この時代でもそしてこの後でも、特異な一派なのかなと?

次元を超えている、先に行き過ぎ? そんな感じもする程の革新的な作品を作り出した人たちなのだなと。

<重要文化財 神鹿 鎌倉時代13世紀 高山寺蔵>
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運慶展、
運慶の作品の他にもお父さんの康慶、そして湛慶等子供たちの作品も合わせ、37点が展示されていました。

それぞれのお寺で運慶の作品に会うのも良いですが、
東博で一堂に展示されると「彫刻」としてみることができ、お寺で見る時とはまた違った視点でそれぞれの運慶の作品に会うことができるなと思いました。

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母には振られたけれど(笑)、一人でも見て良かったなと、

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朝一番で入ろうとして、雨の中で10分くらい並びましたが、

中ではそれほどストレスなく十分に作品達を鑑賞することができました。


さて、次は何を見ようか? (実は、チケットはあと一枚別のものを買ってあります)。

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雨が降っていて寒かったこともあり、そのまま上野の駅から地元に帰って来ました。

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暖まろうと、地元横浜の「家系」ラーメンを頂きました。

展覧会が良くて、気持ちも大きくなっていたことから、チャーシュー増し増し !!

やはり時々食べたくなります。地元横浜の家系ラーメン。 ^^

" 2017/10/15 UNKEI The Great Master of Buddist Sculputer Tohaku "
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