ターナー「風景の詩展」:20180504 [展覧会]
今年のGW、前半の4日間はカメラを連れて港の見える丘公園に出掛けた以外は、
自分の部屋で「まったり~っ(3月のらいおんの猫たちの様 ^^;)」
これではいかんいかんと、5日はラ・フォル・ジュルネに行ったことは前に書きましたが、
その前日の4日も娘を連れて(連れられて?)、
新宿の東郷青児美術館へ「ターナー 風景の詩」展を見に出かけました。
部屋で好きな本とCDと、時々お酒に囲まれて過ごすのも良いですが、
そればかりだったから余計に、久々の都会と5月の爽やかな青い空は元気があって新鮮な感じ。
久しぶりの東郷青児美術館は、スマホのナビを見ながらでしたが、娘とあちらこちらのビルの中、
行き止まりになったり引き返したり…、
でも、何とか無事にたどり着きました。 ^^;
専用のエレベーターで42階まで上ると美術館の入り口。
展示室は写真は撮れませんが、入り口付近にはフォトスポットとして、ターナーの作品を大きく拡大したものや、この美術館の至宝、ゴッホの«ひまわり»等が展示されていました。
そして、「ターナー 風景の詩」です。
印象派の先達とも言われるターナー、
じぶんもあの海の景色を描いた太陽と雲と、青やオレンジや色々な色彩が入り混じった風景にひかれてターナーが好きになりましたが、
娘は印象派はあまり好きでないとのこと。
《風景 タンバリンを持つ女》1840-1850年頃 88.5×118 栃木県立美術館
なぜ? と聴くと?
度の強い眼鏡の娘、「眼鏡を外した時の景色みたいで輪郭がないのがいや」と。
それでは印象派の先祖みたいなターナーが好きなのは?
「色彩が好きなのと、印象派みたいに輪郭がないのでなく形ははっきりしているから」。
なるほど? 納得するようなしないような、そんな感じではありましたが、ある種、言いえて妙かなと 笑
《風下側の海辺にいる漁師たち、時化模様》1802年展示 91.5×122 サウサンプトン・シティ・アート・ギャラリー
今回の展覧会は水彩画が多く、テーマ通り風景画をメインとする展示でした。
あまり大作はなかったけれど、部屋に飾っておいてもいいなと思う作品がたくさんありました。
《タインマウス小修道院》1822年頃 15.9×24.1 ブラックバーン博物館アート・ギャラリー
たくさんの絵を見て思ったことは2つありました。
一つは、ターナーの海をテーマにした作品、海洋国家イギリスということもあって、かなり多い様ですが、
描かれた波に注目です。
《セント・オール・バンズ・ヘッド沖》1822年頃 39.8×68 ハロゲイト、メーサー・アート・ギャラリー
自分たち日本人は波というと、葛飾北斎の≪神奈川沖浪裏≫の波等飛沫が強調された激しい波を思い浮かべますが、
ターナーの波はかなり特徴があるかも ?
天気が悪そうだし、かなり荒れている様だから、もっと大きな波、大げさな波でもいいのではないか等と。
《ゴスボート、ポーツマス港の入り口》1829年頃 29.2×43.2 ポーツマス博物館群
ただ、たくさんの海景画を見ていって、1840年代の絵になると何となく納得 ?
