クリムト展 ウィーンと日本1900:20190623 [展覧会]
気が付くと会期が過ぎてしまい、
見逃してしまった展覧会が昨年幾つかありました、反省。
今年は予め「行きたいものリスト」を作り、予め買えるものは前売り券を買っています。
前売り券を買い始めると、特典付きのチケットがあることに気が付きました。もちろん普通のチケットより安いのも特典なのですが、
色々なグッズが安めの値段で付いているものも。
クリムトの没後100年を記念する「クリムト展 ウィーンと日本1900」の展覧会のチケットでは、
特製ノートが付いていてそれをゲットしました。
但し、クリムトの作品が何種類か描かれているノートはアトランダムで選ぶことはできず、
じぶんのチケットに付いてきたのは風景画の「アッター湖畔のカンマー城 Ⅲ」。
ノート自体は素敵なものでしたが、できればポスターにもなっている「ユディットⅠ」が良かったなぁ…、
ちょっと残念に思ったりしていました。
会期も終盤の6月22日の土曜日、久々に会います、絵画鑑賞仲間? (高校生からの親友です)を誘い、
東京都美術館に出かけました。
9時半からの開場でしたが少し遅めの10時の待ち合わせ…。ところが、
美術館に到着するとものすごい人、人、人… !! 。
30分待ちと案内が掲示されているのですが、それ以上に、ガラス越しに見てもものすごい人の列。
「どうしよう ? 」
「もっと早く来ればよかったね」
「これほどとは思わなかった…判断ミス」「フェルメールよりすごいじゃん」
「出直そうか?」
「明日は大丈夫?」
「暇 !!」
「同じく」笑笑
潔く撤収。
そうと決まれば電脳仲間でもある我々のホームタウンの一つ、秋葉へ。
11時からの開店を待って早めのランチ。
先ずは「残念でしたぁ~」と心の痛手を癒し冷たいビールで「ぷはぁ~」。
一杯では癒したりなくてもう一杯とかも。
昔から二人でよく飲みました。
燻製のベーコンと玉子、ハンバーグ etc etc…を頂きながら、明日、日曜日の相談をしました。
「9時半開場だから?」
「明日は9時10分前に上野駅の改札口で」
展覧会に来て何も見ずに帰ったのは、長いこと生きてきましたが、
この日が初めての経験でした ^^;;
明けて23日の日曜日の早朝…、出直しのクリムト展。
Walkman はグスタフ・マーラーの交響曲第3番。 マーラーの中でも「自然」に満ち満ちていて明るめの曲。
6楽章は大好きです。
美術館に近づくと、こんなに並んでるのかなと一瞬フリーズしましたが、開門前の列でした。
開場前に30分は並びましたが、早く行ったおかげ、
比較的空いている美術館でクリムトと会うことができました。
会場の案内の方達、「順番に見る必要はなく、上の階から見て頂いても良です」
「空いている内にユディットⅠ等をご覧いただけま~す」云々
嬉しくありがたいアドバイス。
「行こう !! 」
ならば、天の声に従って上の階から攻略することにしました。
結果、ほとんど人がいない展示場所で、この展覧会の目玉たち、
グスタフ・クリムトの傑作のタブローたちに会ってくることができました。
ユディトⅠ 。
クリムトが初めて金箔を用いた作品と言われています。額縁はクリムト自身のデザイン。
旧約聖書外典の「ユディト記」、祖国を救うためにアッシリアのホロフェルネスの首を切り落としたユディット。
左手にはその首が。
女性は首を斬りたがるものなのでしょうか…?? モロー展で見たサロメのよう。
ついについに、クリムトのファムファタルにも会うことができました。
≪ユディットⅠ 1901年 84×42≫
全てを映し出す鏡は「真実」のシンボル。
1897年のウィーン分離派結成の直前に構想されたこの作品は、迎合しない反骨としての芸術への支持を表明しているとのこと。
新たな芸術運動の理想を示している作品だそうです。
今回の展覧会には来ていないけれど、パラス・アテネの作品にも登場しているイメージ。
≪ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実) 1899年 244×56.5≫
この辺で、友達とは散り散りに。
それぞれ自由行動。
展覧会に行っても鑑賞する目、作者との会話のスピードが異なります。
その辺は、長年のあうんの呼吸。
一人で次の部屋に入ると突然空気が変わりました。 声のない感嘆のわぁ~。
≪女の三世代 1905年 171×171≫
クリムトの黄金様式時代の大作です、ベートーベンフリーズ !!
厳かな礼拝堂に入った時かの様…、一瞬体も心も金縛りの様にフリーズドライ。背筋がぞくぞくとしました。
≪ベートーベン・フリーズ(原寸大複製) 1984年 ≫
全長34メートルを超える壁画ベートーヴェン・フリーズはクリムトが40歳の頃に手掛けた大作なのだそう。
あの交響曲第9番に着想を得て、黄金甲冑の騎士(クリムト自身とも)が幸福を求めて魔物に立ち向かった末に楽園にたどり着き、
天使たちによる「合唱」と「接吻」で締めくくられます。
フルトベングラーの演奏による歓喜の歌が流されていて至福の一時。
≪ベートーベン・フリーズ(原寸大複製) 1984年 ≫
今回展示されているのは、1984年に制作された精巧な原寸大複製ですが、この展覧会でもここだけ空気が違っていました。
立ち去りがたく…いつまでもここにいたかった。
≪ベートーベン・フリーズ(原寸大複製) 1984年 ≫
クリムトは生涯結婚せず、
でも、マリア・ウチッカーやマリー・" ミッツィ "・ツィンマーマン等、分かっているだけで複数の女性との間に14人もの子供が誕生しているのだとのこと。
アトリエには常時複数の裸のモデルがいて、その女性たちの多くと関係を持ったらしいです。
≪マリア・ウチッカー≫
それら関係を持った女性たちの他に、アデーレ・ブロッホ=バウアー、エミーリエ・フレーゲ、etc etc…、いわゆる上流階級やブルジョワジーに属するような女性たちにも、愛人と言われている女性が何人もいる様子。
≪マリー・" ミッツィ "・ツィンマーマンと息子のグスタフ≫
それに何と !! あのマーラーの奥さんのアルマ、結婚前ですがアルマ・シンドラーであった頃、クリムトはアルマに夢中な時期があったようです。
アルマの方も初恋はクリムトだった様でかなり接近していた時期も。ただ、クリムトの女性関係や子供のことをアルマの両親が心配し、その仲を裂いたとのこと。
才能あるアーティストですからもてるのは当然だと思いますが、これは少しやり過ぎでは… ^^;
クリムトさん、(;-o-)σォィォィ…
≪アルマ・マーラー≫
子供もたくさんいたのになぜ結婚せずに生涯独身だったのでしょう?
それでも、沢山の愛する女性の中で一番親しかったのは、弟の奥さんの妹であるエミーリエ・フレゲーだったとのこと。
ブティックを経営し独立した女性であったようです。
≪グスタフ・クリムトとファッションデザイナーのエミーリエ・フレゲー≫
手紙も沢山書いていて、展覧会で買ってきた図録にはその手紙の内容も紹介されていましたが、
とても彼女を愛し大切に思っていた様子がうかがわれます。
クリムトの臨終の際には「エミリーエを呼んでくれ」だったそうです。
モローもそうでしたが、クリムトも母親と一緒に住んでいた。また、クリムトは姉と妹とも。
この辺も結婚やクリムトの女性観に関係あるのかもしれません。
女性の偉大さと高貴さと、
命の根源からのエロスと恍惚感…。
背後には、世紀末ウィーン、ハプスブルクの滅びの気配が通奏低音のように低く垂れこめていて、
クリムトも父や弟を亡くし滅び、死と言うものを強く意識していたとか。
それらが作品の中に濃く閉じ込められているような感じがしました。
男には多少そういう感じもあるのかもしれませんが、クリムトさん、女性に対して屈折した感情がかなりあるんじゃないかなと…?