《オステンデ沖の汽船》1840-41年頃 24.8×36.4 ポートサンライト、リヴァプール国立美術館群
空と海と、
船と海岸の人々と、そしてもちろん波と、
もう境目がなくなってしまって、海景というよりもターナーの心象風景なのでしょうか、
渦をまいて、または空に全部が昇華していってしまう様な。
船でも人でも、空でも、波でもなく、それらが全て混じり合って、その場所でその時にターナーが心に焼き付けた景色なんだなと。
ターナーの海景画、とても興味津々で面白かった。
《海岸で救難作業をする人々》1840年代 22.2×29.2 個人蔵
旅好きターナー? 生涯に色々な所に何回も出かけたようです。
大陸にもですが、なんと、イギリス国内は合計56回も。
ストーンヘンジも訪れているのですね。
《ストーンヘンジ、ウィルトシャー》1827-28年 27.9×40.4 ソールズベリー博物館
今回の展覧会で思ったことの2つ目は、
版画が約100点も展示してあって、量も多かったけれど、その質がものすごく素晴らしいことでした。
風景画や海景画の水彩や油絵も良かったけれど、もっと興味を惹かれたのは版画でした。
そもそも、ターナーのデッサン、水彩や油絵をもとに作られた版画は800点以上もあるのだとか。
これほどターナーが版画に力を入れたのは、買ってきた図録の解説によると次の3つの理由だそうです。
①版画によって自らの作品を普及させようとした。
売れっ子画家ターナー、版画がカタログみたいなものだった? 販促?
大衆は版画を通して、ターナーの作品を購入していたとか。
②版画が旅行ガイドの役割をしていた。
国内外の旅行が流行していたとのこと。ターナーが描いた多くの水彩画は版画の出版業者からの依頼によって
いたのだとか。
③版画そのものの芸術的価値をターナーが認識していた。
版画はオリジナルの単なる複製ではなかったようです。
ターナー自身が版画の芸術性と重要性をよく理解していた。また、ターナーの指示で、オリジナルの水彩画等と
は異なった描かれ方をしているものもあるとか。
実際、《ストーンヘンジ、ウィルトシャー》は元の絵と版画も載せておきましたが、版画の方が迫力すごいなと。
100点余りの版画達、細密に(顕微鏡で調べた人がいる様ですが、数ミリの所に5本も線が入っているとか ^^;)
丁寧に作られており、これって本当に版画? みたいに思うものがたくさん展示されていました。
もちろんもちろん、あまり書きませんでしたが、
テーマの風景画も素晴らしい作品がありました。
ポスターにもなっていますが、この絵もいいなぁ~と、しばらく風景の中にじぶんも引き込まれ、この景色の中、カメラとWalkman を連れ、散歩しているかの感覚に。
《ソマーヒル、トンブリッジ》1811年展示 92×122 エディンバラ、スコットランド国立美術館群
展示室を出て、42階からの景色。
5月の青空、都市東京。そして、
やっぱり、ターナーはすごいや !! きっと、偉いからえばっていて、気難しくて性格は???
でも、作品はすごいな。
42階からの現代巨大都市、東京の景色を眺めながら展覧会を見ての感想。
42階から降下し、元の世界に戻ってきたらお腹が空いているのに気が付きました。 ^^;
駅の方まで戻るとものすごく混んでいるのはわかっているので、この辺にしようかと。
隣のビル、新宿エルプラザの地下2階にある「ビストロ フランベ」さんでランチを頂きました。
なぜかビールは頼まず? (娘と一緒だからではないですが)、
じぶんは初めて頂きました、ドイツ生まれのピザの様な「タルトフランベ」、ベーコンとオニオン。
それと大盛りのカルボナーラをオーダーして、二人でシェアしていただきました。
ランチは全品、サラダとデザート付きで、パン・スープ・ドリンクはセルフでおかわり自由でした。