≪クリムトからエミーリエ・フレゲーに宛てた書簡≫
そんなことを思いながら次のセクション「風景」に入ってみると、これも驚きました。
クリムトと言うとエロスの香りの漂う金色の女性ばかりとのイメージだったのですが、
良いな、クリムトの風景画。これらの作品を見て一遍にクリムトの風景画が好きになってしまいました。
トロワイヨンやセガンティー二の画く牛の様で、暖かな光に包まれた雌牛たちはとてもやさしそうです。
≪家畜小屋の雌牛 1909年-1910年 110×110≫
19世紀末、アッター湖は避暑地として芸術家に愛された場所であったとのことです。
クリムトも繰り返し訪れていて、この地の風景画を何枚か残しているとのこと。
図録の解説では対岸から描いたのだろうけれど、どうも望遠鏡をのぞいて描いたように思われるとのこと。望遠鏡で切り取るなんて面白いですね。
この絵、正方形のキャンパスに描かれていました。クリムトは正方形が好きなのかな。正方形のタブローが多かった気がします。
クリムトに風景画が数多くあるのを今回の展覧会で初めて知りました。そして、クリムトの風景画がとても好きになりました。
暖かい雌牛の絵、カンマー城の落ち着いて静かな雰囲気の絵は、金色の女性たちとは対極にある感じがします。
避暑地で大きな自然の中で、こころの、生活の平衡を保っていたのかもしれません。
でも、そんなことを抜きにしても印象派の様な繊細な筆遣いで描かれたこの絵たちは良いな。
そうそう、チケット特典のノートですが、「カンマー城Ⅲ」の図柄で良かったです。^^
≪アッター湖畔のカンマー城Ⅲ 1905年 171×171≫
まとまってクリムトの絵を見たのは初めてでした。
ファムファタルの女性たちも、自然を描いた風景画ももちろん素敵でしたが、一番気に入ったのはこの絵です。
クリムトの弟エルンストの娘ヘレーネが6歳の時の肖像画です。弟は結婚してすぐ、ヘレーネと奥さんを残してなくなってしまいます。
クリムトとエミーリエ・フレゲーは伯父と叔母になる訳ですが、ヘレーネの後見人となったとのこと。
なくなった弟のエルンストとは仲が良かったこともあり、姪っ子のヘレーネのことを心配し愛していたんだろうな。
6歳の割には大人っぽいヘレーネ。愛らしさの中に女性らしさも。
≪ヘレーネ・クリムトの肖像 1898年 59.7×49.9≫
2時間弱、ゆっくりとクリムトの作品を楽しむことができました。
出口からでてみると、すごい人の列です。
開館前に並んで良かったなと。
さて、お腹が空きました。
「どこに行く ? 」
「前行った中華に行こうか ? 」
駅の横の坂を下って過門香さんへ。
いつも混んでいますが、開店時間と同時くらいで入ることができました。
前日に引き続き、ビールビール !!
素敵な美術鑑賞の後はやっぱり、何がなくともこれです !!
料理は、「過門香おすすめ!選べるプリフィックスセット」1,650円と言うのを頂きました。
メイン料理をメニューの中から2種類選べますが、じぶんも友達も、油淋鶏と海老の特製マヨネーズソース炒めをチョイス。
ご飯もお粥と白いご飯も選べましたが、健康に留意して? 玄米を選びました。
あと、熱々の小籠包も !!
出来立てほやほやすぎて、唇をやけどしてしまいました。 ^^;
冷たいビールをもう一杯頼んで応急処置です。 笑
二日かかってしまうという前代未聞の経験をした今回のクリムト展でしたが、
クリムトの風景画を知ることができ、また、クリムトのことを多く知ることができました。
19世紀末のウィーン、大木であったハプスブルク家に陰りが見え、繁栄と退廃と。不安は低く垂れこめる雲の様に人々の無意識の中に入り込んでいた時代だと思います。
正直健全ではないなと思うけれど、音楽ではマーラー、絵画ではクリムトやシーレ、哲学ではヴィトゲンシュタインetc etc …、それらが反映されて独特の文化が花開いた時だったんだなと。
そして、正直、マーラーもクリムトもシーレもウィトゲンシュタインも嫌いじゃないなと。
家に帰って来てCD を聴こうとして気が付きましたが、
マーラーとベートーベンのジャケットにはクリムトの作品が沢山使われていました。
早速、クーベリックのマーラーとアバドのベートーベン(ジャケットは黄金の甲冑姿の騎士)を聴いた次第です。
ラファエル前派、モロー、そしてクリムトと今年のじぶんの展覧会のテーマ「ファムファタル」を見てきました。
思うことが色々ありますが、同じ人間なのですが、もしかすると男女とはものすごく違うものなのかもしれないと…途中経過で思い始めています。
それと、男性アーティストにとって、ミューズ、思いを込める女性、
それがファムファタルになると思うのですが、作品を生み出していくには必要なものなんだろうなと。
次は8月までの会期です、新美術館の「日本・オーストリア外交樹立150周年記念 ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」を見に行きたいと思っています。
これも特典付きチケットを買っています。
今回見ていないクリムトの作品と、なんといっても大好きなエゴン・シーレとたくさん会えると思うと、今からわくわくしています。
" 2019/06/23 GUSTAV KLIMT Viena-Japan 1900 "
見逃してしまった展覧会が昨年幾つかありました、反省。
今年は予め「行きたいものリスト」を作り、予め買えるものは前売り券を買っています。
前売り券を買い始めると、特典付きのチケットがあることに気が付きました。もちろん普通のチケットより安いのも特典なのですが、
色々なグッズが安めの値段で付いているものも。
クリムトの没後100年を記念する「クリムト展 ウィーンと日本1900」の展覧会のチケットでは、
特製ノートが付いていてそれをゲットしました。
但し、クリムトの作品が何種類か描かれているノートはアトランダムで選ぶことはできず、
じぶんのチケットに付いてきたのは風景画の「アッター湖畔のカンマー城 Ⅲ」。
ノート自体は素敵なものでしたが、できればポスターにもなっている「ユディットⅠ」が良かったなぁ…、
ちょっと残念に思ったりしていました。
会期も終盤の6月22日の土曜日、久々に会います、絵画鑑賞仲間? (高校生からの親友です)を誘い、
東京都美術館に出かけました。
9時半からの開場でしたが少し遅めの10時の待ち合わせ…。ところが、
美術館に到着するとものすごい人、人、人… !! 。
30分待ちと案内が掲示されているのですが、それ以上に、ガラス越しに見てもものすごい人の列。
「どうしよう ? 」
「もっと早く来ればよかったね」
「これほどとは思わなかった…判断ミス」「フェルメールよりすごいじゃん」
「出直そうか?」
「明日は大丈夫?」
「暇 !!」
「同じく」笑笑
潔く撤収。
そうと決まれば電脳仲間でもある我々のホームタウンの一つ、秋葉へ。
11時からの開店を待って早めのランチ。
先ずは「残念でしたぁ~」と心の痛手を癒し冷たいビールで「ぷはぁ~」。
一杯では癒したりなくてもう一杯とかも。
昔から二人でよく飲みました。
燻製のベーコンと玉子、ハンバーグ etc etc…を頂きながら、明日、日曜日の相談をしました。
「9時半開場だから?」
「明日は9時10分前に上野駅の改札口で」
展覧会に来て何も見ずに帰ったのは、長いこと生きてきましたが、
この日が初めての経験でした ^^;;
明けて23日の日曜日の早朝…、出直しのクリムト展。
Walkman はグスタフ・マーラーの交響曲第3番。 マーラーの中でも「自然」に満ち満ちていて明るめの曲。
6楽章は大好きです。
美術館に近づくと、こんなに並んでるのかなと一瞬フリーズしましたが、開門前の列でした。
開場前に30分は並びましたが、早く行ったおかげ、
比較的空いている美術館でクリムトと会うことができました。
会場の案内の方達、「順番に見る必要はなく、上の階から見て頂いても良です」
「空いている内にユディットⅠ等をご覧いただけま~す」云々
嬉しくありがたいアドバイス。
「行こう !! 」
ならば、天の声に従って上の階から攻略することにしました。
結果、ほとんど人がいない展示場所で、この展覧会の目玉たち、
グスタフ・クリムトの傑作のタブローたちに会ってくることができました。
ユディトⅠ 。
クリムトが初めて金箔を用いた作品と言われています。額縁はクリムト自身のデザイン。
旧約聖書外典の「ユディト記」、祖国を救うためにアッシリアのホロフェルネスの首を切り落としたユディット。
左手にはその首が。
女性は首を斬りたがるものなのでしょうか…?? モロー展で見たサロメのよう。
ついについに、クリムトのファムファタルにも会うことができました。
≪ユディットⅠ 1901年 84×42≫
全てを映し出す鏡は「真実」のシンボル。
1897年のウィーン分離派結成の直前に構想されたこの作品は、迎合しない反骨としての芸術への支持を表明しているとのこと。
新たな芸術運動の理想を示している作品だそうです。
今回の展覧会には来ていないけれど、パラス・アテネの作品にも登場しているイメージ。
≪ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実) 1899年 244×56.5≫
この辺で、友達とは散り散りに。
それぞれ自由行動。
展覧会に行っても鑑賞する目、作者との会話のスピードが異なります。
その辺は、長年のあうんの呼吸。
一人で次の部屋に入ると突然空気が変わりました。 声のない感嘆のわぁ~。
≪女の三世代 1905年 171×171≫
クリムトの黄金様式時代の大作です、ベートーベンフリーズ !!