バゲットのパンも美味しくて…食べ過ぎです。 ご馳走様。 ^^v
今年は10月のフェルメール等、色々楽しみな展覧会も多くて、
正直言うと、それほどは期待していなかったのですが、
波の海景画のこと、晩年のまるでモネの睡蓮の絵の様にも思える一種抽象画の様な作品、
それに素晴らしい版画たち…、
「ターナー 風景の詩」も素敵な展覧会でした。
チケットはプーシキンと、モネと、それから横山大観があって、横山大観は27日まで。
26日の土曜日ギリギリですが行ってきました。
「生々流転」、やっぱりすごかったです。 横山大観展のことも機会があればブログにも残しておきたいなと。
" Turner and the Poetics of Landscape 2018 "
自分の部屋で「まったり~っ(3月のらいおんの猫たちの様 ^^;)」
これではいかんいかんと、5日はラ・フォル・ジュルネに行ったことは前に書きましたが、
その前日の4日も娘を連れて(連れられて?)、
新宿の東郷青児美術館へ「ターナー 風景の詩」展を見に出かけました。
部屋で好きな本とCDと、時々お酒に囲まれて過ごすのも良いですが、
そればかりだったから余計に、久々の都会と5月の爽やかな青い空は元気があって新鮮な感じ。
久しぶりの東郷青児美術館は、スマホのナビを見ながらでしたが、娘とあちらこちらのビルの中、
行き止まりになったり引き返したり…、
でも、何とか無事にたどり着きました。 ^^;
専用のエレベーターで42階まで上ると美術館の入り口。
展示室は写真は撮れませんが、入り口付近にはフォトスポットとして、ターナーの作品を大きく拡大したものや、この美術館の至宝、ゴッホの«ひまわり»等が展示されていました。
そして、「ターナー 風景の詩」です。
印象派の先達とも言われるターナー、
じぶんもあの海の景色を描いた太陽と雲と、青やオレンジや色々な色彩が入り混じった風景にひかれてターナーが好きになりましたが、
娘は印象派はあまり好きでないとのこと。
《風景 タンバリンを持つ女》1840-1850年頃 88.5×118 栃木県立美術館
なぜ? と聴くと?
度の強い眼鏡の娘、「眼鏡を外した時の景色みたいで輪郭がないのがいや」と。
それでは印象派の先祖みたいなターナーが好きなのは?
「色彩が好きなのと、印象派みたいに輪郭がないのでなく形ははっきりしているから」。
なるほど? 納得するようなしないような、そんな感じではありましたが、ある種、言いえて妙かなと 笑
《風下側の海辺にいる漁師たち、時化模様》1802年展示 91.5×122 サウサンプトン・シティ・アート・ギャラリー
今回の展覧会は水彩画が多く、テーマ通り風景画をメインとする展示でした。
あまり大作はなかったけれど、部屋に飾っておいてもいいなと思う作品がたくさんありました。
《タインマウス小修道院》1822年頃 15.9×24.1 ブラックバーン博物館アート・ギャラリー
たくさんの絵を見て思ったことは2つありました。
一つは、ターナーの海をテーマにした作品、海洋国家イギリスということもあって、かなり多い様ですが、
描かれた波に注目です。
《セント・オール・バンズ・ヘッド沖》1822年頃 39.8×68 ハロゲイト、メーサー・アート・ギャラリー
自分たち日本人は波というと、葛飾北斎の≪神奈川沖浪裏≫の波等飛沫が強調された激しい波を思い浮かべますが、
ターナーの波はかなり特徴があるかも ?
天気が悪そうだし、かなり荒れている様だから、もっと大きな波、大げさな波でもいいのではないか等と。
《ゴスボート、ポーツマス港の入り口》1829年頃 29.2×43.2 ポーツマス博物館群
ただ、たくさんの海景画を見ていって、1840年代の絵になると何となく納得 ?