厳かな礼拝堂に入った時かの様…、一瞬体も心も金縛りの様にフリーズドライ。背筋がぞくぞくとしました。
≪ベートーベン・フリーズ(原寸大複製) 1984年 ≫
全長34メートルを超える壁画ベートーヴェン・フリーズはクリムトが40歳の頃に手掛けた大作なのだそう。
あの交響曲第9番に着想を得て、黄金甲冑の騎士(クリムト自身とも)が幸福を求めて魔物に立ち向かった末に楽園にたどり着き、
天使たちによる「合唱」と「接吻」で締めくくられます。
フルトベングラーの演奏による歓喜の歌が流されていて至福の一時。
≪ベートーベン・フリーズ(原寸大複製) 1984年 ≫
今回展示されているのは、1984年に制作された精巧な原寸大複製ですが、この展覧会でもここだけ空気が違っていました。
立ち去りがたく…いつまでもここにいたかった。
≪ベートーベン・フリーズ(原寸大複製) 1984年 ≫
クリムトは生涯結婚せず、
でも、マリア・ウチッカーやマリー・" ミッツィ "・ツィンマーマン等、分かっているだけで複数の女性との間に14人もの子供が誕生しているのだとのこと。
アトリエには常時複数の裸のモデルがいて、その女性たちの多くと関係を持ったらしいです。
≪マリア・ウチッカー≫
それら関係を持った女性たちの他に、アデーレ・ブロッホ=バウアー、エミーリエ・フレーゲ、etc etc…、いわゆる上流階級やブルジョワジーに属するような女性たちにも、愛人と言われている女性が何人もいる様子。
≪マリー・" ミッツィ "・ツィンマーマンと息子のグスタフ≫
それに何と !! あのマーラーの奥さんのアルマ、結婚前ですがアルマ・シンドラーであった頃、クリムトはアルマに夢中な時期があったようです。
アルマの方も初恋はクリムトだった様でかなり接近していた時期も。ただ、クリムトの女性関係や子供のことをアルマの両親が心配し、その仲を裂いたとのこと。
才能あるアーティストですからもてるのは当然だと思いますが、これは少しやり過ぎでは… ^^;
クリムトさん、(;-o-)σォィォィ…
≪アルマ・マーラー≫
子供もたくさんいたのになぜ結婚せずに生涯独身だったのでしょう?
それでも、沢山の愛する女性の中で一番親しかったのは、弟の奥さんの妹であるエミーリエ・フレゲーだったとのこと。
ブティックを経営し独立した女性であったようです。
≪グスタフ・クリムトとファッションデザイナーのエミーリエ・フレゲー≫
手紙も沢山書いていて、展覧会で買ってきた図録にはその手紙の内容も紹介されていましたが、
とても彼女を愛し大切に思っていた様子がうかがわれます。
クリムトの臨終の際には「エミリーエを呼んでくれ」だったそうです。
モローもそうでしたが、クリムトも母親と一緒に住んでいた。また、クリムトは姉と妹とも。
この辺も結婚やクリムトの女性観に関係あるのかもしれません。
女性の偉大さと高貴さと、
命の根源からのエロスと恍惚感…。
背後には、世紀末ウィーン、ハプスブルクの滅びの気配が通奏低音のように低く垂れこめていて、
クリムトも父や弟を亡くし滅び、死と言うものを強く意識していたとか。
それらが作品の中に濃く閉じ込められているような感じがしました。
男には多少そういう感じもあるのかもしれませんが、クリムトさん、女性に対して屈折した感情がかなりあるんじゃないかなと…?
≪クリムトからエミーリエ・フレゲーに宛てた書簡≫
そんなことを思いながら次のセクション「風景」に入ってみると、これも驚きました。
クリムトと言うとエロスの香りの漂う金色の女性ばかりとのイメージだったのですが、
良いな、クリムトの風景画。これらの作品を見て一遍にクリムトの風景画が好きになってしまいました。
トロワイヨンやセガンティー二の画く牛の様で、暖かな光に包まれた雌牛たちはとてもやさしそうです。
≪家畜小屋の雌牛 1909年-1910年 110×110≫
19世紀末、アッター湖は避暑地として芸術家に愛された場所であったとのことです。
クリムトも繰り返し訪れていて、この地の風景画を何枚か残しているとのこと。
図録の解説では対岸から描いたのだろうけれど、どうも望遠鏡をのぞいて描いたように思われるとのこと。望遠鏡で切り取るなんて面白いですね。
この絵、正方形のキャンパスに描かれていました。クリムトは正方形が好きなのかな。正方形のタブローが多かった気がします。
クリムトに風景画が数多くあるのを今回の展覧会で初めて知りました。そして、クリムトの風景画がとても好きになりました。
暖かい雌牛の絵、カンマー城の落ち着いて静かな雰囲気の絵は、金色の女性たちとは対極にある感じがします。
避暑地で大きな自然の中で、こころの、生活の平衡を保っていたのかもしれません。
でも、そんなことを抜きにしても印象派の様な繊細な筆遣いで描かれたこの絵たちは良いな。
そうそう、チケット特典のノートですが、「カンマー城Ⅲ」の図柄で良かったです。^^
≪アッター湖畔のカンマー城Ⅲ 1905年 171×171≫
まとまってクリムトの絵を見たのは初めてでした。
ファムファタルの女性たちも、自然を描いた風景画ももちろん素敵でしたが、一番気に入ったのはこの絵です。
クリムトの弟エルンストの娘ヘレーネが6歳の時の肖像画です。弟は結婚してすぐ、ヘレーネと奥さんを残してなくなってしまいます。
クリムトとエミーリエ・フレゲーは伯父と叔母になる訳ですが、ヘレーネの後見人となったとのこと。
なくなった弟のエルンストとは仲が良かったこともあり、姪っ子のヘレーネのことを心配し愛していたんだろうな。
6歳の割には大人っぽいヘレーネ。愛らしさの中に女性らしさも。
≪ヘレーネ・クリムトの肖像 1898年 59.7×49.9≫
2時間弱、ゆっくりとクリムトの作品を楽しむことができました。
出口からでてみると、すごい人の列です。
開館前に並んで良かったなと。
さて、お腹が空きました。
「どこに行く ? 」
「前行った中華に行こうか ? 」
駅の横の坂を下って過門香さんへ。
いつも混んでいますが、開店時間と同時くらいで入ることができました。
前日に引き続き、ビールビール !!
素敵な美術鑑賞の後はやっぱり、何がなくともこれです !!
料理は、「過門香おすすめ!選べるプリフィックスセット」1,650円と言うのを頂きました。
メイン料理をメニューの中から2種類選べますが、じぶんも友達も、油淋鶏と海老の特製マヨネーズソース炒めをチョイス。
ご飯もお粥と白いご飯も選べましたが、健康に留意して? 玄米を選びました。
あと、熱々の小籠包も !!
出来立てほやほやすぎて、唇をやけどしてしまいました。 ^^;
冷たいビールをもう一杯頼んで応急処置です。 笑
二日かかってしまうという前代未聞の経験をした今回のクリムト展でしたが、
クリムトの風景画を知ることができ、また、クリムトのことを多く知ることができました。
19世紀末のウィーン、大木であったハプスブルク家に陰りが見え、繁栄と退廃と。不安は低く垂れこめる雲の様に人々の無意識の中に入り込んでいた時代だと思います。
正直健全ではないなと思うけれど、音楽ではマーラー、絵画ではクリムトやシーレ、哲学ではヴィトゲンシュタインetc etc …、それらが反映されて独特の文化が花開いた時だったんだなと。
そして、正直、マーラーもクリムトもシーレもウィトゲンシュタインも嫌いじゃないなと。
家に帰って来てCD を聴こうとして気が付きましたが、
マーラーとベートーベンのジャケットにはクリムトの作品が沢山使われていました。
早速、クーベリックのマーラーとアバドのベートーベン(ジャケットは黄金の甲冑姿の騎士)を聴いた次第です。
ラファエル前派、モロー、そしてクリムトと今年のじぶんの展覧会のテーマ「ファムファタル」を見てきました。
思うことが色々ありますが、同じ人間なのですが、もしかすると男女とはものすごく違うものなのかもしれないと…途中経過で思い始めています。
それと、男性アーティストにとって、ミューズ、思いを込める女性、
それがファムファタルになると思うのですが、作品を生み出していくには必要なものなんだろうなと。
次は8月までの会期です、新美術館の「日本・オーストリア外交樹立150周年記念 ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」を見に行きたいと思っています。
これも特典付きチケットを買っています。
今回見ていないクリムトの作品と、なんといっても大好きなエゴン・シーレとたくさん会えると思うと、今からわくわくしています。
" 2019/06/23 GUSTAV KLIMT Viena-Japan 1900 "