《オステンデ沖の汽船》1840-41年頃 24.8×36.4 ポートサンライト、リヴァプール国立美術館群
空と海と、
船と海岸の人々と、そしてもちろん波と、
もう境目がなくなってしまって、海景というよりもターナーの心象風景なのでしょうか、
渦をまいて、または空に全部が昇華していってしまう様な。
船でも人でも、空でも、波でもなく、それらが全て混じり合って、その場所でその時にターナーが心に焼き付けた景色なんだなと。
ターナーの海景画、とても興味津々で面白かった。
《海岸で救難作業をする人々》1840年代 22.2×29.2 個人蔵
旅好きターナー? 生涯に色々な所に何回も出かけたようです。
大陸にもですが、なんと、イギリス国内は合計56回も。
ストーンヘンジも訪れているのですね。
《ストーンヘンジ、ウィルトシャー》1827-28年 27.9×40.4 ソールズベリー博物館
今回の展覧会で思ったことの2つ目は、
版画が約100点も展示してあって、量も多かったけれど、その質がものすごく素晴らしいことでした。
風景画や海景画の水彩や油絵も良かったけれど、もっと興味を惹かれたのは版画でした。
そもそも、ターナーのデッサン、水彩や油絵をもとに作られた版画は800点以上もあるのだとか。
これほどターナーが版画に力を入れたのは、買ってきた図録の解説によると次の3つの理由だそうです。
①版画によって自らの作品を普及させようとした。
売れっ子画家ターナー、版画がカタログみたいなものだった? 販促?
大衆は版画を通して、ターナーの作品を購入していたとか。
②版画が旅行ガイドの役割をしていた。
国内外の旅行が流行していたとのこと。ターナーが描いた多くの水彩画は版画の出版業者からの依頼によって
いたのだとか。
③版画そのものの芸術的価値をターナーが認識していた。
版画はオリジナルの単なる複製ではなかったようです。
ターナー自身が版画の芸術性と重要性をよく理解していた。また、ターナーの指示で、オリジナルの水彩画等と
は異なった描かれ方をしているものもあるとか。
実際、《ストーンヘンジ、ウィルトシャー》は元の絵と版画も載せておきましたが、版画の方が迫力すごいなと。
100点余りの版画達、細密に(顕微鏡で調べた人がいる様ですが、数ミリの所に5本も線が入っているとか ^^;)
丁寧に作られており、これって本当に版画? みたいに思うものがたくさん展示されていました。
もちろんもちろん、あまり書きませんでしたが、
テーマの風景画も素晴らしい作品がありました。
ポスターにもなっていますが、この絵もいいなぁ~と、しばらく風景の中にじぶんも引き込まれ、この景色の中、カメラとWalkman を連れ、散歩しているかの感覚に。
《ソマーヒル、トンブリッジ》1811年展示 92×122 エディンバラ、スコットランド国立美術館群
展示室を出て、42階からの景色。
5月の青空、都市東京。そして、
やっぱり、ターナーはすごいや !! きっと、偉いからえばっていて、気難しくて性格は???
でも、作品はすごいな。
42階からの現代巨大都市、東京の景色を眺めながら展覧会を見ての感想。
42階から降下し、元の世界に戻ってきたらお腹が空いているのに気が付きました。 ^^;
駅の方まで戻るとものすごく混んでいるのはわかっているので、この辺にしようかと。
隣のビル、新宿エルプラザの地下2階にある「ビストロ フランベ」さんでランチを頂きました。
なぜかビールは頼まず? (娘と一緒だからではないですが)、
じぶんは初めて頂きました、ドイツ生まれのピザの様な「タルトフランベ」、ベーコンとオニオン。
それと大盛りのカルボナーラをオーダーして、二人でシェアしていただきました。
ランチは全品、サラダとデザート付きで、パン・スープ・ドリンクはセルフでおかわり自由でした。
バゲットのパンも美味しくて…食べ過ぎです。 ご馳走様。 ^^v
今年は10月のフェルメール等、色々楽しみな展覧会も多くて、
正直言うと、それほどは期待していなかったのですが、
波の海景画のこと、晩年のまるでモネの睡蓮の絵の様にも思える一種抽象画の様な作品、
それに素晴らしい版画たち…、
「ターナー 風景の詩」も素敵な展覧会でした。
チケットはプーシキンと、モネと、それから横山大観があって、横山大観は27日まで。
26日の土曜日ギリギリですが行ってきました。
「生々流転」、やっぱりすごかったです。 横山大観展のことも機会があればブログにも残しておきたいなと。
" Turner and the Poetics of Landscape 2018 "